※呪術長篇「一分勝負」の後の話
「先生!!我々はクッッッッッッソ面倒臭ぇ交流会もフケずにちゃんと参加して京都校の雑魚共をスケキヨにしました!!!!!!」
「スケキヨにしないで欲しかったんだがな……それで?」
挙手した悟に疲れた顔で先生が続きを促した。そりゃ疲れるよね…私の個人戦のあと、悟と傑がまたスケキヨしたもんね……
「俺達頑張ったよ!!だから!!!」
にっこにこな悟が言った。
「連休を!!!!ください!!!!」
夏と言えば海だ。
此処は地元でも有名な海で、夏場は観光客も訪れる。
一夏の過ちとは良く言ったもので、彼方此方で刺激的な水着の女達が歩いていた。
そりゃあこんなにイイ女が居れば、過ちも起こるだろう。
女もそういうつもりであんな水着着てるんだろうし
「やっぱ良いよなぁ水着って。俺アッチの女タイプだわ」
「おいおいタカシ良く見ろよ、アッチのが良くね?」
パッと見気付かれにくい岩影を陣取って、連れが女の品定めをしている。
マサルはケツがデカい女が好きで、タカシは胸のデカい女がタイプ。
俺は脚が綺麗な女が好みだった。
顔は綺麗系が好み。でも可愛い系も捨てがたい。ぶっちゃけヤれれば高望みはしない質だ。
海できゃあきゃあ騒ぐ女を見てはアレは太ってる、アレはブス、なんて三人で騒いでいると、マサルがおっと声を上げた
「おいアッチ見ろよ、上玉二人」
「んー?」
「お、ホントだ。まさか女二人?」
白に水色の花がプリントされたビキニの女と、黒に赤の花模様の女。
お揃いのビキニの女は白と水色の方が綺麗な脚で、黒に赤の方は胸がデカい。
そして顔はどちらも綺麗系。
────つまり、アタリだ
「良いじゃん。俺胸がデカい方」
「俺は脚が綺麗な方。マサルは?」
「どっちもケツちっせぇなぁー…強いて言うならあの泣き黒子チャンかな。顔がエロい」
「よっし、決まり。行くか」
マサルとタカシが泣き黒子狙いなら、俺は一人でもう片方を楽しめるって訳だ。
海辺で楽しそうに会話している女の子二人に近付く。
近くに来ても綺麗系って事は、マジでアタリだ。結構居るんだよな、遠目だと可愛いけど、近付くと微妙ってヤツ。
タカシがニヤニヤしながら声を掛ける
「ねぇ君達、女の子二人とか寂しくない?俺らと遊ぼ?」
声を掛け、肩に触れようとして、白と水色の方はするりと身を退いてタカシの手を躱した。あれ、なんかなよっとして見えるのに、この子実は気が強い?
意思の強そうな青紫の目を見つつ、俺も誘ってみる
「俺達イイトコロ知ってるんだけどさ、一緒にどう?」
「結構です」
すぱっと一刀両断したのは泣き黒子チャンだ。さっと踵を返す彼女に続いて青紫の子も歩き出し、必然的に俺達も後を付いていく。
こんな上玉、そうそう出会えないのだ。逃して堪るか
「えー?でもさ、君ら二人でしょ?良いじゃん、俺達混ぜたら人数丁度良くない?」
『人数はもう足りてますので』
「ああ、女の子増える感じ?それは大歓迎。どんな子?可愛い系?」
「話聞かねぇなこいつら」
『まぁまぁ。あ、見えた』
「え?どの子?」
二人ともレベル高いし、お友達も同じレベルならもっと楽しめるだろう。
適当に言いくるめてさっきの岩影に連れ込むか。
マサルとタカシとアイコンタクトを取り、全員がにやけた所で青紫の目の女の子が大きく手を振った。
其方にあるのは人集り。
妙に女が群がっているそこに手を振ったという事は、あの中にこの子達の連れが居るという事か。
さてどんなレベルかなと楽しみにしていると、何故か人集りが真っ二つに割れた。
「チッ、ウゼェんだよ雌猿共!!其処らの猿と交尾してろ!!!」
「こら悟、はしたないよ」
「ハァ!?なんで俺らが雌猿の所為でタイムロスしなきゃなんねぇの!?
その時間の分紐なしバンジーしながら誠心誠意謝罪してくれんの!?」
なんだあれクッソデケぇ。日本人?
片方は日本人っぽいけど、もう片方のサングラス、髪白いし肌も白いぞ?外人?
でも今めちゃくちゃ流暢に罵倒したぞ?ハーフ?
困惑する俺達の方に男二人が歩いてくる。
青紫の子が、なんと二人に呼び掛けた。
え、嘘だろ
『悟ー、傑ー、此方ですよー』
「刹那!!猿がうぜぇ!!!」
「随分群がられてたな」
「ははは、流石に驚いたよ」
「……で?オニーサン達、誰?」
せつなと呼ばれた青紫の目の子の肩を当然の様に引き寄せたのは、ハーフらしきサングラス。
泣き黒子チャンの肩に手を乗せた黒髪の変な前髪の男が、にこやかに俺達に言う
「ああ、もしかしてこの子達を此処まで送ってくれたんですか?ご親切にありがとうございました」
「つーかシタゴコロ丸出しじゃん?ヤりてぇなら其処で屯してる雌猿漁れよ。
ほら、オマエらにお似合いの頭スッカスカな股緩い猿が選り取り見取りだぜ?」
言わせておけば、このガキ共…
眉を寄せた俺に、口角を上げた男がゆっくりとサングラスを持ち上げた。
─────この世のものとは思えない美貌が、俺を冷たく睨め付ける
「コイツらはもう売却済みなんだよ。穏やかに接してやってる内に失せろ、猿が」
……殺される。
そう、思った。
まるで目の前に獰猛な肉食獣が居るかの様なプレッシャーに耐えきれず、俺は逃げを打った。
「そうそう、賢く生きろよ。猿なんて一匹二匹、潰すのは簡単なんだからさ」
……男の言葉が耳にこびり付いて、離れなくなった。
「あーもう右も左も発情期の猿ばっか!暇なの!?アイツら盛るしか能がねぇの!?」
「こら悟、はしたないよ。そもそも水着なんて身体の線が出るんだから、異性として見るのが当たり前だろ」
「線なんか出なくても刹那と硝子は女だろ」
「そうじゃないよ。性的に捉えるってこと」
「?」
「うーん…………まさか不能か?」
「馬鹿にしたのは判った。表出ろ」
「此処は表だよ」
男二人の会話を聞き流しつつ、硝子と水に潜る。キラキラと光が降り注ぐ中で見る親友はとても綺麗で、思わず笑った。
『ぷはっ』
「あー、久々に潜んのも良いな」
「女子二人めちゃくちゃ楽しそうですけど。俺も潜る!」
「悟!柔軟しないと脚が攣るぞ!!」
「反転術式回しまーす!!」
「すんげぇ不名誉な使い方だな」
『反転術式で足の攣りを治すwwwwwww』
「ああ、もう…溺れたら沈めるからね」
「ママが殺人を企んでんな」
『私達は知らないフリしちゃう?』
「オイ女子二人、そん時は俺のフォローに回れよ。なんで殺人を見て見ぬフリすんだよ」
水を掻き分け近付いてきた悟に笑う。
いや、だって傑の言ってる事は正しいし?柔軟は重要ですし?
買ってきた浮き輪に掴まってプカプカしていると、悟が後ろから覆い被さる様に手を伸ばしてきた
『これ私が溺れない?』
「俺とオマエ溺れるとか無縁じゃね?」
『あー……』
「いやそこで許すなよ。刹那溺れそうじゃん」
「え、刹那潰れた?」
『生きてるー』
硝子と傑の方からだと悟の背中で見えないらしい。ひらひらと手を振ると、真上から綺麗な顔が覗き込んでくる
「刹那、浮き輪に乗せよっか?」
『悟が離れたら全部解決するんだけど』
「えー、やだ。じゃあこのまま俺の傍で浮いててね。歩く時は押すから」
『…あんたまさか脚が着いてる…?』
「え?ウン。傑も立ってんぞ」
『巨人じゃん…』
浮き輪にべたっとくっつく私を背後から悟が押して歩くという謎の遊び。
なんだこれ。冷たくて気持ちいいけど、これ悟楽しいの?
『悟、これ楽しいの?』
「ウン。刹那が俺の腕の中のこのエリアから逃げ出せないってなるとさぁ、なんか楽しい」
にこやかに放たれた言葉に、私どころか近くで浮いている硝子と傑も言葉を失ってしまった
『お、おう………なんかこわい…』
「なんでこいつはしれっと病んでるんだろうな」
「それはつまり、刹那を閉じ込めたいって事か…?」
『ママ、やめてママ。私はまだ外に居たい』
「?刹那が逃げねぇなら酷い事しねぇよ?」
「逃げたら酷い事をするつもりなのがもう」
「病んでんなぁ」
『つらぁ…』
ぴとっとくっ付いて笑う悟に苦笑いが零れた。こいつなんでそこはかとなく病んでる所を見せてくるのか。
死んだ目をしているであろう私を見て、傑が笑う。
「悟、少しは優しくしてあげないと、刹那が逃げるよ?」
「はぁ???????優しいし!俺刹那が嫌がる事はしてねぇぞ!!なぁ刹那!?」
『ん?……ふとした闇が怖い以外は…?』
「ほら!!!!!!」
「今ふとした闇が怖いって言葉を綺麗にスルーしたな」
「悟、それは強要じゃないか?」
「違いますぅ。刹那が逃げねぇなら酷い事しねぇもん。あとオマエらも逃げたら酷い事するぞ。逃げんなよ」
「まって、巻き込まれたwwww」
「ふざけんな私は逃げる」
「ははは、一緒に逝こうね。パパ」
「ははは、一人で逝けよママ」
心底嫌そうな硝子がしっかり傑に抱き締められているのが面白い。
ケラケラ笑っていれば、悟が静かな事に気付いた。
そっと其方を見て、目を瞬かせる。
……なんて、優しい顔をしているんだろう。
じゃれ合う硝子と傑を見る表情が優しくて、普段の騒がしい悟とは結び付かずに少しだけ動揺した。
私の視線に気付いたのか、蒼が此方に向けられる。
ふにゃっと笑った悟に、何時もの表情である事に気付いて安心した
「どうした?」
『……いや、悟、優しい顔してるなって』
「優しい顔?」
きょとんとする悟に頷く。
硝子と傑は何故か水掛けバトルが勃発していた
『傑と硝子見てる悟の顔が優しかったから、びっくりして見てたの』
「ふぅん?良くワカンネ」
『まぁ自分の顔はねぇ』
鏡でもなきゃ見えないもんね。
頷くと、でも、と悟が続けた。
「……刹那も硝子も傑も楽しそうだと、俺、しあわせだなぁって思うよ」
『……悟』
「だって、オマエらがしあわせだと俺もしあわせだから。だから、嬉しい」
……五条悟という人間は、自己中心的に見えて実は酷く他者を重んじる。
いっそ究極の自己犠牲。私達が幸せなら、自分も幸せ、なんて。
……なんとも言えなくなって、綺麗な髪を撫でた。
不思議そうにしつつ、悟が笑う。
「なぁに?俺イイコだった?」
『…悟は何時も良い子だよ』
ただやり過ぎるだけで、その感情は基本的に善性のものだ。
笑っている悟の髪を撫でながら、口を開く
『ねぇ、悟』
「なぁに?」
『悟が幸せになるのに必要なものがあったら、何でも言ってね』
「ん?」
『私達だって、悟が幸せそうにしてるのを見るのが幸せなんだよ』
悟が私達の幸せを願ってくれている様に、私達だって悟の幸せを祈っている。
綺麗な蒼がじいっと私を見て、それからゆるりと細められる。
そして、薄い唇が秘め事を打ち明ける様に、小さな声で紡いだ
「じゃあ、ずっと傍に居て。ずっと、俺を愛していて」
……愛という言葉は喉につっかえて出てこなかった。
言葉の代わりに頷いた私に、悟は蕩ける様に微笑んだ
真夏のバカンス
刹那→実は愛を口にするのが苦手。好きは言える。愛は無理。
五条の優しい顔に驚いていたが、よく考えてほしい。そいつは大概へにゃってした顔で君を見ているぞ。
五条→交流会を頑張った報酬をもぎ取った。水着を当然の様に選んだ人。
宝物が幸せなら、自分も幸せ。
だって宝物が自分を幸せにしてくれるから。
このあと夏油とスマブラ(水上バトル)する。
夏油→準備運動はちゃんとしようね。
硝子が水鉄砲を持ち出した事で五条を道連れにした人。
刹那と話す時の悟は顔が溶けてるなぁと思っている。
硝子→夏油にビッグサイズ水鉄砲を連射した人。普通に痛い。五条も撃った。
刹那と話す時の五条はマタタビを抱き締める猫に似ていると思っている。
海に行こう
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