『桜花です。檜佐木副隊長はいらっしゃいますか?』

「おう、入れ」

部屋に入ればにっと笑った修兵さんに頭を撫でられた。まぁ座れよとソファに案内される

「先ず何から説明すっかなぁ」

修兵さんが悩んでいるのをぼんやりと見つめる。今日は副隊長業務を習いに来た。今まで三席の仕事はやってきたけどやっぱり副隊長と三席じゃ仕事は違うだろうし

「まぁ副隊長は隊長と隊士の橋渡し役だ。両方の仲を上手く取り持つ必要がある」

『………要は財前の補佐もしつつ三席達と上手くやれ、と』

「まぁそういう事だな」

修兵さんの言葉に思わず眉を寄せる。正直面倒臭い。そもそも何故財前の補佐をしなくちゃならないのか、何故僕を副隊長に選んだのか。そこら辺が激しく疑問である

「自分と合うと思ったか、反発する存在として副隊長にしたか、どっちかだろうな」

『………?』

何故反発する人間を自分の補佐にするのか。普通なら自分に従う人間を置いた方が楽なんじゃないの?
そう言えば修兵さんがいや、と首を横に振った

「二番隊を考えてみな」

『二番隊?』

「そ。二番隊の砕蜂隊長は隊長と副隊長は反発し合って然るべきって考えの人だからな」

ああ。だから大前田副隊長なのか。確実に反発するし。というかあの隊は基本的に副隊長が蔑ろにされてる気がする

「他にも自分が間違った選択をしない為ってのもある」

お茶を飲んだ修兵さんがそう言った。間違った選択って何だ

「例えば………俺が何か悪ぃ事…そうだな……東仙隊長に重傷を負わせて金目の物を盗んだとする」

まぁ有り得ねぇけど、と言いつつ修兵さんは続けた

「そんな事した俺は勿論罪人だ。――さて此処で問題です」

修兵さんが僕を見た

「罪人を見付けた独月チャンは一体どうするでしょうか」

『匿う』

答えれば即答かよと修兵さんが苦笑した。え、だって罪人って修兵さんでしょ?だったら何処か適当な隠れ家を用意して其処に匿う

「まぁ…こんな感じでてめぇを妄信しちまってる奴を補佐に置くと間違った行動の手助けをしちまうかも知れねぇ」

『……ふーん…』

「その分反発する奴を選べば間違った行動を引き留めてくれる可能性もある」

まぁそいつに謀反されちゃ元も子もねぇけど、と頭を掻く修兵さんの説明に納得する。
て事は僕は妄信型か

『修兵さんが隊長になったら僕駄目じゃん』

「安心しな。俺は間違った選択なんかしねぇから副隊長に置いてやる」

修兵さんが僕の髪をくしゃくしゃにする。なら良かったと小さく呟けば修兵さんがにやりと笑った



副隊長談議



(あ。そろそろ戻らないと)

(そうか、ならまた後でな)

(ん)