イライラ発散法
此方に背を向けて、生け花なんかに使う鋏を手にしている銀髪。
ちょきりと小気味良い音を立てて我等が可愛い隊長サマが弄っているのは薔薇だ。
四季咲きの薔薇からあまりにも葉が茂っているらしく、独月は無言で剪定している。
や、まぁこんな事し始めた理由は判ってるんだが。
「独月、一旦休憩しろよ。喉渇いたろ」
『………』
「…駄目だ、聞こえてねぇ」
俺の言葉にも独月は反応しねぇ。
淡々と隊舎に繁茂する薔薇の手入れをする小せぇ背中から視線を外し、俺はソファから立ち上がった。
確か熱中症対策の粉末を買い置きしてた筈。まだ暑くはねぇが、気を付けた方が良いだろう。
戸棚を漁り、すぐに目当ての物を見付けた。
粉末を大きめの容器に入れて水に溶かし、コップに注ぐ。
それを持って庭に降り、銀髪の上にコップを乗せた
『ん…?』
「休憩しな。ほら、飲み物」
『……ありがと』
軍手を外した独月を連れ、部屋に戻る。ソファに座った独月の隣に腰掛け、そっと頭を引き寄せる。
俺の胸に頭を預けたまま、静かに独月がコップを口許に運んだ。
そのまま互いに何も言わず、過ごす。
判ってる、こいつがこうなったって事は、隊首会で何かがあったんだろう。
こいつは苛つくと無言で植物の面倒を見始める。暫くそうして、心が落ち着いた時にやっと口を利く様になるのだ。
あまりにももやもやしてたら泣きながら植物弄ってるから、それは流石にビビるけど。
ゆっくりと頭を撫でれば綺麗な両目から水滴が零れ落ちた。ああ、もやもやしてんのか。
静かに拭ってやっていれば、自分で目許を乱暴に擦った独月が空になったコップを置いて立ち上がった。
そしてまた庭に降りていく。
その背を見送って、自分用に淹れた粉末飲料を口にした
「…あっま」
予想外の甘さに眉を顰める。
俺には向いてねぇわ、これ。コップをテーブルに戻し、再び視線を小せぇ背中に向けた。
はっきり言おう、ぶっちゃけ俺は今薔薇に嫉妬してる。
や、しょうもねぇって事は判ってる。だけど、苛立っているあいつを宥めるのもあの薔薇な訳で。
この隊舎の薔薇は国後がそうしたのか、三日程度で葉を大量に茂らせる。恐らく独月が何時剪定したくなっても良い様にだと思う。あいつも何だかんだ言って何時も独月の為に動いてるし。
…ああ、駄目だ。国後に殺意が湧きそう。流石にそれはいかんだろ。頭を掻いて、小さく溜息を吐いた
「もっと頼って下さいよ、隊長…」
薔薇
ちょきりと小気味良い音を立てて我等が可愛い隊長サマが弄っているのは薔薇だ。
四季咲きの薔薇からあまりにも葉が茂っているらしく、独月は無言で剪定している。
や、まぁこんな事し始めた理由は判ってるんだが。
「独月、一旦休憩しろよ。喉渇いたろ」
『………』
「…駄目だ、聞こえてねぇ」
俺の言葉にも独月は反応しねぇ。
淡々と隊舎に繁茂する薔薇の手入れをする小せぇ背中から視線を外し、俺はソファから立ち上がった。
確か熱中症対策の粉末を買い置きしてた筈。まだ暑くはねぇが、気を付けた方が良いだろう。
戸棚を漁り、すぐに目当ての物を見付けた。
粉末を大きめの容器に入れて水に溶かし、コップに注ぐ。
それを持って庭に降り、銀髪の上にコップを乗せた
『ん…?』
「休憩しな。ほら、飲み物」
『……ありがと』
軍手を外した独月を連れ、部屋に戻る。ソファに座った独月の隣に腰掛け、そっと頭を引き寄せる。
俺の胸に頭を預けたまま、静かに独月がコップを口許に運んだ。
そのまま互いに何も言わず、過ごす。
判ってる、こいつがこうなったって事は、隊首会で何かがあったんだろう。
こいつは苛つくと無言で植物の面倒を見始める。暫くそうして、心が落ち着いた時にやっと口を利く様になるのだ。
あまりにももやもやしてたら泣きながら植物弄ってるから、それは流石にビビるけど。
ゆっくりと頭を撫でれば綺麗な両目から水滴が零れ落ちた。ああ、もやもやしてんのか。
静かに拭ってやっていれば、自分で目許を乱暴に擦った独月が空になったコップを置いて立ち上がった。
そしてまた庭に降りていく。
その背を見送って、自分用に淹れた粉末飲料を口にした
「…あっま」
予想外の甘さに眉を顰める。
俺には向いてねぇわ、これ。コップをテーブルに戻し、再び視線を小せぇ背中に向けた。
はっきり言おう、ぶっちゃけ俺は今薔薇に嫉妬してる。
や、しょうもねぇって事は判ってる。だけど、苛立っているあいつを宥めるのもあの薔薇な訳で。
この隊舎の薔薇は国後がそうしたのか、三日程度で葉を大量に茂らせる。恐らく独月が何時剪定したくなっても良い様にだと思う。あいつも何だかんだ言って何時も独月の為に動いてるし。
…ああ、駄目だ。国後に殺意が湧きそう。流石にそれはいかんだろ。頭を掻いて、小さく溜息を吐いた
「もっと頼って下さいよ、隊長…」
薔薇