あんたは鬼か2
「今日の合同実習白打だったよな?」
『ん』
只今演習場に移動中。僕は修兵さんの腕の上です。何故かと言うと教室に迎えに来た修兵さんの隣に並んだら持ち上げられたから。この人凄い腕力だよね。其処まで筋肉質には見えないのに。僕達を見た藤堂さんが凄い顔してたけどそれは気にしない事にした。どうせ修兵さん降ろしてくれないし。もう最近では景色を楽しむ余裕も出て来た。慣れって怖い
「……檜佐木先輩に桜花先輩?」
『ん?』
ふと聞こえた声に振り向けば大人しそうな男の人が此方を見てた。何処かで見たと思ったらあの実習の時に助けに来てくれた人だ
「てめぇは確か…吉良、だったか?」
凄いな修兵さん。名前覚えてたのか
僕なんか顔覚えるので精一杯なのに
「はい。あの時はお世話になりました」
そう言って頭を下げてから吉良さんは首を傾げた
「あの、先輩達は何をしていらっしゃるんですか?」
何って、どれの事だ。ああ、修兵さんが僕を腕に乗せてる事か
「何って、移動中だ」
「…桜花先輩を腕に乗せて、ですか?」
修兵さんは不思議そうに頷く。うん、あんたがおかしいから。普通は何してんのって聞きたくなるからね
聞いても無駄だと首を振れば吉良さんが可哀想なものを見る目で僕を見た。止めろ同情するな
「俺らそろそろ行くわ」
修兵さんが歩き出したので吉良さんにひらひらと手を振っておく。可哀想なものを見る目は止めてくれなかったが軽く頭を下げられたのでまぁ良しとしよう
今日の合同実習は先生が適当に二人ずつ呼び出し白打のみの試合をさせるものだった。一回に六人程度呼ばれて、それ以外は壁際で試合を眺めている
「つまんねぇ」
退屈そうに修兵さんが欠伸をした。確かに退屈だ。見てるだけとか暇過ぎる
「どうせなら独月とやりてぇな」
『僕も』
修兵さんと試合するならきっと楽しいだろう。きっと勝てないだろうけど
「良し、この組で最後だな」
先生が適当に指名していく。あ、藤堂さんが呼ばれた。相手は男の人。身長差凄いな
「じゃあ…最後は優等生対決行くか」
最後の二人を指名する時に先生が僕達を見た
「檜佐木に桜花、前へ」
「手加減はしねぇぞ、独月」
『当たり前…宜しくお願いします』
「おう、宜しく」
一礼して構える。
僕の白打は修兵さんから習ったものだから、左手と左足を半歩引き少し腰を落とした修兵さんとは鏡映しのものになる。普通は足を引かないらしいが修兵さんがその構えが自分に合ってるらしく僕の構えもそれになった。
「始め!」
言葉と同時に顎を狙って掌底を叩き込む。けれどあっさりといなされお返しとばかりに掌底が来た。それを躱して腹部目掛けて肘を出す。だがそれも腕を掴む事によって回避された
「この程度かよ、独月チャン?」
手を振り払って拳を顔面目掛けて振りかぶる
「やたらと相手の顔面狙うのはお前の悪い癖だ」
背後から手を掴まれた。え、今まで目の前に居たのに
掴まれた状態で背後に蹴りを食らわす。だが片手で防がれた
「足癖悪ぃな」
『このっ!』
無事な方の手で再び顎を狙えば顔を上に反らして回避される。その間に肘を食らわせた。鳩尾に食らった修兵さんが掴む力を弱める。その隙に修兵さんから距離を取った
「ってぇな……手加減ナシかよ…」
『手加減ナシって言った』
修兵さんには今手加減されているけれども
手加減されていなければ腕を掴んだ時点で僕は負けていた筈だし。そもそも修兵さんと本気で試合をすると大抵僕が秒殺される
ひらひらと手を動かしてから構えた修兵さんがにやりと笑った
「じゃ、少し本気で行くぜ。秒殺されない様に頑張りな」
『……頑張る』
物凄い勢いで向かってくる拳を何とかいなす。これが瞬歩禁止で良かった。普段なら修兵さんの瞬歩を目で追い切れずに秒殺されるから
「甘ぇ」
拳をいなした瞬間に回し蹴りを食らった。腕でガードしたものの堪えきれず後ろに吹っ飛ぶ。他の生徒の悲鳴。そのまま壁に激突する前に体勢を立て直し、壁を蹴って修兵さんに飛び掛かった。殴り掛かれば拳を受け止められる
「軽い」
『…う…わ…!』
いや今加速してたし結構力は足されてた筈なんですけど
片手で真上に投げられる。細く見えるのにどんだけ怪力なんだあの人。投げられた状態から持ち直してそのまま踵落としを試みる。だがあっさり防がれた
「まぁお前にしちゃ頑張ったな。だがもう終わりだ」
掴んだ足を引っ張られ床に叩き付けられる。痛みで一瞬息が詰まった。そのまま両手を拘束され身体に跨られる。うん、抵抗出来ん。小さく負けました、と言えば修兵さんは笑った
先生が修兵さんの勝ちを告げ試合が終わる。
「怪我はねぇな?」
『ん』
差し出された手に掴まって立ち上がれば頭を撫でられた
「お前鳩尾ばっか狙ったろ」
『同じ箇所を狙えば勝てるかなって』
確かに鳩尾を狙った。其処から崩していけば勝てるかも知れないし。まぁそれは通用しなかった訳だけど
「前よりは動きも良くなった。眼帯も外してたしな」
その言葉を聞きながら眼帯を装着する。途端に来るのは安心感。やっぱり左目は閉じていた方が良い。てか外さないとねちっこく左側攻めてくんのあんたじゃないか
また隠しやがった、とかぶつくさ言ってる修兵さんは無視。眼帯外すの嫌いなんですよ
「良し、放課後もやるか」
いや待てあんたは僕を殺す気か
鬼による死亡フラグ
(もう無理………)
(体力ねぇな)
(修兵さんの鬼………)
(そーか独月チャンは飯抜きが良いか)
(ごめんなさいごめんなさいごめんなさい)
『ん』
只今演習場に移動中。僕は修兵さんの腕の上です。何故かと言うと教室に迎えに来た修兵さんの隣に並んだら持ち上げられたから。この人凄い腕力だよね。其処まで筋肉質には見えないのに。僕達を見た藤堂さんが凄い顔してたけどそれは気にしない事にした。どうせ修兵さん降ろしてくれないし。もう最近では景色を楽しむ余裕も出て来た。慣れって怖い
「……檜佐木先輩に桜花先輩?」
『ん?』
ふと聞こえた声に振り向けば大人しそうな男の人が此方を見てた。何処かで見たと思ったらあの実習の時に助けに来てくれた人だ
「てめぇは確か…吉良、だったか?」
凄いな修兵さん。名前覚えてたのか
僕なんか顔覚えるので精一杯なのに
「はい。あの時はお世話になりました」
そう言って頭を下げてから吉良さんは首を傾げた
「あの、先輩達は何をしていらっしゃるんですか?」
何って、どれの事だ。ああ、修兵さんが僕を腕に乗せてる事か
「何って、移動中だ」
「…桜花先輩を腕に乗せて、ですか?」
修兵さんは不思議そうに頷く。うん、あんたがおかしいから。普通は何してんのって聞きたくなるからね
聞いても無駄だと首を振れば吉良さんが可哀想なものを見る目で僕を見た。止めろ同情するな
「俺らそろそろ行くわ」
修兵さんが歩き出したので吉良さんにひらひらと手を振っておく。可哀想なものを見る目は止めてくれなかったが軽く頭を下げられたのでまぁ良しとしよう
今日の合同実習は先生が適当に二人ずつ呼び出し白打のみの試合をさせるものだった。一回に六人程度呼ばれて、それ以外は壁際で試合を眺めている
「つまんねぇ」
退屈そうに修兵さんが欠伸をした。確かに退屈だ。見てるだけとか暇過ぎる
「どうせなら独月とやりてぇな」
『僕も』
修兵さんと試合するならきっと楽しいだろう。きっと勝てないだろうけど
「良し、この組で最後だな」
先生が適当に指名していく。あ、藤堂さんが呼ばれた。相手は男の人。身長差凄いな
「じゃあ…最後は優等生対決行くか」
最後の二人を指名する時に先生が僕達を見た
「檜佐木に桜花、前へ」
「手加減はしねぇぞ、独月」
『当たり前…宜しくお願いします』
「おう、宜しく」
一礼して構える。
僕の白打は修兵さんから習ったものだから、左手と左足を半歩引き少し腰を落とした修兵さんとは鏡映しのものになる。普通は足を引かないらしいが修兵さんがその構えが自分に合ってるらしく僕の構えもそれになった。
「始め!」
言葉と同時に顎を狙って掌底を叩き込む。けれどあっさりといなされお返しとばかりに掌底が来た。それを躱して腹部目掛けて肘を出す。だがそれも腕を掴む事によって回避された
「この程度かよ、独月チャン?」
手を振り払って拳を顔面目掛けて振りかぶる
「やたらと相手の顔面狙うのはお前の悪い癖だ」
背後から手を掴まれた。え、今まで目の前に居たのに
掴まれた状態で背後に蹴りを食らわす。だが片手で防がれた
「足癖悪ぃな」
『このっ!』
無事な方の手で再び顎を狙えば顔を上に反らして回避される。その間に肘を食らわせた。鳩尾に食らった修兵さんが掴む力を弱める。その隙に修兵さんから距離を取った
「ってぇな……手加減ナシかよ…」
『手加減ナシって言った』
修兵さんには今手加減されているけれども
手加減されていなければ腕を掴んだ時点で僕は負けていた筈だし。そもそも修兵さんと本気で試合をすると大抵僕が秒殺される
ひらひらと手を動かしてから構えた修兵さんがにやりと笑った
「じゃ、少し本気で行くぜ。秒殺されない様に頑張りな」
『……頑張る』
物凄い勢いで向かってくる拳を何とかいなす。これが瞬歩禁止で良かった。普段なら修兵さんの瞬歩を目で追い切れずに秒殺されるから
「甘ぇ」
拳をいなした瞬間に回し蹴りを食らった。腕でガードしたものの堪えきれず後ろに吹っ飛ぶ。他の生徒の悲鳴。そのまま壁に激突する前に体勢を立て直し、壁を蹴って修兵さんに飛び掛かった。殴り掛かれば拳を受け止められる
「軽い」
『…う…わ…!』
いや今加速してたし結構力は足されてた筈なんですけど
片手で真上に投げられる。細く見えるのにどんだけ怪力なんだあの人。投げられた状態から持ち直してそのまま踵落としを試みる。だがあっさり防がれた
「まぁお前にしちゃ頑張ったな。だがもう終わりだ」
掴んだ足を引っ張られ床に叩き付けられる。痛みで一瞬息が詰まった。そのまま両手を拘束され身体に跨られる。うん、抵抗出来ん。小さく負けました、と言えば修兵さんは笑った
先生が修兵さんの勝ちを告げ試合が終わる。
「怪我はねぇな?」
『ん』
差し出された手に掴まって立ち上がれば頭を撫でられた
「お前鳩尾ばっか狙ったろ」
『同じ箇所を狙えば勝てるかなって』
確かに鳩尾を狙った。其処から崩していけば勝てるかも知れないし。まぁそれは通用しなかった訳だけど
「前よりは動きも良くなった。眼帯も外してたしな」
その言葉を聞きながら眼帯を装着する。途端に来るのは安心感。やっぱり左目は閉じていた方が良い。てか外さないとねちっこく左側攻めてくんのあんたじゃないか
また隠しやがった、とかぶつくさ言ってる修兵さんは無視。眼帯外すの嫌いなんですよ
「良し、放課後もやるか」
いや待てあんたは僕を殺す気か
鬼による死亡フラグ
(もう無理………)
(体力ねぇな)
(修兵さんの鬼………)
(そーか独月チャンは飯抜きが良いか)
(ごめんなさいごめんなさいごめんなさい)