Unforgettable tragedy happens
五回生になって早半年。授業が終わり帰ろうとしていると藤堂さんが不意に後方を指差した。後方――扉の方を見れば良く知った人が居た。てか昼休憩で会ったじゃん修兵さん
彼は僕と目が合うと手招きした。こっちに来い、と
何だろう夕飯の話とか?
「おう独月、今から職員室行くぞ」
何故。授業たまにさぼるから?修兵さんと追いかけっこして授業中に廊下全力疾走したから?
鬼道の合同授業の時に修兵さんとどっちが双蓮蒼火墜強く撃てるか競って演習場穴だらけにしたから?
あ、やばいこう考えてると悪さしかしてない
「行けば判るさ」
何やらにやにやした修兵さんに連れられ職員室へ
うわほんとどの件で怒られるんだ僕。全部か。全部なのか
「失礼します。五回生桜花を連れて参りました」
職員室に入っていった修兵さんに目で入って来いと合図されて恐る恐る入室する。小走りに修兵さんに駆け寄れば職員室で走るなとデコピンされた。痛い
「桜花、来週一回生の現世での実習があるのは知ってるな?」
『?…はい』
「その実習の引率を頼みたい」
『……はい?』
え、何で?何で五回生の僕が?
「何もお前一人に頼む訳じゃないから安心しろ。檜佐木に六回生の蟹沢と青鹿も一緒だ」
『…何故…僕が?』
「檜佐木の推薦だ。五回生から優秀な者を一人連れて行きたいとな」
お ま え か
隣を見れば僕を巻き込んだ元凶は顔を反らしていた。絶対この人にやにやしてる。そうか僕を巻き込むのがそんなに楽しいか
「お前には六回生の補助に回って貰いたい。頼めるか?」
『……はい…』
僕の顔を見て吹き出した修兵さんの足は先生にバレない様に踏んでおいた
「良い加減機嫌直せよ」
付いて来る修兵さんを無視。にやにやしてるから無視。顔見たらぶん殴りたくなるから無視。でも歩幅が違い過ぎる。走っても直ぐに追い付かれた。修兵さんなんか頭に盥でも落ちてきて身長縮めば良い
「独月」
肩を掴まれ無理矢理振り向かされる。何でそんなに優しい目で僕を見るんだ元凶め
「俺がお前を推薦したのはお前に経験を積んで欲しいからだ」
『…経験…?』
ああ、と頷く修兵さん。頭を撫でながら目線を合わせてくる
「少しでも他の奴等より経験を積んで、成長して欲しい。そうじゃねぇと折角の才能が勿体ねぇだろ」
『才能なんか僕にはない。今強いのも修兵さんのお陰だし』
僕に才能なんて大それたものはない。鬼道も歩行術も剣術も知識も全部修兵さんに教えて貰ったものだから。だから才能があるのは修兵さんの方だ
そう言えば彼は苦笑して首を振る
「俺に才能なんて大それたもんはねぇよ。只努力しただけだ」
『でも』
「――俺はな、本当はお前に早く五番隊に入って欲しかった」
僕の言葉を遮って告げられた修兵さんの一言。それは、本当なんだろうか
「…お前が俺に気を遣って入隊しなかった事も知ってる」
『…え…』
気を遣ってってどういう事だ。僕は只修兵さんを追い越したくなかっただけなのに
「俺がもっと強ければ、お前に気を遣わせずに済んだのにな…」
それを聞いた瞬間自然と手が動いた。ばちんと痛そうな音が響いて、目を見開いた修兵さんの右頬は赤くなっていた
やってしまった、とは思うけれど気持ちが収まらない
『僕は…っ只修兵さんの下に居たかっただけだっ!気を遣った訳じゃないしそんな顔してそんな事言って欲しかった訳でもない……っ!』
俺がもっと強ければ。その言葉を言った瞬間の修兵さんの辛そうな表情。そんな顔をさせたかった訳じゃないのに
駄目だ。今一緒に居てはもっと醜態を晒す事になる。一旦離れよう。帰って寝よう
『……帰る…』
「独月…」
肩に置かれた手をそっと外して僕は荷物を取りに教室へ向かった。振り返る事はしなかった
初めての喧嘩
(…ああ…やっちゃった…)
(…情けねぇな…俺も…)
彼は僕と目が合うと手招きした。こっちに来い、と
何だろう夕飯の話とか?
「おう独月、今から職員室行くぞ」
何故。授業たまにさぼるから?修兵さんと追いかけっこして授業中に廊下全力疾走したから?
鬼道の合同授業の時に修兵さんとどっちが双蓮蒼火墜強く撃てるか競って演習場穴だらけにしたから?
あ、やばいこう考えてると悪さしかしてない
「行けば判るさ」
何やらにやにやした修兵さんに連れられ職員室へ
うわほんとどの件で怒られるんだ僕。全部か。全部なのか
「失礼します。五回生桜花を連れて参りました」
職員室に入っていった修兵さんに目で入って来いと合図されて恐る恐る入室する。小走りに修兵さんに駆け寄れば職員室で走るなとデコピンされた。痛い
「桜花、来週一回生の現世での実習があるのは知ってるな?」
『?…はい』
「その実習の引率を頼みたい」
『……はい?』
え、何で?何で五回生の僕が?
「何もお前一人に頼む訳じゃないから安心しろ。檜佐木に六回生の蟹沢と青鹿も一緒だ」
『…何故…僕が?』
「檜佐木の推薦だ。五回生から優秀な者を一人連れて行きたいとな」
お ま え か
隣を見れば僕を巻き込んだ元凶は顔を反らしていた。絶対この人にやにやしてる。そうか僕を巻き込むのがそんなに楽しいか
「お前には六回生の補助に回って貰いたい。頼めるか?」
『……はい…』
僕の顔を見て吹き出した修兵さんの足は先生にバレない様に踏んでおいた
「良い加減機嫌直せよ」
付いて来る修兵さんを無視。にやにやしてるから無視。顔見たらぶん殴りたくなるから無視。でも歩幅が違い過ぎる。走っても直ぐに追い付かれた。修兵さんなんか頭に盥でも落ちてきて身長縮めば良い
「独月」
肩を掴まれ無理矢理振り向かされる。何でそんなに優しい目で僕を見るんだ元凶め
「俺がお前を推薦したのはお前に経験を積んで欲しいからだ」
『…経験…?』
ああ、と頷く修兵さん。頭を撫でながら目線を合わせてくる
「少しでも他の奴等より経験を積んで、成長して欲しい。そうじゃねぇと折角の才能が勿体ねぇだろ」
『才能なんか僕にはない。今強いのも修兵さんのお陰だし』
僕に才能なんて大それたものはない。鬼道も歩行術も剣術も知識も全部修兵さんに教えて貰ったものだから。だから才能があるのは修兵さんの方だ
そう言えば彼は苦笑して首を振る
「俺に才能なんて大それたもんはねぇよ。只努力しただけだ」
『でも』
「――俺はな、本当はお前に早く五番隊に入って欲しかった」
僕の言葉を遮って告げられた修兵さんの一言。それは、本当なんだろうか
「…お前が俺に気を遣って入隊しなかった事も知ってる」
『…え…』
気を遣ってってどういう事だ。僕は只修兵さんを追い越したくなかっただけなのに
「俺がもっと強ければ、お前に気を遣わせずに済んだのにな…」
それを聞いた瞬間自然と手が動いた。ばちんと痛そうな音が響いて、目を見開いた修兵さんの右頬は赤くなっていた
やってしまった、とは思うけれど気持ちが収まらない
『僕は…っ只修兵さんの下に居たかっただけだっ!気を遣った訳じゃないしそんな顔してそんな事言って欲しかった訳でもない……っ!』
俺がもっと強ければ。その言葉を言った瞬間の修兵さんの辛そうな表情。そんな顔をさせたかった訳じゃないのに
駄目だ。今一緒に居てはもっと醜態を晒す事になる。一旦離れよう。帰って寝よう
『……帰る…』
「独月…」
肩に置かれた手をそっと外して僕は荷物を取りに教室へ向かった。振り返る事はしなかった
初めての喧嘩
(…ああ…やっちゃった…)
(…情けねぇな…俺も…)