言い方って重要
終業時刻なんてとっくに過ぎた夜十時。めんどくせぇ事この上ねぇ書類整理を終わらせてぐっと伸びをする。だいたい俺に書類整理は向かねぇんだよ。只でさえめんどくせぇのに誤字脱字が下手に朽木隊長に見付かれば即やり直し。教養がねぇ俺にはキツいんだっての。
「あー疲れた…って、あれ?」
懐を探し、目的の物がねぇ事に気付く。伝令神機何処行った?引き出しの中にも机の下にもねぇ。え、まさか落とした?
「良く考えろ俺……何処で伝令神機弄った…?」
脳味噌をフル回転させて考える。今日伝令神機を使ったのは確か午後の一回だけ…な筈。確か九番隊に重要書類届けに行って、檜佐木先輩と少し話して、えーと…あれ、どうしたっけ?待て、落ち着け阿散井恋次、てめぇなら出来る筈だ、頑張って思い出せ
うんうん唸りながら頭を抱える事数秒
「やべぇ…思い出せねぇ……」
多分今の俺の顔は真っ青。伝令神機って結構高かったよな?やべぇ、見付かんなきゃ新しく買わねぇと。そうなりゃ今までコツコツ貯めてきたサングラス代がパァだ。あれ今年の最新モデルなのに!もう予約しちまったってのに!やべぇマジでどうする俺!
「…取り敢えず先輩のとこ行くか…?」
向かったのは九番隊舎。その中の生活スペースである護廷屋敷に入り、席官クラスの部屋に向かう。隊長副隊長の部屋はこの廊下の最奥。近付けば微かに騒音が聴こえた。ああ、テレビ観てんのか
小さく深呼吸して扉をノックする。するとすぐに扉が開いた
『何の用だ阿散井』
出てきたのは男物らしき藍色の着流しを緩く身に纏ったちびさぎ隊長。直視したら絶対先輩に殴られる。目を逸らしながら訊ねた
「檜佐木先輩居ます?」
『風呂。取り敢えず上がれば?』
「あ、はい」
奥に消えたちびさぎ隊長の後を追う。つか此処檜佐木先輩の部屋だよな?何か普通に部屋に上げられたんだけど良いのか。
『ん』
「あ、ども」
あんまり物のねぇ部屋のソファに促され、出された湯呑みを受け取る。ちびさぎ隊長は俺の向かい側に座った
つかそれ絶対檜佐木先輩の着流しだろ。サイズが半端なく合ってねぇし。寧ろ着流しに着られてる。
ぺったんこな胸元ががっつり開いてんだけどこれは注意して良いのか。何か下手したら檜佐木先輩にキャメルクラッチ喰らう気がする。…良し、此処は見てねぇフリでいく
「上がったぞー……ってあれ、阿散井?」
そう決めた時、髪を拭きながら檜佐木先輩が歩いてきた。その姿を見て首を傾げる。先輩が履いてんのは現世のトランクスって下着だけ。え、何で下着だけ?
「どうも…って何で下着だけなんすか?」
「ああ、着流し勝手にこいつが着てる……ってお前は何でそんなに緩く着るんだよ」
『大きくて着るの難しい』
「なら着るな……ったく、ほら」
『ありがとう』
「どーいたしまして」
手早くちびさぎ隊長の胸元を正した檜佐木先輩が優しく笑う。女性隊士が見たら絶対きゃーきゃー騒ぐ笑み。勿論そう簡単にゃ振り撒かねぇ。寧ろ他の奴にこんな笑みを向けねぇ。あんたほんとちびさぎ隊長にはデレッデレだな……って俺は遊びに来た訳じゃねぇんだよ
「あの、檜佐木先輩」
「ん?どうした?」
冷蔵庫に向かった背中に話し掛ければ先輩は此方を向いた。その手が冷蔵庫から取り出したのは缶ビール。あんまり尸魂界じゃお目に掛かれねぇもんだ
「ああ、飲みてぇのか。ほら」
「や、投げないで下さいよ!」
勝手にそう解釈した檜佐木先輩が俺に向かって缶を放った。最近現世の酒を飲んでなかったからありがてぇ……ってそうじゃねぇよ!
「そういやお前死覇装だな。残業か?」
「ええ、まぁ。あの、先輩」
「んー?」
「俺の伝令神機知りません?」
プルタブを起こした先輩が首を傾げる。あ、やっぱり知らねぇか
「何だよ、失くしたのか?」
「はい……」
頷くと今まで黙っていたちびさぎ隊長が口を開いた
『忘れ物入れに入ってるとか』
「忘れ物入れ?」
何だそれ。六番隊にゃんなもんねぇぞ。言えばちびさぎ隊長が湯呑みを口許に運んだ
『うちの隊は他隊の奴の忘れ物が多いから、忘れ物入れが設置されてる』
何でも編集室を出入りする隊士が多い分、忘れ物なんかも多いんだと。なら俺の伝令神機其処にあんのかな
「何なら今から見てきてやろうか?」
「や、鍵貸して貰えたら自分で行きますよ」
「ばーか、流石に他隊の奴を勤務時間外に一人で入らせるなんて事は出来ねぇよ」
そう言った檜佐木先輩が缶ビールを飲み干し奥の部屋に消えた。そりゃそうか、幾ら同じ護廷隊とは言え各隊で独立してる。他の隊の奴に見られたくねぇ重要書類なんかも少なからずあるんだろう
『別に良いのに』
「や、良くはねぇでしょ」
あんた隊長なんだからそこら辺しっかりしろよ。そうは思うものの言っちまえばアッパーを喰らう事が判りきってる為口には出さねぇ。うん、成長したな俺。昔なら確実に言ってた
「隊長、俺ちょっと編集室見てくっからお前は阿散井と留守番しとけ」
『ん』
黒地に桜の刺繍された着流しを身に纏った檜佐木先輩が奥の部屋から出てきた。え、俺留守番?普通は当事者も行くもんだろ。
ソファから立ち上がろうとすれば檜佐木先輩に手で制された
「お前は独月の相手しててくれ。もし何かあったら大変だし」
『何かあっても大抵の事は乗り越えられるんだけど』
「お前は女なんだから、一人でもし何か変なのが来たら困るだろ」
『…此処修兵さんの部屋だからまずそういうのは来ないでしょ。もし来たとしても仮にも隊長なんだしどうにか出来る』
「だから……」
「あーもう判りました!俺残ります!これで良いんでしょ!?」
何時までも言い争う二人に割り込んで強制的に話をぶっち切る。要は檜佐木先輩が行くから俺は残れって事だろ?何時までぐちぐち言い合ってんだんのバカップルが!
「じゃ、行ってくるわ。阿散井、独月に手ぇ出すなよ」
「出さねぇよッ!!」
『行ってらっしゃい』
ひらひらと手を振ったちびさぎ隊長に笑みを返して檜佐木先輩は出て行った。絶壁に手ぇ出す訳ねぇだろ。つか仮にんな事してみろ、ちびさぎ隊長に卍解でぎったんぎったんにされて檜佐木先輩に風死で刈られる。んなメリットの一切ねぇ事誰がするか
『悪いな。あの人は心配性だから』
「や、気にしてねぇっす」
寧ろ慣れた。そりゃ最初は驚いたけどよ。でももうずっとこんなん見せられ続けりゃ嫌でも慣れるだろ。クールで少し冷た過ぎるぐらいなあの人がちびさぎ隊長の前じゃデレッデレなヘタレとか。常時無表情で冷静沈着な僕っ子が檜佐木先輩の前じゃ只のツンデレとか。しかも何時でも何処でもいちゃつくし。常に密着してるし。何だあんたら常に引っ付いてねぇと駄目なのか。あんたらは磁石か。
そう思うもののぶっちゃけ驚く事はねぇ。何かもうあれだ、慣れた。周りも前よりは少なからず慣れてるし。
先輩から渡された缶ビールを飲みながら、向かい側でつまらなさそうにテレビを眺めるちびさぎ隊長に声を掛ける
「隊長って、やっぱ忙しいっすか?」
『ん、それなりに。周りがサポートしてくれるからそんなに苦でもない』
「へー…」
そういやこの人は書類整理速いんだったか。ならそんなに苦でもねぇんだろうな。
「やっぱ十四番隊より九番隊の方が好きっすか?」
『ああ。財前とは馬が合わないからな。藤堂さんは好きだけど』
藤堂さん……ああ、今の十四番隊の副隊長か。確か霊術院で飛び級して仲良くなったんだったか?でも財前隊長とも何だかんだ仲良くしてた気もする。まぁこれは本人に言えば絶対機嫌を損ねちまうから言わねぇけど
『それに今は九番隊隊長。十四番隊は嫌いじゃないが、最優先は九番隊だ。お前もそうだろ?』
「まぁ、そうですね」
確かに五番隊にも十一番隊にも世話になった。けど今の俺は六番隊の副隊長。たとえ他の隊に思い入れがあっても、最優先は六番隊だ。つまりはそれと同じ
「何で先輩の着流し着てるんすか?」
激しく身の丈に合ってねぇ着流しを好んで着るのは何でなのか。気になって訊いてみればちびさぎ隊長は袖をちょんと摘まみ、言った
『修兵さんの匂いがするから』
「先輩の匂いっすか?」
頷き、ちびさぎ隊長が目を細めた。それと同時に扉が開く音。噂をすれば影ってやつなのか?
「ただいまー」
『お帰り』
ちびさぎ隊長が檜佐木先輩に声を掛ける。伝令神機あったのかな、あれがねぇとマジでコツコツ貯めてきたサングラス代が飛ぶ。
そんな事を考えていればちびさぎ隊長が先輩から俺に視線を移し─────そして平然と、爆弾を落とした
『修兵さんに抱かれてるみたいで、安心する』
「え」
「はっ!!!?」
え、ちびさぎ隊長と檜佐木先輩ってやっぱ付き合ってたのか?もうそういう事もする仲?
見れば檜佐木先輩は顔を真っ赤にしてフリーズしている。あ、この顔写メ撮れば高値で売れるんじゃね?先輩の足許に転がっていた赤い伝令神機を拾い、異常はねぇか軽く確認がてら操作する。お、結構上手く撮れた。こりゃ今月は懐が暖けぇな
『?修兵さん?』
「っ…お前は何でそう誤解される言い方を…!!」
真っ赤になったままの檜佐木先輩がそう言えばちびさぎ隊長が不思議そうに首を傾げた。お、もう一発爆弾が来る予感。身構えていれば案の定銀髪のチビは第二弾を投下した
『毎晩抱かれてるのに何が間違ってる?』
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!」
やべぇ、この人素だ。素で檜佐木先輩を茹で蛸にしてやがる。写メを増やしつつ真っ赤な先輩を案じる。もう湯気出るんじゃねぇかな先輩。
多分ちびさぎ隊長は抱き締めるって意味で言ってんだろうけど。でも先輩からすりゃ、毎晩抱かれてるなんて言われりゃ完全にソッチの方向で考えちまうんだろう。実際俺もソッチで考えたし
『変なの。修兵さん林檎みたい』
爆弾を投下した張本人はけろりとした顔でそう言った。先輩を林檎みてぇにさせたのはあんただっての。この人の事だ、どうせ言った所で理解しねぇんだろうけど
平然とした顔で茶を飲むちびさぎ隊長に話し掛ける
「言い方気ぃ付けねぇと、マジでそのうち喰われますよ?」
『?修兵さんはカニバリズムじゃないから大丈夫』
素が凶器
(素直に食うって意味で受け取るんすね……)
(?)
うちの檜佐木はトランクス派
「あー疲れた…って、あれ?」
懐を探し、目的の物がねぇ事に気付く。伝令神機何処行った?引き出しの中にも机の下にもねぇ。え、まさか落とした?
「良く考えろ俺……何処で伝令神機弄った…?」
脳味噌をフル回転させて考える。今日伝令神機を使ったのは確か午後の一回だけ…な筈。確か九番隊に重要書類届けに行って、檜佐木先輩と少し話して、えーと…あれ、どうしたっけ?待て、落ち着け阿散井恋次、てめぇなら出来る筈だ、頑張って思い出せ
うんうん唸りながら頭を抱える事数秒
「やべぇ…思い出せねぇ……」
多分今の俺の顔は真っ青。伝令神機って結構高かったよな?やべぇ、見付かんなきゃ新しく買わねぇと。そうなりゃ今までコツコツ貯めてきたサングラス代がパァだ。あれ今年の最新モデルなのに!もう予約しちまったってのに!やべぇマジでどうする俺!
「…取り敢えず先輩のとこ行くか…?」
向かったのは九番隊舎。その中の生活スペースである護廷屋敷に入り、席官クラスの部屋に向かう。隊長副隊長の部屋はこの廊下の最奥。近付けば微かに騒音が聴こえた。ああ、テレビ観てんのか
小さく深呼吸して扉をノックする。するとすぐに扉が開いた
『何の用だ阿散井』
出てきたのは男物らしき藍色の着流しを緩く身に纏ったちびさぎ隊長。直視したら絶対先輩に殴られる。目を逸らしながら訊ねた
「檜佐木先輩居ます?」
『風呂。取り敢えず上がれば?』
「あ、はい」
奥に消えたちびさぎ隊長の後を追う。つか此処檜佐木先輩の部屋だよな?何か普通に部屋に上げられたんだけど良いのか。
『ん』
「あ、ども」
あんまり物のねぇ部屋のソファに促され、出された湯呑みを受け取る。ちびさぎ隊長は俺の向かい側に座った
つかそれ絶対檜佐木先輩の着流しだろ。サイズが半端なく合ってねぇし。寧ろ着流しに着られてる。
ぺったんこな胸元ががっつり開いてんだけどこれは注意して良いのか。何か下手したら檜佐木先輩にキャメルクラッチ喰らう気がする。…良し、此処は見てねぇフリでいく
「上がったぞー……ってあれ、阿散井?」
そう決めた時、髪を拭きながら檜佐木先輩が歩いてきた。その姿を見て首を傾げる。先輩が履いてんのは現世のトランクスって下着だけ。え、何で下着だけ?
「どうも…って何で下着だけなんすか?」
「ああ、着流し勝手にこいつが着てる……ってお前は何でそんなに緩く着るんだよ」
『大きくて着るの難しい』
「なら着るな……ったく、ほら」
『ありがとう』
「どーいたしまして」
手早くちびさぎ隊長の胸元を正した檜佐木先輩が優しく笑う。女性隊士が見たら絶対きゃーきゃー騒ぐ笑み。勿論そう簡単にゃ振り撒かねぇ。寧ろ他の奴にこんな笑みを向けねぇ。あんたほんとちびさぎ隊長にはデレッデレだな……って俺は遊びに来た訳じゃねぇんだよ
「あの、檜佐木先輩」
「ん?どうした?」
冷蔵庫に向かった背中に話し掛ければ先輩は此方を向いた。その手が冷蔵庫から取り出したのは缶ビール。あんまり尸魂界じゃお目に掛かれねぇもんだ
「ああ、飲みてぇのか。ほら」
「や、投げないで下さいよ!」
勝手にそう解釈した檜佐木先輩が俺に向かって缶を放った。最近現世の酒を飲んでなかったからありがてぇ……ってそうじゃねぇよ!
「そういやお前死覇装だな。残業か?」
「ええ、まぁ。あの、先輩」
「んー?」
「俺の伝令神機知りません?」
プルタブを起こした先輩が首を傾げる。あ、やっぱり知らねぇか
「何だよ、失くしたのか?」
「はい……」
頷くと今まで黙っていたちびさぎ隊長が口を開いた
『忘れ物入れに入ってるとか』
「忘れ物入れ?」
何だそれ。六番隊にゃんなもんねぇぞ。言えばちびさぎ隊長が湯呑みを口許に運んだ
『うちの隊は他隊の奴の忘れ物が多いから、忘れ物入れが設置されてる』
何でも編集室を出入りする隊士が多い分、忘れ物なんかも多いんだと。なら俺の伝令神機其処にあんのかな
「何なら今から見てきてやろうか?」
「や、鍵貸して貰えたら自分で行きますよ」
「ばーか、流石に他隊の奴を勤務時間外に一人で入らせるなんて事は出来ねぇよ」
そう言った檜佐木先輩が缶ビールを飲み干し奥の部屋に消えた。そりゃそうか、幾ら同じ護廷隊とは言え各隊で独立してる。他の隊の奴に見られたくねぇ重要書類なんかも少なからずあるんだろう
『別に良いのに』
「や、良くはねぇでしょ」
あんた隊長なんだからそこら辺しっかりしろよ。そうは思うものの言っちまえばアッパーを喰らう事が判りきってる為口には出さねぇ。うん、成長したな俺。昔なら確実に言ってた
「隊長、俺ちょっと編集室見てくっからお前は阿散井と留守番しとけ」
『ん』
黒地に桜の刺繍された着流しを身に纏った檜佐木先輩が奥の部屋から出てきた。え、俺留守番?普通は当事者も行くもんだろ。
ソファから立ち上がろうとすれば檜佐木先輩に手で制された
「お前は独月の相手しててくれ。もし何かあったら大変だし」
『何かあっても大抵の事は乗り越えられるんだけど』
「お前は女なんだから、一人でもし何か変なのが来たら困るだろ」
『…此処修兵さんの部屋だからまずそういうのは来ないでしょ。もし来たとしても仮にも隊長なんだしどうにか出来る』
「だから……」
「あーもう判りました!俺残ります!これで良いんでしょ!?」
何時までも言い争う二人に割り込んで強制的に話をぶっち切る。要は檜佐木先輩が行くから俺は残れって事だろ?何時までぐちぐち言い合ってんだんのバカップルが!
「じゃ、行ってくるわ。阿散井、独月に手ぇ出すなよ」
「出さねぇよッ!!」
『行ってらっしゃい』
ひらひらと手を振ったちびさぎ隊長に笑みを返して檜佐木先輩は出て行った。絶壁に手ぇ出す訳ねぇだろ。つか仮にんな事してみろ、ちびさぎ隊長に卍解でぎったんぎったんにされて檜佐木先輩に風死で刈られる。んなメリットの一切ねぇ事誰がするか
『悪いな。あの人は心配性だから』
「や、気にしてねぇっす」
寧ろ慣れた。そりゃ最初は驚いたけどよ。でももうずっとこんなん見せられ続けりゃ嫌でも慣れるだろ。クールで少し冷た過ぎるぐらいなあの人がちびさぎ隊長の前じゃデレッデレなヘタレとか。常時無表情で冷静沈着な僕っ子が檜佐木先輩の前じゃ只のツンデレとか。しかも何時でも何処でもいちゃつくし。常に密着してるし。何だあんたら常に引っ付いてねぇと駄目なのか。あんたらは磁石か。
そう思うもののぶっちゃけ驚く事はねぇ。何かもうあれだ、慣れた。周りも前よりは少なからず慣れてるし。
先輩から渡された缶ビールを飲みながら、向かい側でつまらなさそうにテレビを眺めるちびさぎ隊長に声を掛ける
「隊長って、やっぱ忙しいっすか?」
『ん、それなりに。周りがサポートしてくれるからそんなに苦でもない』
「へー…」
そういやこの人は書類整理速いんだったか。ならそんなに苦でもねぇんだろうな。
「やっぱ十四番隊より九番隊の方が好きっすか?」
『ああ。財前とは馬が合わないからな。藤堂さんは好きだけど』
藤堂さん……ああ、今の十四番隊の副隊長か。確か霊術院で飛び級して仲良くなったんだったか?でも財前隊長とも何だかんだ仲良くしてた気もする。まぁこれは本人に言えば絶対機嫌を損ねちまうから言わねぇけど
『それに今は九番隊隊長。十四番隊は嫌いじゃないが、最優先は九番隊だ。お前もそうだろ?』
「まぁ、そうですね」
確かに五番隊にも十一番隊にも世話になった。けど今の俺は六番隊の副隊長。たとえ他の隊に思い入れがあっても、最優先は六番隊だ。つまりはそれと同じ
「何で先輩の着流し着てるんすか?」
激しく身の丈に合ってねぇ着流しを好んで着るのは何でなのか。気になって訊いてみればちびさぎ隊長は袖をちょんと摘まみ、言った
『修兵さんの匂いがするから』
「先輩の匂いっすか?」
頷き、ちびさぎ隊長が目を細めた。それと同時に扉が開く音。噂をすれば影ってやつなのか?
「ただいまー」
『お帰り』
ちびさぎ隊長が檜佐木先輩に声を掛ける。伝令神機あったのかな、あれがねぇとマジでコツコツ貯めてきたサングラス代が飛ぶ。
そんな事を考えていればちびさぎ隊長が先輩から俺に視線を移し─────そして平然と、爆弾を落とした
『修兵さんに抱かれてるみたいで、安心する』
「え」
「はっ!!!?」
え、ちびさぎ隊長と檜佐木先輩ってやっぱ付き合ってたのか?もうそういう事もする仲?
見れば檜佐木先輩は顔を真っ赤にしてフリーズしている。あ、この顔写メ撮れば高値で売れるんじゃね?先輩の足許に転がっていた赤い伝令神機を拾い、異常はねぇか軽く確認がてら操作する。お、結構上手く撮れた。こりゃ今月は懐が暖けぇな
『?修兵さん?』
「っ…お前は何でそう誤解される言い方を…!!」
真っ赤になったままの檜佐木先輩がそう言えばちびさぎ隊長が不思議そうに首を傾げた。お、もう一発爆弾が来る予感。身構えていれば案の定銀髪のチビは第二弾を投下した
『毎晩抱かれてるのに何が間違ってる?』
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!」
やべぇ、この人素だ。素で檜佐木先輩を茹で蛸にしてやがる。写メを増やしつつ真っ赤な先輩を案じる。もう湯気出るんじゃねぇかな先輩。
多分ちびさぎ隊長は抱き締めるって意味で言ってんだろうけど。でも先輩からすりゃ、毎晩抱かれてるなんて言われりゃ完全にソッチの方向で考えちまうんだろう。実際俺もソッチで考えたし
『変なの。修兵さん林檎みたい』
爆弾を投下した張本人はけろりとした顔でそう言った。先輩を林檎みてぇにさせたのはあんただっての。この人の事だ、どうせ言った所で理解しねぇんだろうけど
平然とした顔で茶を飲むちびさぎ隊長に話し掛ける
「言い方気ぃ付けねぇと、マジでそのうち喰われますよ?」
『?修兵さんはカニバリズムじゃないから大丈夫』
素が凶器
(素直に食うって意味で受け取るんすね……)
(?)
うちの檜佐木はトランクス派