「無事か、独月」

『ん』

白い風死を持った独月がこくりと頷いた。何でだろうな、お前が持ってるそれは俺のなんかより断然綺麗に見える。正直他人が化けた自分の斬魄刀の方が好きってどうなんだろうかと少し笑える。形も同じなのにこいつの風死は嫌いじゃねぇし。
独月が風死と繋がっている藤凍月の拳銃を粉塵の方に向ける。狛村隊長に向けて。詠唱をしたが恐らく其処まで効いていないだろう。ほら、あれだ。狛村隊長って頑丈だし
粉塵の中巨体が動く。特に痛そうな素振りはない。まさか無傷なのか?俺結構頑張ったんだけど

「中々効いたぞ…」

嘘吐けぴんぴんしてんじゃねぇか。再び刀を構えたものの完全に粉塵が晴れた時俺は固まった。狛村隊長の居た所に何か居る
あれ狼じゃね?

『……あんたの中身ってそれだったんだ…』

何でお前は普通に対応してんだ独月。そう言えば独月は不思議そうにだって僕の目と同じ様なもんでしょ、と言った。いやお前の目にあんなインパクトはない。只目の色が違ってちょっと瞳孔が細長いだけだ。それを伝えると修兵さんの感性はずれてると言われた。てめぇに言われたかねぇ

「流石に副隊長二人となると手強いな」

そう言った狛村隊長が斬魄刀を構えた
こうなったら始解するしかねぇか。本気出さねぇと独月に負担が掛かっちまうし
解号を口にしようとした瞬間、脳内に声が響いた


[――天 挺 空 羅 !!]


『……虎徹副隊長?』

独月がきょろきょろと周りを見る。狛村隊長も刃を下ろした。それにしても何の用だ?彼方此方でやり合ってる今の状況で天挺空羅なんて余程の事でもねぇと――

「……今…何て……?」


[――繰り返します。反逆者は五番隊隊長藍染惣右介・三番隊隊長市丸ギン・九番隊隊長東仙要です。動ける隊士は直ちに戦闘を止め至急双極の丘へ――]


「…東仙……!」

狛村隊長が走って行く。どういう事だ。冗談だろ?東仙隊長が反逆者だなんて

『……修兵さん』

独月が心配そうに俺を見上げる。俺なら大丈夫だ。だからそんな不安そうな顔するんじゃねぇ。頭をくしゃりと撫でて独月を腕に乗せる

「――行くか」

『はい』

頭にしがみついてくる独月の体温と心音が俺を冷静にさせる。大丈夫だ。護りてぇ唯一がある限り
東仙隊長には聞きてぇ事が山程ある。それを問い質す為にも急がねぇと。俺は瞬歩で双極の丘に向かった




「藍染……!!」

「――破道の九十・黒棺」

着いた瞬間、狛村隊長が地に伏せた

「……嘘…だろ…」

あの狛村隊長が詠唱破棄された鬼道で一撃。有り得ねぇ

『……行くよ藤凍月…』

急に独月が俺の腕から飛び出した。そのまま朽木の目の前に立つ。まるで藍染隊長から庇う様に

「下がりたまえ桜花くん」

『断る』

「一人で突っ走るんじゃねぇ!」

瞬歩で独月の隣に並び斬魄刀を構える。敵は三人、対する此方は手負いが三人、護衛対象が一人、残るは動ける俺達で二人。明らかに劣勢だ。さてどうする
藍染隊長は強ぇ。俺達だけじゃ正直他の隊長達が来るまでの時間稼ぎになるかすら危うい。手加減は一切ねぇみてぇだし。現にあの旅禍は腹ばっさり斬られてるしな
独月をちらりと見れば目が合った。やる気満々かよ。仕方ねぇ、やるか

「刈れ――『風死』」

『虚空に色付け――『藤凍月』』


護りたい者護る者逆らう者


(下がれというのが聞こえなかったのかな)

((すみません耳が遠いもんで))