朝、鳥の声があちこちから聴こえる様になって、ゆるりと目を開けた。
目の前には愛しい女の顔。
少し下がった位置にガキ二人の寝顔。
全員の寝顔を暫し眺め、もう一度目を閉じた。











嫁に叩き起こされ、教員寮を出る。
世帯持ちには狭かろうと五条の坊が(善意で)壁をぶち抜いた其処はなかなかに住み心地が良い。
何せ徒歩数分で職場に着くし、仕事さえやれば勝手に居なくなっても怒られやしねぇ。
そういう点で、さしすせカルテットに嫁が遭遇したのは人生の好機と言えた。


「……お、珍しいな」


聞き慣れた明るい四重奏に顔を向ける。
声の位置から推測するに、校庭だ。確かコイツらの体術は昼からだったが、あれ?俺、スケジュールミスった?
頭を掻きつつ音の方に向かうと、見慣れた四人組が校庭でやらかしていた。


「オイオイ朝っぱらから何してんのお前ら……」


『あ、甚爾さん。おはようございます』


「おー。…じゃねぇの。何これ?」


「伏黒先生早いね。おはよー。リアルボンバーマンごっこだよ」


階段に座って談笑していた女子組がのほほんと答えるが、大丈夫かこれ。
校庭はぼっこぼこに形を変え、何かのゲームのダンジョンの様になっていた。壁役なのか、所々でサングラスを掛けた猫の呪骸が無限を張っている。
…遠くで爆弾持った五条の坊が夏油目掛けてダッシュしてるんだが良いのかこれ。


「オラ逃げんな傑!!」


「さとるっち、五秒稼いで。アレ五秒で爆発するから」


〈ニャーン!〉


「どけ猫!!!!!!」


「……ボンバーマンって確か細い道を爆弾で広げてって敵に爆弾投げるゲームじゃなかったか?」


『最初はそれだったんですけどね?悟がしゃらくせぇ!!って赫で上部を破壊しました。リアルにフィールド破壊されたの』


「上の面だった私らはそれでゲームオーバー。さとるっちのお陰で無傷だったけどな」


『アレはないよねー、卑怯』


「てか最初から吹っ飛ばす気だったぞアイツ。そうじゃなきゃ私らさとるっちで囲まれてないだろ」


『あー……まぁ良いけどさぁ』


良いのか?五条の至宝に術式撃たれたのに?それ下手したら死んでねぇ?
…やっぱりまともそうに見えて、こいつらもなかなかイカれてるんだろう。
どかん、と爆発音が聞こえてきてそちらに目を向けると、濛々と上がる煙と爆笑する夏油が見えた


〈ターマヤー!!!〉


「うえ…けっむ…オイクソ猫!!たまやじゃねぇ!!…げっほ!!」


「悟wwwwwwまずはwwww煙から出なよwwwww浦島太郎みたいだwwwwww」


「ぁ゙あ゙?????」


『あーこりゃゴング鳴りましたね』


「乱闘ですね」


何処からかやって来た猫の呪骸がお嬢ちゃんの膝に乗り、隣には黒い犬の呪骸が座った。家入の隣にはウサギの呪骸が居て、煙草をふかしている。それ燃えねぇの?


「おーおー、暴れてんなぁ」


「男って何であんな暴れるんですか?」


「体力有り余ってんじゃね?」


『甚爾さんも十代の時あんなでした?』


「あれよかマシ」


此方に難癖付けてくる奴をボコってはいたが、此処まで地形破壊はしてねぇ…筈。
このぐらいの歳って何してたっけ。…ああ、出奔する少し前かな。
殴り合いを始めた二人の怒号に思わず溜め息が出た。


「傑!!オマエ俺のアイス食ったろ!!!」


「自分の物にはちゃんと名前を書けと言っただろ!!!」


「喧嘩の理由が下らねーwwwww」


『wwwwwwwwwwwwww』


「アイス食った食ってねぇで校庭ズタボロにすんのか最近の十代…イカれてんな」


「十代にとんでもない風評被害wwwwwwwwww」


『それはひどいwwwww』


ケラケラ笑う女子と、喧嘩する男二人の怒号が響く。
……校庭の騒ぎに気付いたんだろう、重たい足音が此方に向かってくるのが聞こえた。


「お二人さん、夜蛾が来るぜ」


「よし、刹那。逃げるよ」


『いえっさー』


あっさり男共を見捨てた二人に噴き出しつつ、夜蛾に見付からないルートで教室までエスコートしてやる。
問題なく届けられた二人は俺の掌にキャラメルとチョコレートを転がした


『ありがとうございました、先生』


「またよろしくー」


「おー。菓子分の働きならしてやるよ」


ひらりと手を振って職員室に向かう事にする。
窓の外では、白と黒の馬鹿が正座させられていた。












二級祓除を終え、高専に戻る。
昼食ったら二年特進の指導だっけ。食堂に行くと、夏油と家入に遭遇した。


「珍しいな、坊とお嬢ちゃんは?」


「お疲れ様です、伏黒先生。悟と刹那は恵くんと津美紀ちゃんの所です」


「お疲れ様、先生。なんか恵の影が揺れてる?らしくて五条が確認しに行きました。テディちゃんはお供」


「というかごく自然に抱えて行ったね」


「刹那も諦めて運ばれるしな」


テンポ良く会話する二人の前にカツ丼を持って座る。手を合わせて食べ始めると、夏油が問い掛けてきた


「今日はお弁当じゃないんですね」


「毎日だと疲れんだろ。ウチは週休2日制だし、他にも嫁が休みてぇ日は自己申告する」


「クズだと思ったけど案外まとも……」


「おいコラ家入」


「悟には悪い事ばっかり教えるのに良い旦那だと…???」


「おいコラ夏油」


うどんと蕎麦を啜る二人組にデコピンをお見舞いする。
痛かったらしい夏油は額を擦り、指先で小突く程度だった家入はくすくす笑っていた


「ねー先生、毎日好き!!!って無自覚にテディベアを溺愛する今年で人間歴一年になるクズが居るんだけどさ、どうなると思う?」


「こら硝子」


「何だよ、アイツ完全無自覚だろ?」


「此方が砂糖吐きそうだけどね」


「あ、夏油天ぷら欲しい」


「言うと思った。茄子だろ?はいどうぞ」


「さんきゅ。コレ美味いぞ、しば漬け」


「ありがとう」


「お前ら夫婦みたいな距離感だな」


相手の好みが判っていて、さらっと交換する。でも普段からベタベタはしない。
それは恋人というか、夫婦に近い。
思わずそう呟くと夏油はきょとんとして、家入はげっと顔を歪めた


「クズが旦那……???」


「おや、私じゃダメなの?自分でもなかなか優良物件だと思うけど」


「オトモダチが居る時点でアウト。せめて全員切れよ。そしたら考えるぐらいはしてやる」


「フフ、手厳しいな。考えておくね」


……なんつーか、恋を知らない三歳児とテディベアの隣で、コイツらは随分大人っぽい距離感を保っている。
なんだこの落差。オママゴトとオトナの駆け引きの同時展開ってどんなドラマだよ。テンション違いすぎて風邪引くわ。


「つーかよぉ、テディベアの方はどうなんだよ?坊の一方通行も有り得るんじゃね?」


何時もニコニコしているお嬢ちゃんは実際坊をどう思っているのか。
あの顔面なら意識されない事もないだろうが、そもそもこの三人は坊を育てている様なモンで。
下手すると恋愛対象からはみ出しちゃいねぇか。そう思って問うと、家入が茄子の天ぷらを箸で切りながら口を開いた


「あの子複雑な家庭だからちょっと恋愛とか結婚とかにトラウマあるけど、間違いなく嫌いじゃないよ」


「私みたいにお互いに恋愛対象から完全に外してる、とかはないの?」


「え、お前外されてんの?」


「ママと娘になった時からお互いに外してるよ。ほら、何となく判るだろ?空気感。それが完全に親子なの」


「wwwwwwwwwwwwwwwwwww」


「硝子も悟とはそうだろ?アイツ、刹那にはボディータッチしないと死ぬのかってぐらい引っ付くのに君にはしない」


「序盤で躾たからな。そしたら刹那との距離感バグってった」


「あ?じゃあ家入の分もお嬢ちゃんに足された結果、ああなの?」


「というかアレは距離感を判ってない機械と押されたら流されちゃうテディベアの奇跡のタッグだろ。
え、俺がこうしたいと思ったんだけどダメ?って言われて刹那が拒否れなかった結果」


「ああ、うん……気付いたらどんどん刹那への距離感可笑しくなってたな。刹那も首傾げつつ受け入れちゃうから…」


蕎麦を啜る夏油が茶を飲んで溜め息を溢した。それを聞くとただ流されやすいタイプなだけに聴こえるんだが


「やっぱ流されやすいだけじゃねぇの?」


「はは、違うよ。流石にキスは刹那だって嫌なら拒否する」


さらっとそう言われ、俺の正面からばきっと何かが折れる音がした。
夏油が笑顔で固まり、力の入れすぎで箸を折ったらしい。握力ゴリラじゃんウケる


「……………あの一歳児、ウチの娘に手を出してるのか」


「つっても唇くっ付けてへにゃって笑ってるだけだよ。あるだろ?幼稚園とかで好きな子にちゅってして笑ってんの。まんまアレ」


「合意ないキスは猥褻罪では???」


「圧が凄ぇなママ。安心しろよ、テディちゃんも恥ずかしがってるだけで嫌じゃないっぽいし」


「娘は断れないだけでは???」


「頑固親父かよwwwwww」


「前に聞いたけど平気そうだったよ。それに五条も私らの事眼精疲労感じるぐらい見てんだ。刹那が本気で嫌がったらしないって」


坊の肩持つ気が一切ねぇ夏油面白すぎねぇ?
お前親友だろ、普通坊の味方するモンじゃねぇの?
そう言うと、夏油は新しい箸を出しながら笑う


「親友と言えば硝子と刹那もそうですし、刹那は私の娘ですよ?普通娘を大事にしますよね???」


「圧が凄ぇwwwwwwww」


「やべぇな、こりゃあとでスマブラかも」


「ちゃんと表で話すから安心してくれて良いよ」


「それで校庭殺せば世話ねぇよ」


ケラケラ笑う家入とにっこり笑っている夏油。
まぁ校庭殺っても俺の午後がフリーになるだけだし、良いか。
予定が空いたら競馬行くかなぁ。
空になった器の前で手を合わせた












『ねぇ柔軟ってさぁ、同じぐらいの身長の子と組むもんじゃなかったっけ?』


「奇遇だな。私もそう思って、た!」


「うわ硝子、背中がべきぃっ!って言ったよ?大丈夫かい?」


「オイオイ傑ー、ウチの貴重なヒーラーに何してんのー?
エグい音したじゃーんwwwwwwww」


『硝子、大丈夫?しょうこっち呼ぶ?』


「いや、平気……クッソ五条殺す」


「え????俺???????」


「さとるwwwwwwwwwwwwwww」


体術の授業の前の柔軟で、何故か男子が女子をぐいっと背に乗せた体勢になっていた。
背中合わせで腕を絡ませ行うそれは、程好い体格同士なら背筋がぐっと伸ばされるものなのだが。


女子が二人とも浮いてる時点でお察し。


しかも家入の方はえげつねぇ音が少し離れた俺にまで聞こえた。とてもいたそう。


「なぁオマエ軽過ぎない?俺このまま走れそうなんだけど」


『やめろ。絶対にやめろ。馬鹿な真似はするな!!!』


「えー?楽しそうだよ?やっていい?」


『や め ろ !!!!!』


「位置についてぇ、よーい、どん!!」


『いやあああああああああああああああ』


「wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」


「嘘だろマジで走った」


「私達もやる?」


「風呂入ってる間にお前のパンツにシーブリーズぶっかけて良いなら走れよ」


「………やめようか!!」


「賢明な判断だな」


脅しに屈した夏油が丁寧に家入を降ろした。
背中のお嬢ちゃんが絶叫する。投げ出されたほっせぇ脚ががったんがったん跳ねてるし、なんなら腰まで浮いてる。
アレは多分やられる側はめちゃくちゃ怖いだろう。
お嬢ちゃんの悲鳴に爆笑する坊はすっげぇイイ笑顔で此方に戻ってきた。
叫んでいたお嬢ちゃんは息を切らしている。とてもかわいそう。


「刹那、生きてる?」


『死にそう……なんでこんなひどいことするの……???』


「楽しかった!またやろうぜ!」


『てめー乗せられる側になれよ駄馬。乗り心地悪ぃんだよクソ野郎』


「wwwwwwwwwwwwwwwwwww」


「テディおこだよwwwwwwwwwwww」


「エッ……ごめんね……?」


『甚爾さん!!フルボッコだドン!!して!!!!』


「遠慮なくゴリラ呼ぶじゃんwwwwww」


「wwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」


「えっ?刹那ちゃん?????」


漏れなく大体笑い袋。
目を丸くする坊と笑いすぎて崩れ落ちる夏油、腹を抱える家入と俺を呼ぶお嬢ちゃん。
見事に騒がしいが、まぁ見慣れた光景だ。楽しそうで何より。


「ハァイ、喜んでぇ」


「オイオイ待て待てなんでそんなやる気ねぇ店員みてぇな声出しながら指ポキポキ鳴らしてんの?
せめてダルそうに参加しろよ」


「知ってるか、坊。俺このクラスの授業が一番気に入ってんの」


「何で?」


さっと三人が避難した。
不思議そうに首を傾げる坊に、わざとらしく口角を上げてやる


「この高専で最優秀なお前らを合法的に転がせるから」


────蒼が見開かれ、口角が吊り上がる。
ぶわ、と撒き散らされる殺気に煽りやすい奴だと笑った


「今日こそ吠え面かかせてやるよゴリラぁ!!!!」


嫌味な程長い脚で大きく踏み込み放たれた拳をいなし、鞭の様に振るわれた脚を脇で挟む。がら空きの腹部に膝を入れようとして腕で防がれ、蒼が残光を引いて目の前に現れた時には額に衝撃が走った。


「っでぇ!!」


「っぐ…」


脳が揺れる。
ぱっと脚を離すと、素早く距離を取った坊がぶるぶると頭を振っていた。
頭突きかました方が痛そうなのは笑える


「馬鹿か。自爆してどうすんだよ」


「んの石頭…!!何で俺の方がダメージ食らってんだよ…!!!」


「天与呪縛じゃね?」


『甚爾さん面倒臭いと天与呪縛の所為にするよね』


「まぁそれが楽だしな」


「悟ー、カッコ悪いぞー」


「ぁ゙あ゙!?今からゴリラ伸すんだよ黙って見てろ!!!」


「刹那、ああいうのをフラグって言うんだ。覚えておくと良い」


『はーいママ』


「外野ァ!!!!!!!!」


「『「wwwwwwwwwwwwwwwww」』」


ゲラが発生した。
笑われてキレた坊が突進してくる。しかし頭の芯は冷静なんだろう、長い手足を活かして懐に潜り込ませない作戦に切り替えてきた。


だが残念、俺の方が疾い。


ほんの少し、速度を上げる。
目視ギリギリだったのを完全に見えない程度に引き上げた。
顔面を判りやすく狙った一度目は坊も何とか避けて見せた。
しかし二撃目。
腹部を狙った拳は避けようと身を捻るも、間に合わず被弾。
痛みに一瞬硬直した隙を逃さず三撃目。鳩尾を抉る。
けふっと息を吐き出した坊の顎を掌底でブチ抜き、それでも気合で踏ん張るガキの胸倉を掴み上げ、外野に投げた。


「ハァイ、フルボッコ一丁」


「うわ、ボロボロだね悟」


「意識あるか?」


「脳揺らした。幾ら頑丈でも復活するには少し掛かんぞ」


『わー、フルボッコだドン!!』


「「フルボッコだドン!!」」


待機していたウサギの呪骸にかごめかごめされている坊から、俺は次の標的に声を掛けた。


「つぎー、お嬢ちゃん」


『えっ』


「刹那からですか?私じゃなくて?」


「たまには順番変えんぞ。次の授業の時はお嬢ちゃんと家入を最初にする」


「え、何でです?」


呼ばれた通りに前に出たお嬢ちゃんから、不服そうな夏油に、それから動けねぇ坊に目を向ける


「お前らは何時も先にやられっから、女子組がやられた姿を見てねぇだろ。
こいつらがやられたの見れば、少しはやる気も出るんじゃねぇかと思って」


『ダシにされてるじゃーん』


「夏油煽られてんじゃーん」


「………………クソゴリラめ」


「ハァイあとで夏油クンはフルボッコだドン!!しまぁす」


まぁ実際仲間がやられて士気が上がるってのは良くある話。仲間意識の強いコイツらにならより効果があるだろう。
その次は三対一でも良いかも知れねぇな。ぶっちゃけお嬢ちゃんが足引っ張る未来しか見えねぇけど。
……というか、待て。
何でお前はそこに立ってんの?
まさか俺がそっち向くの待ってんの???


『よろしくお願いします。いきます』


「おー。……いや不意打ち狙えよ。今わざと話して隙作ってただろ…?」


『えっ』


うん、真面目。
馬鹿か。格上に馬鹿正直に行きますって宣言してんな。敵をご丁寧に待つな。
溜め息を吐きつつ来いと指を動かすと、ふっと息を吐いたお嬢ちゃんが向かってきた。
挨拶代わりに大分速度を緩めた拳を突き出す。それを躱して、先ずは伸ばしきった腕の関節を潰しに来た。
右腕で俺の肘を固定、左手で思いっきり伸びた前腕を殴ろうとしている。
俺の腕を折りに来たその豪快さに笑いつつ、先ずは首根っこを掴んで放り投げた。


『あああああああ』


「狙いは悪くねぇ。ただ馬鹿正直に狙うな、ブラフ入れろ」


『はい、行きます!』


「ちょっと待って刹那にはそんなに優しいの?」


「先生私らへの指導はあんなんだよ」


「オイ教師、差別だ」


「区別だよ。男なんかボコって転がしときゃ良い。勝手に学べ」


強く地を蹴ったお嬢ちゃんが飛び蹴りを放つ。それを半身を捩って躱すと、細い腕が首に掛けられた。
どうやら今度は勢いを付けて首を折るらしい。さっきから確実に折りに来るな、お前。
まぁ弱いからこそ、最小限で最高の結果を叩き出すつもりなんだろうが。
殴り合うタフさがねぇからって、これはあまりにも体術のセンスがない。
笑いつつ、お嬢ちゃんをまた放り投げた。


『あああああああ』


「ブラフが雑。良いか、体術は相手との駆け引きだ。殴り合うタフさがねぇからって露骨に急所ばっか攻めんな。
先ずは相手の意識を散らせ。さっきの坊の動きも見てたろ?
お前にゃアレは無理だが、ああやって自分の狙いを悟らせねぇ様に心掛けろ」


猫みたいに着地したお嬢ちゃんに改善点を伝える。
身体は柔けぇんだが、力が弱い。
呪力で強化してもこれだ。強化の割合を増やすのもアリかも知れねぇ。
コイツ呪力は豊富だし


「オラもう一回」


『はい、行きます!』


「ちゃんと、指導している…だと…???」


「あんなにフルボッコされんのお前らだけだよ」


また向かってくるお嬢ちゃんを掴んでは投げ、掴んでは投げ。
お嬢ちゃんがバテるまで投げ続け、笑顔で出てきた夏油をフルボッコにした。














扉を開ける。
ふわりと吹き抜ける家の香りに、肩から力が抜けるのを感じた。
靴を脱いでいると近付いてくる足音。駆け寄ってきたのは恵だった


「パパ、おかえり!」


「ただいま。今日、坊とお嬢ちゃんが来たんだって?」


「うん。さっちゃんがね、こんどおしえてくれるって」


「ふぅん」


抱き上げようとしたら恵が大きく腕を交差させた


「パパ、ばっちいでしょ。てあらいうがい」


「……へーへー。了解しましたぁ」


「へーはいっかい」


「へー」


言われた通りにすると通路で待っていた恵が手を伸ばしてきた。
求めるままに抱えてリビングに向かう。
部屋に入ると、キッチンに立っていた嫁と手伝いをしていたらしい津美紀が此方を見て笑った


「「おかえり!」」


────ふと、思う。
帰りを待っている誰かの許に戻る事が、“幸せ”なのだろうと。


「………あぁ、ただいま」







幸せを定義した







伏黒先生→日によって任務はあったりなかったり。仕事場はとても居心地が良いらしい。
家族の穏やかな寝顔を確認して、二度寝するタイプ。

刹那→体術のセンスはない。猫みたいな柔かさ

五条→突拍子もない事を思い付いて度々校庭を殺すタイプ。体術は巧い。

夏油→五条の提案に乗って校庭を殺すタイプ。体術は五条より強い。

硝子→身体が固かった様だ。体術は実は刹那よりセンスはある。


先生の日常


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