新たな力
『藤凍月』
斬魄刀を抜いて名を呼べば現れた二匹の狐。擦り寄ってきた銀色と赤色の頭を撫でれば銀色が問う
「何用だ独月」
静かに斬魄刀を持つ手に力を込める。僕はゆっくりと口を開いた
『稽古をつけて欲しい』
「………ん?」
それは丁度俺が書類整理を終えた時。ふと霊圧が噴き上がるのを感じた。誰か隊長が卍解でもしたのか?そう思ったが馬鹿でかいそれが良く知るものだという事に気付いた。これ、まさかあいつか?慌てて隊舎を飛び出す。此処からそんなに遠くねぇ。
流魂街第1地区潤林安近くの雑木林に行けば辺りに冷気が漂っていた。所々凍り付いた中に隊首羽織の男が佇んでいる。振り向いたのは財前隊長。彼は此方に気付くと口元で指を立てた。静かにしろってか。隣に並んでそっと向かい側を見て言葉を失った
「………独月…?」
真っ白な、先端に行くに従って赤くなる毛の付いた兜。そのふさふさから飛び出た銀色の獣耳。白地に紫で彩られた陣羽織。周りに浮かんだ赤と白の扇。ゆらりと揺れる九本の尾。まさか、卍解?
『………………誰?』
俺の声が聞こえたらしい独月がゆるりと此方を向いた。俺が前に出れば大きく目を見開いた
『…何時から其処に?』
「丁度今来たとこだよ」
財前隊長は何時から見てんのかは知らねぇけど。そう言うと檜佐木さんとそないに変わらん、と呟いた。
独月はふうんと頷きゆらりと尾を揺らした。アレってあいつの意思で動くのか?つか狐みてぇな耳生えてっけど聞こえてんのかな。人間の耳はどうなってんだろ。ぴくぴく動いてる獣耳にそっと息を吹きかけると小さく悲鳴を上げて飛び退いた。きゃあって可愛いなおい
『ななななな…何すんだっ!』
「わり、つい気になって」
『気になったからって悪戯するなっ!』
口調的に怒ってるみたいだが顔真っ赤になってるから全然怖くねぇ。涙目だし
「で?その卍解はどないな能力があるんや」
尾を数えながら財前隊長が訊くと独月が尾を一本前に出した。そして口を開く
『一尾・風死』
その言葉に応える様に銀色の尾の形がぶれた。そして形作られたのは真っ白な、両方に透明な刃の付いた変則的な鎌――風死?
じゃらりと鎖の音をたてながら白い風死が独月の手に収まった。まぁ藤凍月が他人の斬魄刀に化けるのは始解の時からこいつが良く使っていた能力だが、今化けたのは尾だ。残りは八本。まさかこれ全部化けるのか?訊けばこくりと頷いた
『まぁ能力は藤凍月の強化版だと思ってくれれば良い』
尾をゆらゆら揺らしながら独月がそう言った。いや平然と言ったけどそれかなり強ぇじゃねぇか。尾が全部隊長格の斬魄刀に化けたら勝てる気がしねぇ。氷雪系最強は確か日番谷って奴の氷輪丸らしいがこいつの藤凍月の方が最強なんじゃねぇか?いや、寧ろ最凶?
『修兵さん?』
きょとんとした独月が俺を覗き込んだ。うん、まぁ見てくれだけならそんなに強くなさそうだが垂れ流してる霊圧が半端ねぇ。冷気に変換されたそれがかっちこちに辺りを凍らせてるし。見た目可愛いんだがそろそろ卍解解いてくんねぇかな、寒ぃ
そう言うとふぅ、と息を吐いた独月が静かに目を閉じた。するとその姿がぶれて身に付けていた兜や戦装束が全て光になって消える。立っているのは何時もの独月だった
『……疲れた…』
心なしかぐったりしている独月の頭を撫でる。訊けば初めて卍解をしたと言った。ああ、そりゃキツいだろうな。
「何時具象化出来る様になったんだ?」
『二年ぐらい前?』
そんなにか。しかも最初具象化だって事に気付かなかったらしい。んで藤凍月に稽古つけて貰ってたらこうなった、と。凄ぇなお前。
「卍解おめでとう」
『……ありがと』
頭を撫でながら出来るだけ優しめに言えば独月は俯いた。照れてる。華奢な身体を引き寄せればぎゅっとしがみついてきた。可愛いなおい。頭を撫で続けていれば目の毒やと財前隊長が呟いた。誰が毒だコラ
卍解
(これなら隊長になるのも夢じゃねぇな)
(え、やだよ隊長とか絶対ならない。修兵さんより上とか死ぬ)
(おいおい)
斬魄刀を抜いて名を呼べば現れた二匹の狐。擦り寄ってきた銀色と赤色の頭を撫でれば銀色が問う
「何用だ独月」
静かに斬魄刀を持つ手に力を込める。僕はゆっくりと口を開いた
『稽古をつけて欲しい』
「………ん?」
それは丁度俺が書類整理を終えた時。ふと霊圧が噴き上がるのを感じた。誰か隊長が卍解でもしたのか?そう思ったが馬鹿でかいそれが良く知るものだという事に気付いた。これ、まさかあいつか?慌てて隊舎を飛び出す。此処からそんなに遠くねぇ。
流魂街第1地区潤林安近くの雑木林に行けば辺りに冷気が漂っていた。所々凍り付いた中に隊首羽織の男が佇んでいる。振り向いたのは財前隊長。彼は此方に気付くと口元で指を立てた。静かにしろってか。隣に並んでそっと向かい側を見て言葉を失った
「………独月…?」
真っ白な、先端に行くに従って赤くなる毛の付いた兜。そのふさふさから飛び出た銀色の獣耳。白地に紫で彩られた陣羽織。周りに浮かんだ赤と白の扇。ゆらりと揺れる九本の尾。まさか、卍解?
『………………誰?』
俺の声が聞こえたらしい独月がゆるりと此方を向いた。俺が前に出れば大きく目を見開いた
『…何時から其処に?』
「丁度今来たとこだよ」
財前隊長は何時から見てんのかは知らねぇけど。そう言うと檜佐木さんとそないに変わらん、と呟いた。
独月はふうんと頷きゆらりと尾を揺らした。アレってあいつの意思で動くのか?つか狐みてぇな耳生えてっけど聞こえてんのかな。人間の耳はどうなってんだろ。ぴくぴく動いてる獣耳にそっと息を吹きかけると小さく悲鳴を上げて飛び退いた。きゃあって可愛いなおい
『ななななな…何すんだっ!』
「わり、つい気になって」
『気になったからって悪戯するなっ!』
口調的に怒ってるみたいだが顔真っ赤になってるから全然怖くねぇ。涙目だし
「で?その卍解はどないな能力があるんや」
尾を数えながら財前隊長が訊くと独月が尾を一本前に出した。そして口を開く
『一尾・風死』
その言葉に応える様に銀色の尾の形がぶれた。そして形作られたのは真っ白な、両方に透明な刃の付いた変則的な鎌――風死?
じゃらりと鎖の音をたてながら白い風死が独月の手に収まった。まぁ藤凍月が他人の斬魄刀に化けるのは始解の時からこいつが良く使っていた能力だが、今化けたのは尾だ。残りは八本。まさかこれ全部化けるのか?訊けばこくりと頷いた
『まぁ能力は藤凍月の強化版だと思ってくれれば良い』
尾をゆらゆら揺らしながら独月がそう言った。いや平然と言ったけどそれかなり強ぇじゃねぇか。尾が全部隊長格の斬魄刀に化けたら勝てる気がしねぇ。氷雪系最強は確か日番谷って奴の氷輪丸らしいがこいつの藤凍月の方が最強なんじゃねぇか?いや、寧ろ最凶?
『修兵さん?』
きょとんとした独月が俺を覗き込んだ。うん、まぁ見てくれだけならそんなに強くなさそうだが垂れ流してる霊圧が半端ねぇ。冷気に変換されたそれがかっちこちに辺りを凍らせてるし。見た目可愛いんだがそろそろ卍解解いてくんねぇかな、寒ぃ
そう言うとふぅ、と息を吐いた独月が静かに目を閉じた。するとその姿がぶれて身に付けていた兜や戦装束が全て光になって消える。立っているのは何時もの独月だった
『……疲れた…』
心なしかぐったりしている独月の頭を撫でる。訊けば初めて卍解をしたと言った。ああ、そりゃキツいだろうな。
「何時具象化出来る様になったんだ?」
『二年ぐらい前?』
そんなにか。しかも最初具象化だって事に気付かなかったらしい。んで藤凍月に稽古つけて貰ってたらこうなった、と。凄ぇなお前。
「卍解おめでとう」
『……ありがと』
頭を撫でながら出来るだけ優しめに言えば独月は俯いた。照れてる。華奢な身体を引き寄せればぎゅっとしがみついてきた。可愛いなおい。頭を撫で続けていれば目の毒やと財前隊長が呟いた。誰が毒だコラ
卍解
(これなら隊長になるのも夢じゃねぇな)
(え、やだよ隊長とか絶対ならない。修兵さんより上とか死ぬ)
(おいおい)