入隊5
藍染隊長と別れて五番隊舎を出る。てか何処に向かってるんだろう。
『修兵さん、何処行くの?』
「飲み」
『は?』
飲み?
聞き返せばそうだと頷かれる。何でも戦闘指導に来たメンバーの松本副隊長と志波副隊長が僕に会いたがっているらしく何時もの居酒屋に連れて来いと言われたらしい。因みに斑目さんと市丸隊長は予定が合わず欠席。いや何故そんなに会いたがってるのかは知らないけど
「まぁ楽しめよ。お前の歓迎会でもあるんだからな」
『はぁ』
居酒屋ではもう松本副隊長が出来上がっていた。近付きたくない。あの様子だと絶対に絡むタイプだもんあの人。
近付こうとする修兵さんの手を引き止める。不思議そうな修兵さんを放置して暫く見ていると此方に気付いた志波副隊長が手を振った。今明らかに助かったって顔したね副隊長。出来れば気付かないで欲しかった。
仕方ないので二人に近寄る
「遅いわよちびさぎー!!」
『すいませ……っわぷ!』
早速松本副隊長による窒息の刑に処された。ちょっ苦しいマジで死ぬっ
「乱菊さんタンマ。独月が落ちます」
ばたばたしていると修兵さんに首根っこを掴まれ引き寄せられた。窒息の刑から解放される。あー苦しかったほんと死ぬかと思った
つか胸って窒息させるものだったか?大きいと危険物と化すのかアレは
何かもうこの窒息の刑食らったの二回目だし胸の大きい女の人が苦手になりそう
『……巨乳怖い…』
「…大丈夫だから落ち着け独月」
修兵さんに頭を撫でられて席に座らされる。隣に修兵さんが座った。
「主役も来た事だし飲み直すか!」
志波副隊長がお猪口を持った。僕も酒の注がれたそれを修兵さんに持たされる。
「天才児の入隊を祝ってぇ…乾杯!」
「「乾杯!!」」
『…かんぱーい?』
取り敢えずお猪口同士を軽くぶつけ合うのに混ざる。うん、宴会作法は全く判らん。戸惑っているとそれを察したのか修兵さんが頭を撫でてくれた
「今乾杯もしたから、もう普通に食いてぇもん頼みな」
『……居酒屋来た事ないから何があるか判んない』
「あ?…ああ、お前去年まで院生だったもんな。なら適当に頼むから好きなもん食えよ」
『ん』
頷くと修兵さんが店員に何かを注文し始めた。それに加えて松本副隊長と志波副隊長も注文をする
注文を終えた修兵さんが酒を飲んだので僕も真似して少しだけ飲んでみる。
うわ、辛い。何これ何でこんなに辛いの。皆こんなのを美味しいって言ってるのか
眉をしかめれば修兵さんにお猪口を取られた。そのままくいっと飲み干される
「お前にはまだ早かったか?」
『………辛い』
「まぁ初めて飲めばそんなもんだ」
空になったお猪口を差し出されたので徳利を傾ける。てかそのお猪口僕のなんだけど。
まぁ良いかと諦めると志波副隊長にお猪口の代わりにお冷やを貰った。ありがとうございますと言えば頭を撫でられた。
「しゅーへーあんた何ちびさぎのお猪口で飲んでんのよぉ!!」
出た、絡み酒。てかこの人何時から飲んでたんだ。凄く酒臭い。何かもうでろんでろんだし
「天才児の才能を頂いてるんすよ」
平然と返した修兵さんがお猪口を此方に向ける。それに酒を注げば頭を撫でられた。そもそも僕は天才じゃない
「お、料理が来たみてぇだな」
志波副隊長が目を輝かせる。あんたお腹空いてたのか。並べられたのは焼き鳥。あと酒。この酒絶対そこの酔っ払いが頼んだよ。酒見て嬉しそうだし
「どれが良い?」
『……お任せで』
「畏まりました」
修兵さんが大皿から数本焼き鳥を僕の小皿に取ってくれた。ありがとうと言えばどーいたしましてと笑われる。すると僕達を見ていた松本副隊長が急に目を輝かせた。何、どうしたんだ何があった。あ、志波副隊長が引いてる
「ねぇ、前から気になってたんだけど、あんた達って付き合ってんの?」
『「………は?」』
今何て?思わず聞き返す。修兵さんも同じだったらしく二人で顔を見合わせた。付き合ってるって、僕と修兵さんが?
「え、違うの?」
『違います』
ないない。僕と修兵さんが付き合ってるとかない
「じゃあ何で何時も一緒に居るのよ?」
『修兵さんの隣は安心するんですよ』
例えどんなに不安でも修兵さんの隣に居ると不思議と大丈夫だと思える。傍に居ても不安な時はくっ付いたら元気になれるし。
松本副隊長はふーんと呟いて標的を替えた。また飲み始めた修兵さんに
「しゅーへーは?」
「俺っすか?」
きょとんとした後僕を見る。目が合うと笑って頭を撫でられた
「俺も一緒ですよ。傍に居ると安心するし…ほっとけねぇし」
『えぇえ』
ほっとけないって何だ。僕はほっといても生きてるぞ
「お前ほっといたら絶対死ぬ」
『いやいやいや』
僕は野良猫か何かか。
そう言えば寧ろ飼い猫だと修兵さんに返された。誰の飼い猫だよと聞けば俺、と。僕は飼われた覚えはない。そもそも猫じゃない
「ねぇあんた達やっぱり付き合いなさいよー」
何故そうなる。もう志波副隊長なんか食べまくってんだけど。修兵さんも焼き鳥食べてるし。僕もそっとしといて欲しいな
「お似合いじゃないのあんた達ー」
『ああじゃあ気が向いたら付き合いますから松本副隊長焼き鳥どうぞ』
もう面倒なので焼き鳥を握らせる。すると乱菊って呼びなさいと言い出したのではいはい乱菊さんって呼びますと言って焼き鳥を食べた。あ、焼き鳥美味しい。乱菊さんに便乗した志波副隊長の事も海燕さんと呼ぶ事になった
またお猪口が差し出されたので徳利を傾ける。この人ひたすら飲んでるけど酔わないのか。見ていれば目が合って飲むか?と聞かれたけれどもう飲みたくはないので首を横に振った。
「五番隊は楽しいか?」
海燕さんに聞かれはいと答える。まぁ七席さえ居なければもっと良いんだが
「やっぱ九番隊には行くのか?」
『勿論』
海燕さんの問いに即答する。まぁ迎えを待ってる訳なんだが。
「まぁ一年でどれだけ成長するか、だな」
修兵さんに頭を撫でられた。って事はこの一年頑張れば迎えに来てくれるかも知れないって事か
『……頑張る』
「おう、頑張りな」
くいっと酒を煽った修兵さんがニヤリと笑った。あ、今の顔少し格好良かった。くそイケメン爆破しろ
修兵さんと話していればまた乱菊さんが付き合いなさいよと言い出し更には海燕さんがそれに便乗した。だから何故そうなる。この酔っ払い共め。
修兵さんは我関せずで飲み続けていた。笊なのかこの人
『………疲れた』
怒涛の飲み会は午前二時になった所で漸くお開きになった。
勘定は海燕さんが全部支払ってくれた。後輩に奢らせる訳にはいかないとかで
帰り道を修兵さんとのんびり歩く。海燕さん達は道が違うので別れた。僕も道が違うのだが渡す物があるとかで修兵さんの部屋に呼ばれている
てか明日絶対キツいよ。今日あんまり寝られないし
「楽しかったか?」
『ん』
前を向いたままの問い掛けに頷けば頭を撫でられた。それは良かった、と修兵さんが笑う
見えてきた九番隊隊舎。慣れた様子で修兵さんが中に入って行く。余所者なんだけど入って良いのかな。躊躇していると入口から顔を出した修兵さんに早く来いと急かされた。
まぁ修兵さんに呼ばれたんだし大丈夫だろと隊舎に入る。後ろをついて行けば修兵さんは突き当たりで止まった。鍵を開けて戸を開ける。先に入れと言われたのでお邪魔しますと言いながら部屋に入った。
片付いてる部屋に入ると適当に座っとけと言われた。修兵さんは寝室らしき所に消えたので取り敢えず畳の上に座りぼんやりと部屋を眺める。院生の時とあまり大きな配置替えはない。まぁ一年程度でそこまで本人のセンスが変わる事もないか
そう思った時にふと棚に置かれた写真立てが目に入った。誰の写真だろうかと近付いて見るとそれは院生の頃の僕と修兵さんの写真だった。そう言えば修兵さんが卒業する少し前に急に写真を撮ろうと言い出した事があった。多分その時の写真だ。確かあの時は寝不足で少し不機嫌だった。それを証明するかの様に写真の僕は眠たそうに目を開いている。いや修兵さんはそれを面白がって笑ってるけど
「何か気になるもんでもあったか?」
『…写真』
後ろから近付いて来た修兵さんに写真立てを差す。ああそれか、と修兵さんは笑って、懐かしそうに目を細めた
「その時のお前顔がヤバかった」
『うん。明らかに人の顔見て笑ってるもんねこの時の修兵さん』
寧ろ酷ぇ顔と爆笑された覚えがある。人の顔を見て笑うとは失礼な
「…成長したな、お前も」
『……成長?』
首を傾げると修兵さんが優しく笑った
「前より人らしくなった」
『何だそりゃ』
じゃあ前の僕は人らしくなかったのか。そう言えば修兵さんは頷いた
「前は人形みてぇなとこもあった」
『人形って………』
修兵さんが首輪の鈴を鳴らす
「ま、この話は終いにしようぜ。渡す物があんだよ」
『?』
そう言った修兵さんに首輪を外された。そしてそれから鈴を付け替え新しい物を着けられる。渡された鏡を見れば修兵さんの首輪に鈴を着けたもの。修兵さんがニヤリと笑った
「入隊おめでとう」
『…ありがとう』
お揃いの首輪を見て何だか嬉しくなる。今まで着けていた物は立て掛けてあった修兵さんの斬魄刀の鞘に巻かれてた
「良し、じゃあ飲むぞ」
『え、まだ飲むの』
見れば修兵さんは片手に一升瓶抱えていた。机にはつまみ。さっき散々飲んでたのに
「祝いに酒は付き物だろ?」
お前も付き合え、とコップを渡された。乾杯をしてちびちびと飲んでいれば修兵さんが飲み終わり手酌する。飲むの早っ
つまみを食べつつ僕が何とか一杯飲み終われば修兵さんは四杯目に突入してた。この笊め
『……ん?』
修兵さんが寄りかかってくる。見れば頬がうっすら赤い。やっと酔ったのか。僕の右肩に擦り付いてくる修兵さんの方がよっぽど猫っぽい気がする
『酔った?』
「…少しな……」
笊も酔うのか。でもまだ飲んでいる辺りからすると酔いつぶれる程ではないらしい。
不意に修兵さんが僕の右肩をはだけさせる。何してんだこの酔っ払い。叩こうかと思ったけど修兵さんが見ているものに気付いて止まる
「…痕…残ってんだな…」
鎖骨少し下まである三本の爪痕。これは少し深かったから痕になるって卯ノ花隊長も言ってた。あの日の傷痕。頬と肩の爪痕を指先で撫でて修兵さんが肩に顔を埋めた。
「……もう…こんな怪我はさせねぇから」
『………』
やっぱりこの人はこの傷痕を自分の所為だと思ってる。修兵さんの所為じゃないのに
というか僕だって死神になったんだ。何時までも護られてばかりは嫌なんだが。でもそんな事言えばお前は俺に護られてれば良いとか言われるのがオチなので言わないけど
修兵さんがコップの中身をくいっと煽った。そんなに急に飲むのは身体に悪いんじゃない?
水を汲みに行こうにも動けない。動けない原因は人の胸に引っ付いて酒を飲み続ける。この人も酔ったら厄介なタイプなのか。
面倒な酔っ払いを眺めていると彼は目を細めてしみじみと言った
「…巨乳も良いけど…俺はあんまりねぇ方が良いな…」
『黙れ変態』
酔っ払いの頭にチョップを食らわせる。今この人僕の事あんまり胸がないって言ったよね?明らかに乱菊さんと僕を例に挙げたよね?悪かったな胸がなくて。いや別に動くのに邪魔だから欲しいとは思わないけど。何て言うか人に言われるとムカつくよね
「怒んなよ独月チャン」
『怒ってません。只引いてるだけです檜佐木六席』
「悪かったって!だから敬語とその呼び方止めろ!」
本気で嫌がっている様なので仕方無く止めてやる。まぁまだ引っ付いて来る辺り懲りてはいないのだろうけど
『そろそろ飲むの止めたら?』
一升瓶そろそろ中身なくなるし
「んー、まだイケる」
『じゃあ帰る』
立ち上がろうとすれば修兵さんに阻止された。
いや帰らないと明日も出勤なんですけど。そう言えば俺もだと返された。なら尚更帰らせてくれ。もう時間も時間だし眠くて適わん
「今日泊まってけ」
『やだ』
「良し決定。寝るぞ」
『修兵さん言葉のキャッチボールって知ってる?』
抱えられて寝室に運ばれる。何となく会話が成り立ってない気がする。これじゃドッジボールだ。只痛いだけ、全力でぶん投げる
「ふぁあ………」
寝室に着くと修兵さんに布団に引きずり込まれた。うん、死覇装のままなんだけど。
『修兵さん、死覇装どうにかしたい』
「諦めろ……寝るぞ…」
『………』
そう言った後に聞こえる寝息。ほんとに寝やがった。鼻を摘むが反応はない。諦めて目を閉じる。明日はちゃんと起きられるだろうか
飲み会と贈り物
(……すぅ…)
(………案外あっさり寝たな)
『修兵さん、何処行くの?』
「飲み」
『は?』
飲み?
聞き返せばそうだと頷かれる。何でも戦闘指導に来たメンバーの松本副隊長と志波副隊長が僕に会いたがっているらしく何時もの居酒屋に連れて来いと言われたらしい。因みに斑目さんと市丸隊長は予定が合わず欠席。いや何故そんなに会いたがってるのかは知らないけど
「まぁ楽しめよ。お前の歓迎会でもあるんだからな」
『はぁ』
居酒屋ではもう松本副隊長が出来上がっていた。近付きたくない。あの様子だと絶対に絡むタイプだもんあの人。
近付こうとする修兵さんの手を引き止める。不思議そうな修兵さんを放置して暫く見ていると此方に気付いた志波副隊長が手を振った。今明らかに助かったって顔したね副隊長。出来れば気付かないで欲しかった。
仕方ないので二人に近寄る
「遅いわよちびさぎー!!」
『すいませ……っわぷ!』
早速松本副隊長による窒息の刑に処された。ちょっ苦しいマジで死ぬっ
「乱菊さんタンマ。独月が落ちます」
ばたばたしていると修兵さんに首根っこを掴まれ引き寄せられた。窒息の刑から解放される。あー苦しかったほんと死ぬかと思った
つか胸って窒息させるものだったか?大きいと危険物と化すのかアレは
何かもうこの窒息の刑食らったの二回目だし胸の大きい女の人が苦手になりそう
『……巨乳怖い…』
「…大丈夫だから落ち着け独月」
修兵さんに頭を撫でられて席に座らされる。隣に修兵さんが座った。
「主役も来た事だし飲み直すか!」
志波副隊長がお猪口を持った。僕も酒の注がれたそれを修兵さんに持たされる。
「天才児の入隊を祝ってぇ…乾杯!」
「「乾杯!!」」
『…かんぱーい?』
取り敢えずお猪口同士を軽くぶつけ合うのに混ざる。うん、宴会作法は全く判らん。戸惑っているとそれを察したのか修兵さんが頭を撫でてくれた
「今乾杯もしたから、もう普通に食いてぇもん頼みな」
『……居酒屋来た事ないから何があるか判んない』
「あ?…ああ、お前去年まで院生だったもんな。なら適当に頼むから好きなもん食えよ」
『ん』
頷くと修兵さんが店員に何かを注文し始めた。それに加えて松本副隊長と志波副隊長も注文をする
注文を終えた修兵さんが酒を飲んだので僕も真似して少しだけ飲んでみる。
うわ、辛い。何これ何でこんなに辛いの。皆こんなのを美味しいって言ってるのか
眉をしかめれば修兵さんにお猪口を取られた。そのままくいっと飲み干される
「お前にはまだ早かったか?」
『………辛い』
「まぁ初めて飲めばそんなもんだ」
空になったお猪口を差し出されたので徳利を傾ける。てかそのお猪口僕のなんだけど。
まぁ良いかと諦めると志波副隊長にお猪口の代わりにお冷やを貰った。ありがとうございますと言えば頭を撫でられた。
「しゅーへーあんた何ちびさぎのお猪口で飲んでんのよぉ!!」
出た、絡み酒。てかこの人何時から飲んでたんだ。凄く酒臭い。何かもうでろんでろんだし
「天才児の才能を頂いてるんすよ」
平然と返した修兵さんがお猪口を此方に向ける。それに酒を注げば頭を撫でられた。そもそも僕は天才じゃない
「お、料理が来たみてぇだな」
志波副隊長が目を輝かせる。あんたお腹空いてたのか。並べられたのは焼き鳥。あと酒。この酒絶対そこの酔っ払いが頼んだよ。酒見て嬉しそうだし
「どれが良い?」
『……お任せで』
「畏まりました」
修兵さんが大皿から数本焼き鳥を僕の小皿に取ってくれた。ありがとうと言えばどーいたしましてと笑われる。すると僕達を見ていた松本副隊長が急に目を輝かせた。何、どうしたんだ何があった。あ、志波副隊長が引いてる
「ねぇ、前から気になってたんだけど、あんた達って付き合ってんの?」
『「………は?」』
今何て?思わず聞き返す。修兵さんも同じだったらしく二人で顔を見合わせた。付き合ってるって、僕と修兵さんが?
「え、違うの?」
『違います』
ないない。僕と修兵さんが付き合ってるとかない
「じゃあ何で何時も一緒に居るのよ?」
『修兵さんの隣は安心するんですよ』
例えどんなに不安でも修兵さんの隣に居ると不思議と大丈夫だと思える。傍に居ても不安な時はくっ付いたら元気になれるし。
松本副隊長はふーんと呟いて標的を替えた。また飲み始めた修兵さんに
「しゅーへーは?」
「俺っすか?」
きょとんとした後僕を見る。目が合うと笑って頭を撫でられた
「俺も一緒ですよ。傍に居ると安心するし…ほっとけねぇし」
『えぇえ』
ほっとけないって何だ。僕はほっといても生きてるぞ
「お前ほっといたら絶対死ぬ」
『いやいやいや』
僕は野良猫か何かか。
そう言えば寧ろ飼い猫だと修兵さんに返された。誰の飼い猫だよと聞けば俺、と。僕は飼われた覚えはない。そもそも猫じゃない
「ねぇあんた達やっぱり付き合いなさいよー」
何故そうなる。もう志波副隊長なんか食べまくってんだけど。修兵さんも焼き鳥食べてるし。僕もそっとしといて欲しいな
「お似合いじゃないのあんた達ー」
『ああじゃあ気が向いたら付き合いますから松本副隊長焼き鳥どうぞ』
もう面倒なので焼き鳥を握らせる。すると乱菊って呼びなさいと言い出したのではいはい乱菊さんって呼びますと言って焼き鳥を食べた。あ、焼き鳥美味しい。乱菊さんに便乗した志波副隊長の事も海燕さんと呼ぶ事になった
またお猪口が差し出されたので徳利を傾ける。この人ひたすら飲んでるけど酔わないのか。見ていれば目が合って飲むか?と聞かれたけれどもう飲みたくはないので首を横に振った。
「五番隊は楽しいか?」
海燕さんに聞かれはいと答える。まぁ七席さえ居なければもっと良いんだが
「やっぱ九番隊には行くのか?」
『勿論』
海燕さんの問いに即答する。まぁ迎えを待ってる訳なんだが。
「まぁ一年でどれだけ成長するか、だな」
修兵さんに頭を撫でられた。って事はこの一年頑張れば迎えに来てくれるかも知れないって事か
『……頑張る』
「おう、頑張りな」
くいっと酒を煽った修兵さんがニヤリと笑った。あ、今の顔少し格好良かった。くそイケメン爆破しろ
修兵さんと話していればまた乱菊さんが付き合いなさいよと言い出し更には海燕さんがそれに便乗した。だから何故そうなる。この酔っ払い共め。
修兵さんは我関せずで飲み続けていた。笊なのかこの人
『………疲れた』
怒涛の飲み会は午前二時になった所で漸くお開きになった。
勘定は海燕さんが全部支払ってくれた。後輩に奢らせる訳にはいかないとかで
帰り道を修兵さんとのんびり歩く。海燕さん達は道が違うので別れた。僕も道が違うのだが渡す物があるとかで修兵さんの部屋に呼ばれている
てか明日絶対キツいよ。今日あんまり寝られないし
「楽しかったか?」
『ん』
前を向いたままの問い掛けに頷けば頭を撫でられた。それは良かった、と修兵さんが笑う
見えてきた九番隊隊舎。慣れた様子で修兵さんが中に入って行く。余所者なんだけど入って良いのかな。躊躇していると入口から顔を出した修兵さんに早く来いと急かされた。
まぁ修兵さんに呼ばれたんだし大丈夫だろと隊舎に入る。後ろをついて行けば修兵さんは突き当たりで止まった。鍵を開けて戸を開ける。先に入れと言われたのでお邪魔しますと言いながら部屋に入った。
片付いてる部屋に入ると適当に座っとけと言われた。修兵さんは寝室らしき所に消えたので取り敢えず畳の上に座りぼんやりと部屋を眺める。院生の時とあまり大きな配置替えはない。まぁ一年程度でそこまで本人のセンスが変わる事もないか
そう思った時にふと棚に置かれた写真立てが目に入った。誰の写真だろうかと近付いて見るとそれは院生の頃の僕と修兵さんの写真だった。そう言えば修兵さんが卒業する少し前に急に写真を撮ろうと言い出した事があった。多分その時の写真だ。確かあの時は寝不足で少し不機嫌だった。それを証明するかの様に写真の僕は眠たそうに目を開いている。いや修兵さんはそれを面白がって笑ってるけど
「何か気になるもんでもあったか?」
『…写真』
後ろから近付いて来た修兵さんに写真立てを差す。ああそれか、と修兵さんは笑って、懐かしそうに目を細めた
「その時のお前顔がヤバかった」
『うん。明らかに人の顔見て笑ってるもんねこの時の修兵さん』
寧ろ酷ぇ顔と爆笑された覚えがある。人の顔を見て笑うとは失礼な
「…成長したな、お前も」
『……成長?』
首を傾げると修兵さんが優しく笑った
「前より人らしくなった」
『何だそりゃ』
じゃあ前の僕は人らしくなかったのか。そう言えば修兵さんは頷いた
「前は人形みてぇなとこもあった」
『人形って………』
修兵さんが首輪の鈴を鳴らす
「ま、この話は終いにしようぜ。渡す物があんだよ」
『?』
そう言った修兵さんに首輪を外された。そしてそれから鈴を付け替え新しい物を着けられる。渡された鏡を見れば修兵さんの首輪に鈴を着けたもの。修兵さんがニヤリと笑った
「入隊おめでとう」
『…ありがとう』
お揃いの首輪を見て何だか嬉しくなる。今まで着けていた物は立て掛けてあった修兵さんの斬魄刀の鞘に巻かれてた
「良し、じゃあ飲むぞ」
『え、まだ飲むの』
見れば修兵さんは片手に一升瓶抱えていた。机にはつまみ。さっき散々飲んでたのに
「祝いに酒は付き物だろ?」
お前も付き合え、とコップを渡された。乾杯をしてちびちびと飲んでいれば修兵さんが飲み終わり手酌する。飲むの早っ
つまみを食べつつ僕が何とか一杯飲み終われば修兵さんは四杯目に突入してた。この笊め
『……ん?』
修兵さんが寄りかかってくる。見れば頬がうっすら赤い。やっと酔ったのか。僕の右肩に擦り付いてくる修兵さんの方がよっぽど猫っぽい気がする
『酔った?』
「…少しな……」
笊も酔うのか。でもまだ飲んでいる辺りからすると酔いつぶれる程ではないらしい。
不意に修兵さんが僕の右肩をはだけさせる。何してんだこの酔っ払い。叩こうかと思ったけど修兵さんが見ているものに気付いて止まる
「…痕…残ってんだな…」
鎖骨少し下まである三本の爪痕。これは少し深かったから痕になるって卯ノ花隊長も言ってた。あの日の傷痕。頬と肩の爪痕を指先で撫でて修兵さんが肩に顔を埋めた。
「……もう…こんな怪我はさせねぇから」
『………』
やっぱりこの人はこの傷痕を自分の所為だと思ってる。修兵さんの所為じゃないのに
というか僕だって死神になったんだ。何時までも護られてばかりは嫌なんだが。でもそんな事言えばお前は俺に護られてれば良いとか言われるのがオチなので言わないけど
修兵さんがコップの中身をくいっと煽った。そんなに急に飲むのは身体に悪いんじゃない?
水を汲みに行こうにも動けない。動けない原因は人の胸に引っ付いて酒を飲み続ける。この人も酔ったら厄介なタイプなのか。
面倒な酔っ払いを眺めていると彼は目を細めてしみじみと言った
「…巨乳も良いけど…俺はあんまりねぇ方が良いな…」
『黙れ変態』
酔っ払いの頭にチョップを食らわせる。今この人僕の事あんまり胸がないって言ったよね?明らかに乱菊さんと僕を例に挙げたよね?悪かったな胸がなくて。いや別に動くのに邪魔だから欲しいとは思わないけど。何て言うか人に言われるとムカつくよね
「怒んなよ独月チャン」
『怒ってません。只引いてるだけです檜佐木六席』
「悪かったって!だから敬語とその呼び方止めろ!」
本気で嫌がっている様なので仕方無く止めてやる。まぁまだ引っ付いて来る辺り懲りてはいないのだろうけど
『そろそろ飲むの止めたら?』
一升瓶そろそろ中身なくなるし
「んー、まだイケる」
『じゃあ帰る』
立ち上がろうとすれば修兵さんに阻止された。
いや帰らないと明日も出勤なんですけど。そう言えば俺もだと返された。なら尚更帰らせてくれ。もう時間も時間だし眠くて適わん
「今日泊まってけ」
『やだ』
「良し決定。寝るぞ」
『修兵さん言葉のキャッチボールって知ってる?』
抱えられて寝室に運ばれる。何となく会話が成り立ってない気がする。これじゃドッジボールだ。只痛いだけ、全力でぶん投げる
「ふぁあ………」
寝室に着くと修兵さんに布団に引きずり込まれた。うん、死覇装のままなんだけど。
『修兵さん、死覇装どうにかしたい』
「諦めろ……寝るぞ…」
『………』
そう言った後に聞こえる寝息。ほんとに寝やがった。鼻を摘むが反応はない。諦めて目を閉じる。明日はちゃんと起きられるだろうか
飲み会と贈り物
(……すぅ…)
(………案外あっさり寝たな)