夕方。
何だか大きな感覚が家に近付いてきた。多分この感覚はあの人だ

「独月居るかー?」

『………こんにちは、しゅーへーさん』

やっぱり。
玄関に向かい、聞こえてきた声に挨拶する。

「あ、言うの忘れてた。ちわーっす」

ああ、言わないと思ったら挨拶忘れてたのか。
一つ言おう、此処はあんたの家じゃない

「あら檜佐木くん、いらっしゃい」

お婆ちゃんがにこにこしながらお茶を持って来た。
タイミング良い……というかほぼ毎日この時間に修兵さんが家に来る気がする

『…今日は…何の勉強?』

というか修兵さんの授業がレベル高過ぎて理解するのに時間が掛かる。基本予習復習しないと無理だ。
僕からすれば教科書自体読み解くのが難しいというのに。
そもそも流魂街の魂魄は生活上特に文字を必要としないし、僕なんかは治安の悪い地区に居たから余計に文字との馴染みは薄い

「んー…特に決めてねぇし、今日はお前がしたい事で良いぜ」

『……したい事…』

修兵さんの言葉に悩む。
何だろう。したい事なんて思い浮かばないんだけど

「ねぇなら昨日の続きだぞ」

『え』

それは正直嫌だ。
表情に出たのか、僕の顔を見て修兵さんが笑った

「ほら、何か適当に言ってみ?修兵先生が出来る限り叶えてやろう」

…つまりは今日休みにしてくれる、と。
勉強の代わりにしたい事を何か上げないといけないのか。
大して何も詰まってない頭をフル回転させて考える。
考えろ僕、どうにかして良い案を捻り出すんだ。
折角来て貰ったんだし、出来ればタメになる事が良いだろう。じゃないと修兵さんにも悪いし。
そうなると昼寝は駄目だな。消費してない体力を回復してどうする。
ならお話とか?
…ああ、それ良いかも。
霊術院での話を聞けば、少なからず知恵にはなるだろう

『……お話…』

「へ?」

お茶を飲んでいた修兵さんが目を瞬かせた。
それを見てしたい事を口にする

『…しゅーへーさんの…お話、聞きたい…』

「……意外なトコ来たな」

きょとんとした修兵さんの顔を見て、思わず笑ってしまった僕は悪くないと思う









黒髪とのんびりお茶を









(やべ、門限近っ!そろそろ帰るわ!)

(あ、はい(時間確認しようよ……))










執筆訂正
20140314