話は良く脱線します
「独月!」
『…藤堂さん』
振り向けば後ろから金髪にメッシュを入れた女の人が歩いてきた。あれ、昨日はメッシュ入ってなかったのに。
また派手になったな藤堂さん
「斬魄刀背負ってるって事は…討伐?」
『ん。巨大虚が出たから』
現世の十四番隊管轄地区で巨大虚が出た。
それの救援に僕が指名されたのだ
『国後四席が出てるから大丈夫だとは思うけど、一応僕が救援に』
「そう…」
『藤堂さんは僕が居ない間十四番隊をお願いします』
「はい、判りました副隊長」
くすりと笑って藤堂さんが敬礼した。それに敬礼を返してくるりと背を向ける。
「…独月!」
『ん?』
振り向けば眉を下げた藤堂さん。あれ、何でそんなに心配そうな顔……ああ、この傷の所為か
『大丈夫。無理はしないし、負けないから』
「……ええ」
安心させる為に口角を上げれば藤堂さんは小さく頷いた。
それを見て瞬歩で穿界門に向かう。
右腕に着けた副官章がいやに眩しかった
「真偽一対────────“愉摺刃”」
始解しつつ目の前の巨大虚を観察する。数十年前の現世実習での事件と数年前に討伐例のある虚。霊圧の消せる巨大虚。
自然と口角が上がった
「人為的なものか、はたまた進化の工程でその力を身に付けたのか……試させて貰おう」
幾重にも分裂した刃に指示を出す。自らも握った刀で斬り付けた。
手応えは上々。普通に痛がる。反撃も腕を振るうだけ。何か術があればそれで反撃を試みる筈。
つまりこの虚には、霊圧を消す以外の特殊能力はない
「力も扱いきれていない……やはり人為的なものか」
何故造ったのか、そんな事には興味はないが、どうやって造ったのかには興味がある。解剖すれば判るだろうか。だとすれば奴の身体の一部をどうにかして持って帰らねば。
「だが生憎俺の斬魄刀はそういう芸当は出来ん。さてどうする」
愉摺刃は切り刻むのに特化した斬魄刀だ。俺には合っていない様にも感じる。いや、解剖する俺にはお誂え向きか。なら俺には合っているのか、そうか。
虚は仮面が割れれば身体も消失する。つまり切り刻むだけでは意味がない。結局は消えてしまうのだから
巨大虚の腕を躱しつつ、そういえば我が隊の副隊長殿は確か氷雪系だったなと思い出す。
隊長や三席よりはずっと興味の沸く存在だが、救援を呼びに行った部下は彼女を呼んできてはくれぬだろうか。そうしてくれれば非常に有り難い。こいつの身体の一部を持って帰るには丁度良い
ぼんやりとそんな事を考えていたその時───────
『───────縛裟氷映』
目の前で腕を振り上げた巨大虚が一瞬で凍て付いた。すたりと猫の様に地面に着地したのは、銀髪の副隊長
良し、我が部下よ良い働きをした。思わず口角が上がった
『怪我はありませんか、国後四席』
「ない。が、一つ頼みたい事がある」
『?…何でしょう?』
首を傾げた副隊長に、すっと巨大虚を指差す。
「あれでは持ち帰るには些か大きい。刻んでも氷が砕けない様にして頂きたい」
『………………は?』
『……っていう事があった』
「国後ってあいつだろ?阿近さんと仲良い」
『そ。ウチの四席』
「…何かまた強烈な奴が席官だな」
『ん。今日初めて話したんだけど、吃驚した』
居酒屋の個室で修兵さんに今日あった事を話せば目をぱちくりされた。
それを見つつ魚をつつく。うん、味醂干し美味しい。ちまちま食べていれば肉も食えと怒られた
『食べてる』
「そりゃ魚の肉だ。俺が言ってんのはそこで放置されてる牛肉なんだが」
『……魚の方が好き』
「だから細いんだよお前」
『むぐっ』
溜息を吐いた修兵さんに肉巻きを口に突っ込まれた。ちょっと修兵さん大きさ考えてよ。あんまり大きいの突っ込まないで欲しいんだが。
抗議の視線を送ればしてやったりの表情で修兵さんが笑う
「食わねぇお前が悪い」
『む……』
「美味いだろ?」
や、美味しいけどさ。そんなに食べたいとは思わないんだよ。咀嚼して飲み込み、文句を言おうと口を開ければまた肉を突っ込まれる
『………………』
「睨んでも駄目だっての。取り敢えずお前の分は食わすからな」
何それ拷問。只でさえ満腹気味なのに、まだそんなに食べろと?
首を横に振れば溜息を吐かれた
「あのな、これ良く見ろ。小皿だぞ」
『…無理』
「これぐらいならいけるだろ」
『無理。無理なもんは無理』
「…ほんと少食だなお前」
呆れた様に笑った修兵さんが僕の小皿と自分が食べ終わった小皿を替え始めた。
すぐに僕の前に空っぽの皿が並ぶ。
『……良いの?』
「無理して体調崩されても困るからな」
『…ありがと』
「どーいたしまして。礼言われる様な事はしてねぇけどな」
そう言って僕が残した味醂干しをぱくりと口に入れる。
お茶を飲んでいれば飲み込んだらしい修兵さんが口を開けた
「そういや国後って奴は巨大虚なんか持って帰って何がしたいんだ?」
『さぁ?持って帰ったら上機嫌でどっか行っちゃったし』
あの人は尸魂界に帰ってきた瞬間どっかに行ってしまった。お陰で報告書は僕が書く事になったんだけど。
『解剖がどうの言ってたから…やっぱり解剖するのかな』
「さぁ?変人の思考回路なんて考えるだけ無駄だろ」
そう言って修兵さんは白米を口に放り込んだ。や、そう言われちゃうとどうしようもないんだが。
『まぁ財前の言う事も無視する事あるし……結構アクが強い人かも知れない』
「隊長の言う事無視するとは相当だな」
『藤堂さんも前あの人の事で怒ってたし』
「や、あいつはキレやすそうだし」
そうかな?僕と話してる時は面倒見の良いお姉ちゃんみたいな感じなんだけど。
首を傾げつつお茶を飲む。御猪口を口許に運んだ修兵さんが小さく笑う
「お前は妹みたいに思われてるからじゃね?」
『…そうなの?』
「おう」
え、僕妹みたいに思われてたのか。全然知らなかった。
「何かとお前の世話焼きたがるだろ」
『……そういえば…』
休憩する時何時もお茶淹れてくれるしちょくちょく声を掛けてくれる。頭も良く撫でられる気がする
『…お姉ちゃんってあんな風なんだ』
「まぁ必ずあんなだとは限らねぇが、基本的にはあんなもんだろ」
漬物を食べている修兵さんを眺めつつ、ふと考える。
お姉ちゃんが藤堂さんなら、お兄ちゃんは修兵さん?
『修兵さん』
「ん?」
『じゃあ、お兄ちゃんは修兵さん?』
聞けば修兵さんは目を大きく見開いた
「あ?俺?」
『違うの?』
「んー……まぁ良いか」
何だろうその釈然としない返事。小さく笑った修兵さんが食べ終わり、手を合わせた
「御馳走様でした」
『何で微妙な返事?』
「ん?…ああ、そりゃアレだ……えーと」
何故か修兵さんは言い淀み、あちこちに視線を向ける。そしてまた溜息
「まぁ良いや。俺はお前の兄貴です、うん」
『…怪しい』
「兄貴を疑うんじゃねぇよ、独月チャン」
にっと笑った修兵さんが僕の頭を撫で回した。ちょっ髪ぐしゃぐしゃになるっ!
ばたばたすれば笑い声を上げた修兵さんが漸く手を離した
「くくっ。そう怒んなよ」
『……怒ってない』
「目が尖ってんぞ?」
『………元から』
「そうか?俺の可愛い独月チャンはんなに目ぇ尖らせてねぇんだけど?」
『…可愛くないから尖ってる』
「くくっ……あーほらもう笑わねぇから行こうとすんな」
席を立とうとすれば逞しい腕に引き留められた。おい笑ってるぞ顔面卑猥。笑わないって言った癖に。
『…笑ってる』
「や、笑ってねぇよ?」
『顔がにやけてる』
「元からこんな顔なの、俺」
嘘吐け69番この野郎。
まだ笑ったままの修兵さんは僕の手を引いた。力に逆らわず机の傍を通り近寄れば、一層強く引かれる。修兵さんの胡座の上に向かい合う様にして座らされた。
どうしよう、此処がもう定位置になりつつある
「ほんと可愛い」
『目が腐ってますね顔面卑猥様』
「随分辛辣だな」
『まだ怒ってますから』
あんたの言う様に目が尖ってるでしょうよ。じっと見ていればまた修兵さんが笑う。何がそんなに面白いんだ。僕の顔か?だとしたらそれ凄く失礼。そして顔の事なんか言われたらどうしようもない。もう思いきって整形するしかない
そんな事を考えていれば、修兵さんが額を合わせてきた。至近距離で甘い声で囁く
「なぁ、キスして良い?」
『嫌』
「何で?」
『酒臭い』
「え、そんな理由?」
『え?』
「『………え?』」
何故かお互いに目を瞬かせた。え、何で?何で修兵さんまでぱちくりしてんの?
首を傾げれば同時に修兵さんも首を傾げた。おい真似するな顔面卑猥
「……あのさ」
『ん?』
「お前は俺が酒臭くなけりゃキスされても良いって思ってんのか?」
そう訊ねてきた修兵さんの目は酷く真面目なもので。や、僕は別にふざけてないんだが
『気分にもよるだろうけど、多分』
「…お前は俺の事、そういう目で見る事は出来てんのか?」
そういう目って何だ。
首を傾げれば修兵さんが溜息を吐いた
「あー……判った。そういう事な」
『?』
「うん、俺が悪かった。今のは綺麗に忘れてくれ」
『???』
苦笑いした修兵さんはそう言って僕を抱き締めた。何なんだ、何を勝手に納得してるんだ。僕は一切判らないんだが
訊ねれば修兵さんはへらりと笑った
「今んとこ俺はお前の兄貴ってこった」
『……理解不能』
寧ろ更にこんがらがった。うんうん唸っていれば修兵さんがくつくつと低く笑う
Forever, by a good elder brother, since it is not, be prepared?
(修兵さん、何か言った?)
(いいや、何も?)
『…藤堂さん』
振り向けば後ろから金髪にメッシュを入れた女の人が歩いてきた。あれ、昨日はメッシュ入ってなかったのに。
また派手になったな藤堂さん
「斬魄刀背負ってるって事は…討伐?」
『ん。巨大虚が出たから』
現世の十四番隊管轄地区で巨大虚が出た。
それの救援に僕が指名されたのだ
『国後四席が出てるから大丈夫だとは思うけど、一応僕が救援に』
「そう…」
『藤堂さんは僕が居ない間十四番隊をお願いします』
「はい、判りました副隊長」
くすりと笑って藤堂さんが敬礼した。それに敬礼を返してくるりと背を向ける。
「…独月!」
『ん?』
振り向けば眉を下げた藤堂さん。あれ、何でそんなに心配そうな顔……ああ、この傷の所為か
『大丈夫。無理はしないし、負けないから』
「……ええ」
安心させる為に口角を上げれば藤堂さんは小さく頷いた。
それを見て瞬歩で穿界門に向かう。
右腕に着けた副官章がいやに眩しかった
「真偽一対────────“愉摺刃”」
始解しつつ目の前の巨大虚を観察する。数十年前の現世実習での事件と数年前に討伐例のある虚。霊圧の消せる巨大虚。
自然と口角が上がった
「人為的なものか、はたまた進化の工程でその力を身に付けたのか……試させて貰おう」
幾重にも分裂した刃に指示を出す。自らも握った刀で斬り付けた。
手応えは上々。普通に痛がる。反撃も腕を振るうだけ。何か術があればそれで反撃を試みる筈。
つまりこの虚には、霊圧を消す以外の特殊能力はない
「力も扱いきれていない……やはり人為的なものか」
何故造ったのか、そんな事には興味はないが、どうやって造ったのかには興味がある。解剖すれば判るだろうか。だとすれば奴の身体の一部をどうにかして持って帰らねば。
「だが生憎俺の斬魄刀はそういう芸当は出来ん。さてどうする」
愉摺刃は切り刻むのに特化した斬魄刀だ。俺には合っていない様にも感じる。いや、解剖する俺にはお誂え向きか。なら俺には合っているのか、そうか。
虚は仮面が割れれば身体も消失する。つまり切り刻むだけでは意味がない。結局は消えてしまうのだから
巨大虚の腕を躱しつつ、そういえば我が隊の副隊長殿は確か氷雪系だったなと思い出す。
隊長や三席よりはずっと興味の沸く存在だが、救援を呼びに行った部下は彼女を呼んできてはくれぬだろうか。そうしてくれれば非常に有り難い。こいつの身体の一部を持って帰るには丁度良い
ぼんやりとそんな事を考えていたその時───────
『───────縛裟氷映』
目の前で腕を振り上げた巨大虚が一瞬で凍て付いた。すたりと猫の様に地面に着地したのは、銀髪の副隊長
良し、我が部下よ良い働きをした。思わず口角が上がった
『怪我はありませんか、国後四席』
「ない。が、一つ頼みたい事がある」
『?…何でしょう?』
首を傾げた副隊長に、すっと巨大虚を指差す。
「あれでは持ち帰るには些か大きい。刻んでも氷が砕けない様にして頂きたい」
『………………は?』
『……っていう事があった』
「国後ってあいつだろ?阿近さんと仲良い」
『そ。ウチの四席』
「…何かまた強烈な奴が席官だな」
『ん。今日初めて話したんだけど、吃驚した』
居酒屋の個室で修兵さんに今日あった事を話せば目をぱちくりされた。
それを見つつ魚をつつく。うん、味醂干し美味しい。ちまちま食べていれば肉も食えと怒られた
『食べてる』
「そりゃ魚の肉だ。俺が言ってんのはそこで放置されてる牛肉なんだが」
『……魚の方が好き』
「だから細いんだよお前」
『むぐっ』
溜息を吐いた修兵さんに肉巻きを口に突っ込まれた。ちょっと修兵さん大きさ考えてよ。あんまり大きいの突っ込まないで欲しいんだが。
抗議の視線を送ればしてやったりの表情で修兵さんが笑う
「食わねぇお前が悪い」
『む……』
「美味いだろ?」
や、美味しいけどさ。そんなに食べたいとは思わないんだよ。咀嚼して飲み込み、文句を言おうと口を開ければまた肉を突っ込まれる
『………………』
「睨んでも駄目だっての。取り敢えずお前の分は食わすからな」
何それ拷問。只でさえ満腹気味なのに、まだそんなに食べろと?
首を横に振れば溜息を吐かれた
「あのな、これ良く見ろ。小皿だぞ」
『…無理』
「これぐらいならいけるだろ」
『無理。無理なもんは無理』
「…ほんと少食だなお前」
呆れた様に笑った修兵さんが僕の小皿と自分が食べ終わった小皿を替え始めた。
すぐに僕の前に空っぽの皿が並ぶ。
『……良いの?』
「無理して体調崩されても困るからな」
『…ありがと』
「どーいたしまして。礼言われる様な事はしてねぇけどな」
そう言って僕が残した味醂干しをぱくりと口に入れる。
お茶を飲んでいれば飲み込んだらしい修兵さんが口を開けた
「そういや国後って奴は巨大虚なんか持って帰って何がしたいんだ?」
『さぁ?持って帰ったら上機嫌でどっか行っちゃったし』
あの人は尸魂界に帰ってきた瞬間どっかに行ってしまった。お陰で報告書は僕が書く事になったんだけど。
『解剖がどうの言ってたから…やっぱり解剖するのかな』
「さぁ?変人の思考回路なんて考えるだけ無駄だろ」
そう言って修兵さんは白米を口に放り込んだ。や、そう言われちゃうとどうしようもないんだが。
『まぁ財前の言う事も無視する事あるし……結構アクが強い人かも知れない』
「隊長の言う事無視するとは相当だな」
『藤堂さんも前あの人の事で怒ってたし』
「や、あいつはキレやすそうだし」
そうかな?僕と話してる時は面倒見の良いお姉ちゃんみたいな感じなんだけど。
首を傾げつつお茶を飲む。御猪口を口許に運んだ修兵さんが小さく笑う
「お前は妹みたいに思われてるからじゃね?」
『…そうなの?』
「おう」
え、僕妹みたいに思われてたのか。全然知らなかった。
「何かとお前の世話焼きたがるだろ」
『……そういえば…』
休憩する時何時もお茶淹れてくれるしちょくちょく声を掛けてくれる。頭も良く撫でられる気がする
『…お姉ちゃんってあんな風なんだ』
「まぁ必ずあんなだとは限らねぇが、基本的にはあんなもんだろ」
漬物を食べている修兵さんを眺めつつ、ふと考える。
お姉ちゃんが藤堂さんなら、お兄ちゃんは修兵さん?
『修兵さん』
「ん?」
『じゃあ、お兄ちゃんは修兵さん?』
聞けば修兵さんは目を大きく見開いた
「あ?俺?」
『違うの?』
「んー……まぁ良いか」
何だろうその釈然としない返事。小さく笑った修兵さんが食べ終わり、手を合わせた
「御馳走様でした」
『何で微妙な返事?』
「ん?…ああ、そりゃアレだ……えーと」
何故か修兵さんは言い淀み、あちこちに視線を向ける。そしてまた溜息
「まぁ良いや。俺はお前の兄貴です、うん」
『…怪しい』
「兄貴を疑うんじゃねぇよ、独月チャン」
にっと笑った修兵さんが僕の頭を撫で回した。ちょっ髪ぐしゃぐしゃになるっ!
ばたばたすれば笑い声を上げた修兵さんが漸く手を離した
「くくっ。そう怒んなよ」
『……怒ってない』
「目が尖ってんぞ?」
『………元から』
「そうか?俺の可愛い独月チャンはんなに目ぇ尖らせてねぇんだけど?」
『…可愛くないから尖ってる』
「くくっ……あーほらもう笑わねぇから行こうとすんな」
席を立とうとすれば逞しい腕に引き留められた。おい笑ってるぞ顔面卑猥。笑わないって言った癖に。
『…笑ってる』
「や、笑ってねぇよ?」
『顔がにやけてる』
「元からこんな顔なの、俺」
嘘吐け69番この野郎。
まだ笑ったままの修兵さんは僕の手を引いた。力に逆らわず机の傍を通り近寄れば、一層強く引かれる。修兵さんの胡座の上に向かい合う様にして座らされた。
どうしよう、此処がもう定位置になりつつある
「ほんと可愛い」
『目が腐ってますね顔面卑猥様』
「随分辛辣だな」
『まだ怒ってますから』
あんたの言う様に目が尖ってるでしょうよ。じっと見ていればまた修兵さんが笑う。何がそんなに面白いんだ。僕の顔か?だとしたらそれ凄く失礼。そして顔の事なんか言われたらどうしようもない。もう思いきって整形するしかない
そんな事を考えていれば、修兵さんが額を合わせてきた。至近距離で甘い声で囁く
「なぁ、キスして良い?」
『嫌』
「何で?」
『酒臭い』
「え、そんな理由?」
『え?』
「『………え?』」
何故かお互いに目を瞬かせた。え、何で?何で修兵さんまでぱちくりしてんの?
首を傾げれば同時に修兵さんも首を傾げた。おい真似するな顔面卑猥
「……あのさ」
『ん?』
「お前は俺が酒臭くなけりゃキスされても良いって思ってんのか?」
そう訊ねてきた修兵さんの目は酷く真面目なもので。や、僕は別にふざけてないんだが
『気分にもよるだろうけど、多分』
「…お前は俺の事、そういう目で見る事は出来てんのか?」
そういう目って何だ。
首を傾げれば修兵さんが溜息を吐いた
「あー……判った。そういう事な」
『?』
「うん、俺が悪かった。今のは綺麗に忘れてくれ」
『???』
苦笑いした修兵さんはそう言って僕を抱き締めた。何なんだ、何を勝手に納得してるんだ。僕は一切判らないんだが
訊ねれば修兵さんはへらりと笑った
「今んとこ俺はお前の兄貴ってこった」
『……理解不能』
寧ろ更にこんがらがった。うんうん唸っていれば修兵さんがくつくつと低く笑う
Forever, by a good elder brother, since it is not, be prepared?
(修兵さん、何か言った?)
(いいや、何も?)