虚と黒髪と青空3
あ、そう言えばお兄さんの名前聞いてない
『…あの…お兄さんの、なまえ…』
緊張しつつそう言うと、そういや名乗ってなかったなと呟いたお兄さんがまた笑った
「俺は、檜佐木修兵だ」
…え、ごめん何て?
内心首を傾げつつ、言ってみる
『…ひしゃぎ…しゅーへー…?』
あ、噛んだ。
けれどお兄さんは気分を害した様子もなく、へらりと笑った
「ゆっくり檜佐木って言ってみな」
『ひさぎ』
あ、言えた
「言えたな。んで、修兵だ」
『しゅーへー』
「続けて言ってみろよ」
『ひしゃぎしゅーへー』
「………」
『………』
どうしよう、何とも言えない表情で見つめられている。でもどうしても言えないんだよ!ひとさが続いたら言いにくいんだよ!
でもそう言う訳にもいかずじっとお兄さんを見つめ返せば、諦めた様に笑われた
「もう良いや…そのうち言える様になんだろ。俺の事は修兵って呼べ」
『……判った』
うん。苗字言えなくてごめん。噛んじゃってごめん命の恩人さん
『……しゅーへーさん…』
確認する様に名前を言えば、修兵さんはそうだと笑った。そして僕に訊ねてくる
「お前の名前は?」
『…桜花…独月…』
「独月、な」
笑った修兵さんがぽんと僕の頭に手を置いた。
そして彼は柔らかな声で言ったのだ
「もう泣いて良いぜ、独月」
『……え…』
泣く?何で?
意味が判らずぼんやりと見ていれば、修兵さんが頭を撫でながら頬をゆるゆると撫でた
「虚、怖かっただろ?もう大丈夫だから、泣いて良いぜ」
『〜〜〜っ』
染み入る様な低くて優しい声。
その言葉を聞いた瞬間────────ぶわっと熱いものが両目を満たした。
そのままぽろぽろと零れ落ちる。
ぶり返す、さっきまで襲い掛かって来ていた感情。身体が震える。胸の辺りもざわざわする。
あ、やばい。涙止まらない。
これ以上この人に迷惑を掛ける訳にはいかないのに
『…こわ…かった…っ』
口を突いてその言葉は漏れ出てしまった。
そうすれば、もう手遅れで。
ただでさえぼたぼたと落ちていた涙が、更に溢れ出す。
そんな僕を見た修兵さんが、安心させる様に笑った
「良く頑張ったな。偉いぞ」
頬を拭う修兵さんが、ぐずぐずと鼻を鳴らす僕の頭を引き寄せた。
ぽんぽんと一定のリズムで背中を叩かれ、止まるどころかもっと涙が零れた。
彼の胸元をぎゅっと掴み、泣く。
そんな僕をあやす修兵さんは小さく笑いながら、また優しい声で囁くのだ
「俺の胸貸してやるから、好きなだけ泣きな」
黒髪目付きの悪い人
(…ぐすっ…)
(よーし泣け泣け。好きなだけ泣け)
執筆訂正
20140925
『…あの…お兄さんの、なまえ…』
緊張しつつそう言うと、そういや名乗ってなかったなと呟いたお兄さんがまた笑った
「俺は、檜佐木修兵だ」
…え、ごめん何て?
内心首を傾げつつ、言ってみる
『…ひしゃぎ…しゅーへー…?』
あ、噛んだ。
けれどお兄さんは気分を害した様子もなく、へらりと笑った
「ゆっくり檜佐木って言ってみな」
『ひさぎ』
あ、言えた
「言えたな。んで、修兵だ」
『しゅーへー』
「続けて言ってみろよ」
『ひしゃぎしゅーへー』
「………」
『………』
どうしよう、何とも言えない表情で見つめられている。でもどうしても言えないんだよ!ひとさが続いたら言いにくいんだよ!
でもそう言う訳にもいかずじっとお兄さんを見つめ返せば、諦めた様に笑われた
「もう良いや…そのうち言える様になんだろ。俺の事は修兵って呼べ」
『……判った』
うん。苗字言えなくてごめん。噛んじゃってごめん命の恩人さん
『……しゅーへーさん…』
確認する様に名前を言えば、修兵さんはそうだと笑った。そして僕に訊ねてくる
「お前の名前は?」
『…桜花…独月…』
「独月、な」
笑った修兵さんがぽんと僕の頭に手を置いた。
そして彼は柔らかな声で言ったのだ
「もう泣いて良いぜ、独月」
『……え…』
泣く?何で?
意味が判らずぼんやりと見ていれば、修兵さんが頭を撫でながら頬をゆるゆると撫でた
「虚、怖かっただろ?もう大丈夫だから、泣いて良いぜ」
『〜〜〜っ』
染み入る様な低くて優しい声。
その言葉を聞いた瞬間────────ぶわっと熱いものが両目を満たした。
そのままぽろぽろと零れ落ちる。
ぶり返す、さっきまで襲い掛かって来ていた感情。身体が震える。胸の辺りもざわざわする。
あ、やばい。涙止まらない。
これ以上この人に迷惑を掛ける訳にはいかないのに
『…こわ…かった…っ』
口を突いてその言葉は漏れ出てしまった。
そうすれば、もう手遅れで。
ただでさえぼたぼたと落ちていた涙が、更に溢れ出す。
そんな僕を見た修兵さんが、安心させる様に笑った
「良く頑張ったな。偉いぞ」
頬を拭う修兵さんが、ぐずぐずと鼻を鳴らす僕の頭を引き寄せた。
ぽんぽんと一定のリズムで背中を叩かれ、止まるどころかもっと涙が零れた。
彼の胸元をぎゅっと掴み、泣く。
そんな僕をあやす修兵さんは小さく笑いながら、また優しい声で囁くのだ
「俺の胸貸してやるから、好きなだけ泣きな」
黒髪目付きの悪い人
(…ぐすっ…)
(よーし泣け泣け。好きなだけ泣け)
執筆訂正
20140925