「ちゃーんと言質も取ってあるわ。もう逃げられないわよ修兵?」

今の俺の心境を言おう。

嵌 め ら れ た

独月は独月ですっげぇ渋い顔してる。自分の所為だとか考えてんだろうな。いやまぁ正直お前の所為なんだけどよ
眉を寄せている独月の頭を撫でる

『……ごめん…檜佐木さん…』

泣きそうな顔で謝られた。何か俺が悪い事してる気分だ

「お前は悪くねぇよ」

『でも………うわっ』

まだごねようとする独月を抱き締める。でもだのだけどだのは言わせねぇ。

「お前はこうなるのが判ってて言えなかったんだろ?」

『………ん』

やっぱりな。だから普段は直ぐに俺に話す奴が散々渋った訳だ。超逃げての意味がやっと判った

「ちびさぎ隊長が居る前でまさか逃げようだなんて考えてないわよね、修兵?」

念を押す乱菊さんをちらりと見る。ぶっちゃけ逃げてぇ。けど言っちまったからな、何でもしてやるって
覚悟を決めて乱菊さんを見る

「隊長の前で逃げ出すなんて有り得ねぇ。この檜佐木修兵、一度言った言葉は曲げねぇよ」

「きゃーさっすが修兵男前!これで全員ね!」

周りの浮かれ方を見て悟る。何させんのか知らねぇが俺今日恥ずかし過ぎて死ぬわ










「では、簡単にこの写真集の説明をさせて頂きまーす!」

乱菊さんは女性死神協会の会員の前に立ち説明を始めた。
要は捕獲した俺達副隊長+丁度良かったんで捕獲した黒崎に今現世で人気の服を着させる。しかも服は女物。

「要は女装じゃねぇかコラァ!!」

黒崎が吼え巻き込まれた俺達が頷く。遂にはやらねぇと言い出した。いや、俺はあんなメンチ切った以上今更断る気はねぇけど。つか拒否権なんて俺等にねぇだろ

「逃げられるとでも?」

「ほぉ…女性死神協会を敵に回すか…」

「逃がさないよ♪」

砕蜂隊長に朽木に草鹿が斬魄刀に手を掛けた。ほらな、拒否権ねぇじゃねぇか
ぼんやりと黒崎達を眺めていれば乱菊さんが近くに寄ってきた

「修兵は逃げる気ないみたいだから一番に選ばせてあげる!」

「……はぁ」

選択肢はシンプルか客室乗務員かセーラー服かナース服。一見シンプルが良さそうだが何だかきな臭ぇ。独月をちらりと見れば一番は駄目だと俺にジェスチャー。一番…シンプルか。シンプルがどんなもんか知ってるのかは知らねぇが止めといた方が良いだろう。残るは客室乗務員かセーラー服かナース服。何だこの三択選びたくねぇな

「………客室乗務員で」

まだ他の二択よりはマシだろ

「りょーかいっ!修兵は決まりね!他は何になるのかしら」

見れば黒崎達は戦っていた。何してんだあいつら。独月に訊けばシンプルを巡っての争いだと答えられた。見ていれば立っている奴が一人になる。勝者は黒崎。奴は直ぐにシンプルを選んだ。止めといた方が良いんじゃねぇの?何か嫌な予感しかしねぇぞそれ

「……何だ…これ」

黒崎が差し出されたそれに顔を引きつらせた。…俺シンプル選ばなくて良かった

「何ってウェディングドレスよ?」

「見りゃ判る!これの何処がシンプルなんだよ!」

「コサージュも着いていないシンプルなドレスではないか」

「俺はこんなもん絶対着ねぇぞ!」

「いっちー、悪い子はお仕置きだよ!」

顔を引きつらせた黒崎が草鹿にとっちめられる。あいつ散々だな


少し経ってからボロボロになった黒崎と笑顔の草鹿が此方に来た

「はい、じゃあ着替えて来てね!」

笑顔の乱菊さんに服を渡される。死刑宣告だわこれマジで













「「「「………………」」」」

服を着れば脚がスースーする。何でこんなもん着てんだ俺達。ガタイの良い男が揃いも揃って女装って。一番のハズレを引いた黒崎なんかは完全に目が死んでる。多分俺も死んでるけど

「「……ぶふっ!」」

部屋から出て来た俺達を見て朽木と乱菊さんが噴き出した。隅でうずくまって肩を震わせている。笑うなこの野郎
ふと小さな銀髪を捜せば奴は入口付近で固まっていた。目が合うと大きな目を更に見開いて、それからぎゅっと眉を寄せる。何があったんだお前

「隊長?」

『…ごめんね檜佐木さん…僕が断れなかったから…』

「あ?……ああ、そういう事か」

つまりは責任感感じて半泣きなのかお前。別にお前の所為だとか思ってねぇのに

「断れなかった俺が悪ぃんだよ。お前は気にすんな」

それに俺に出来る事は何だってしてやるって言っちまったし。逃げ出すのは性に合わねぇしそんな格好悪ぃとこお前に見せらんねぇしな

「お前が気にする事じゃねぇ。だから笑ってくれよ隊長」

『……檜佐木さん…』

頭を撫でながらどうすれば笑うか考える。取り敢えず表情だけでも笑わせるか

「隊長、にーって言ってみな」

『…?…にー…?』

「そうそう。にー」

首を傾げつつ俺の真似をする独月。何だこの可愛い生き物。ちょっと待て乱菊さん写真撮るな

「何してるんですか乱菊さん」

「え?勿論隠し撮りに追加するのよ?」

「いやいやいや」

何当然でしょ?って顔で此方見てんだあんたは。少し寄りかかって来た独月を引き寄せればまたシャッター音。だから撮るなって

「はーい、じゃあ並んでー!」

一通り撮りまくった乱菊が笑顔で俺達を呼んだ。凄く行きたくねぇが拒否権はなし。指定された場所に行こうとすれば小さな銀色が腰に引っ付いたまま離れねぇ。あれ、こいつ甘えたになってんのか
背中をぽんぽんと叩けばしがみつく手に力を込める。こりゃ気が済むまで離れねぇな
独月を引っ付けたまま乱菊さんの近くに行けば女性隊士が悲鳴を上げて倒れた。悪かったなこんな格好で。

「乱菊さん、うちの隊長が離れません」

「あら、ちびさぎ隊長甘えたになっちゃったの?」

俺が頷けば乱菊さんは後ろに居た阿散井を先頭に並べた。空いたスペースに俺に入る様に指示。
阿散井の背で丁度独月は見えなくなる

「ちょっと大人しくしてろよ?」

『………ん』

ぽんぽんと頭を撫でれば独月はこくりと頷いた。




「ふっ……ぷくくく…!」

「ま、松本副隊長…そんなに笑っては……ふ…ふふ……!」

「あんたも笑ってんじゃないの……くく…!」

いやお前ら二人共笑ってんだよ。笑いが堪え切れてねぇから

「こんな屈辱は初めてだ…」

そう呟いたブーケ持ったオレンジ頭の花嫁は目が死んでる。俺ほんとシンプル選ばなくて良かった

「もっと堂々としてろ。恥ずかしがったらあいつらの思う壺じゃねぇか」

「君…楽しんでるよね……」

赤髪のセーラー服はどや顔でポージング。金髪のナース服は赤髪に呆れてる

「……早く終わってくれ…」

もう恥ずかしいなんて思わねぇ。寧ろ恥ずかし過ぎてメーターが振り切った。只早く終わって欲しいと切に願う。
引っ付いたままの独月がマジでありがてぇ。こいつが引っ付いてなかったら逃げ出したくなるとこだった

「あはははははははは!」

「「「「笑うなっ!」」」」




副隊長+αの恥ずかしい日常




(もう二度と引っかからねぇ)

(……ごめんね修兵さん)

(お前は悪くねぇから気にすんな)