「……ん…」

ゆっくりと目を開ける。何だ、腰の辺りがもぞもぞする。気になって後ろに手を回せば、ふにっと

「っ!?!?」

想定してなかった感触に飛び起きる。おい何だ今の!?何が着物ん中に入ってんだよ!
飛び起きた所為で転がった独月が唸り、目を開けた。あ、悪ぃ。腕枕してんの考えずに動いちまった
欠伸をした独月が頭を掻き、半開きの目で俺を見た。数度瞬きしたかと思えば独月は目を見開いた

『……修兵さん?』

「あ?どうした?」

取り敢えず着物ん中の謎の物体を取りてぇ。腰辺りを触っていた時、独月は首を傾げた

『犬になったの、修兵さん』

「……あ?」

犬?お前まだ寝惚けてんのか?だが独月の目は寝惚けてるにしちゃしっかり開き過ぎてる。こいつは殆ど冗談なんか言わねぇし…ならやっぱり犬になったのか、俺。

「聞くが、独月」

『うん?』

首を傾げたままの独月に恐る恐る聞いてみる。つかこいつがやけに俺の頭をガン見してるのは気の所為だと思いてぇ

「俺の何処を見て犬だって思った?」

『耳』

端的に告げた独月がまっすぐ手を伸ばしてきた。俺の頭目掛けて伸ばされた小さな手が掴んだのは、耳。や、感覚的に耳だ。けど付いてる場所が可笑しい。普通頭の真上になんか付いてねぇよ。独月はふわふわとか言ってる。うん、お前の笑みが可愛い。
つい独月を眺めて癒されていると腰の違和感が動いた。え、動くのかこれ。てか動きが左右に揺れるそれ。例えるならあれだ、犬やら猫やら動物には大抵生えてる───────

『…修兵さん、尻尾触って良い?』

独月が目を輝かせて訊ねてきた。やっぱりか。やっぱり耳と尻尾なのか

「……もう勝手にしてくれ…」

ああ、涙出てきた
























「大体何で野郎に犬耳と尻尾なんか付けやがる!明らかに独月に付けた方が癒しじゃねぇか!」

「それあんたの願望駄々漏れやないかい」

どうせこれは今までの独月と同じ様に阿近さんの仕業だろうと考えて技局に行けば、面白ぇだろの一言で済まされた。何が面白ぇんだよ何も面白くねぇよ。キレたらめんどくせぇからさっさと帰れと技局を追い出された。
不完全燃焼な俺は九番隊には戻らず十四番隊に向かった。
理由は勿論独月に癒される為

「独月ー」

『何?』

「お前も俺に犬耳と尻尾は似合わねぇと思うよな?」

『別に?可愛いよ』

「…独月、可愛いは男にゃ禁句なんだぜ……」

『?ごめん』

「可愛いから許す」

膝の上に座らせた独月の頭に顎を乗せる。こいつ小せぇからすっぽり収まるんだよなぁ。何でこいつこんなに可愛いんだろう。あれだ、可愛いは正義。この言葉はこいつの為にあるんじゃねぇか?

「檜佐木さん、だらしない顔しとらんとさっさ帰って下さいよ。俺が東仙隊長に文句言われますやん」

「良いじゃないですか財前隊長。俺仕事中は独月と一緒に居られねぇんすよ?あんた仕事中こいつと一緒に居るんだから怒られて下さいよ」

「何でやねん。あんた仕事以外独と居るやないか。ちゅうか仕事中もたまにサボって此処に来るやん」

「仕事が長いんすよ!俺は一時間…いや三十分こいつから離れんのも辛ぇんだ!判るか!?…や、判らなくて良いっす。判るなんて言われたら取り敢えず財前隊長消さねぇといけなくなるんで」

「……重症やな…」

財前隊長が顔を引き攣らせて引いていたが気にしねぇ。独月を狙う奴が居たら例え相手が総隊長でも勝てる気がする。

「なー独月。お前は俺が護ってやっからなー」

『…一応僕も副隊長だし、修兵さんに護られないといけない程弱くもないと思うんだけど』

「…論点ずれとる…」

深々と溜息を吐いた財前隊長が頭を抱えた。良いんだよ、このちょっとずれてるのがこいつの可愛いとこなんだから。
ぎゅっと抱き締める腕に力を込める。銀髪に頬擦りすればあやす様に腕をぽんぽんと叩かれた。あー幸せ。仕事中に傍に居られるのがこんな幸せな事だって忘れてた気がする。そういやこいつと仕事中も一緒だったのは三席の時以来か。そう考えると大分経ってんな

「財前隊長、やっぱこいつウチに返して下さい」

「お断りっすわ。そいつはウチの副隊長や、今更はいどーぞとは返せへんわ」

『え、戻れるの?』

「お前も喜ぶなゴンタクレ」

財前隊長にそう言われた独月が口を尖らせた。その口を摘まめば大きな目が俺を見る

『んー』

「ほんと可愛いなお前」

「イチャイチャイチャイチャ……良う飽きひんなぁ自分等」

「いちゃついてねぇっす。なぁ?」

『ん』

そう言うと財前隊長は深々と溜息を吐いた。























『もふもふ』

「………………」

「滅茶苦茶にやけてますね檜佐木さん」

「そりゃちびさぎ先輩に引っ付かれたら喜ぶだろ」

「犬耳に尻尾の修兵……高く売れるわよー」

尻尾を触って喜んでいる独月に頬が緩む。この際外野は無視だ。こんなに花飛ばしてる独月見てられるなら写真なんか何ともねぇ。

『もふもふー』

「あー可愛い。何でお前ってそんなに可愛いんだよ」

『可愛くはない。修兵さん何で尻尾振ってる?』

「お前が可愛いから」

『何だそれ』

溜息を吐いた独月をぎゅっと抱き締める。ほんとこいつ可愛い。何でこんなに可愛いんだろう。こいつはマジで天使だと思う。多分此処に間違って降りてきたんだろうな。あれ、でも此処も人間達で言う天国だよな?って事は天使は此処に住んでんのか。そうか、ならこいつは此処に居て良いのか

「あー良かった。お前は此処に居て良いんだな」

『?』

「おい先輩がまた訳判んねぇ事言いだしたぞ」

「お前は天使だもんなー」

『僕は死神だ』

「真顔で答えてるよ桜花さん…」

「あー可愛い。一生離さねぇ」

『え、それは生活に支障を来すから嫌』

「良いわー今月も贅沢出来るわよー!」






取り敢えず通常運行





(何でこんなに可愛いんだろうなお前)

(修兵さん何か変)

(おいやっと気付いたぞ)

(まぁ桜花さんも少し抜けてる所があるから…)

(幾らで売れるかしらねー♪)