「………ん?」

打ち合わせを終えた俺の胸元から振動。見れば伝令神機にメールが届いていた。差出人は独月。何かあったのかと思いメールを開けば乱菊さんに拉致られた、の一文。ある意味何か起きてやがる。拉致られたって事は多分十番隊舎。つか何人の隊の隊長拉致ってんだあの人






「檜佐木です」

「……入れ…」

「失礼します」

日番谷隊長の許可を貰って入室する。何か日番谷隊長の声が疲れてる様に感じたのは気のせいか
中を見ればぐったりした日番谷隊長と独月に笑顔の乱菊さんが居た

「……酒飲ませたんですか乱菊さん…」

「あら、少しだけよ?」

「すみません乱菊さん後ろの瓶数えて下さい」

後ろ見ろ。あんたの後ろに十本は転がってるぞ。俺が来るまでの一時間でどんだけ飲ませたんだあんた。机に伏せた日番谷隊長に毛布を掛けて独月の傍に行く

「おい、隊長」

『……ぅう…』

肩を揺すれば小さな呻き声。かなり酒臭ぇ。こりゃ相当飲まされたな

『しゅーへーしゃん…?』

ゆっくり頭を持ち上げた独月が俺を見る。うわ、顔真っ赤

「おう、随分飲まされたみてぇだな」

小さく呻いて頭を抱えた独月の頭を撫でる

「頭痛ぇか、ほら、よしよし」

『うー…あたま…いたい…』

飲んだこいつは幼児化する。いや、普段はこいつ自身がセーブして飲んでるからあんまりこの状態を見る事はねぇんだけど

『……しゅーへーしゃん…』

「おう、どうした独月」

呂律が回らない状態で俺の着流しの裾を掴んでくいくい引っ張ってくる。可愛いなおい

『…ぎゅー……』

ああ、そういう事か

「はいはい、ほら、ぎゅー」

『ぎゅー…』

抱き締めてやればひしっとしがみついて来る。何か子育てしてる気になるわこれ

「いやー可愛いわねー!」

てかこの人は何してんだ。何でカメラ此方に向けてやがる。あれか、また隠し撮りしてんのか。つかちょっと待て。其処に設置してあるビデオカメラは何だ

「今日は動画も撮ってるの!」

「ほんと何してんだあんた」

て事は今のも撮られてたのか。恥ずかしい。俺ぎゅーとか言ってたじゃねぇか。恥ずかしい、死ぬ

「ちょっマジで勘弁して下さいよ乱菊さん」

取り敢えずそのビデオカメラを寄越せ。
責任持って壊してやっから。日番谷隊長の顔を撮りながら乱菊さんは素晴らしい笑顔を俺に向ける。すみません乱菊さんその笑顔腹立ちます

「今月の酒代もがっぽりね!」

もう駄目だこの人。溜息を吐けば腕の中のちびっ子がぐずり出した

『うー……』

「どうした独月。頭痛いか?」

『……んー…』

しがみついて来る独月の頭を撫でれば擦り付いて来た。マジでどうした。

『むー……』

「お前には口があんだろ?どうしたか言ってみな」

出来るだけ優しく言ってやれば色の違う瞳が俺を見上げる。眉間に皺が寄ってんのが気になるが

『……ねむい…』

「じゃあ寝ろ」

眠くて機嫌悪ぃのかお前。心配して損した。背を一定のリズムで強めに叩けば直ぐに動かなくなる

「寝かせ方上手いのねー」

「こいつが眠れない時に良くやるんで」

実際こいつは眠りが浅いから頻繁に目を覚ます。その時に俺が起きてたら背を叩いて寝かせる。……今こうして考えると俺がしてるのってマジで子守りじゃね?

「あんた良い父親になれるわね」

「まだ予定はありませんけどね」


ちびっ子隊長×2


(…しゅーへーしゃん……)

(………寝言か)