「刹那、チロルチョコちょーだい」
『いいよー。今日はね、ホワイトアンドクッキーと、ミルクと、チーズケーキと、プリンもち』
「何時も沢山持ってるね」
「プリンもち…?」
『二人も食べる?』
「ホワイトアンドクッキーをダースで」
『もっと遠慮して頼もう?ほれ』
「アリガトウ」
「何でダースで持ってるのwwwww」
「四次元ポケットかwwww」
あろう事かお気に入りのチョコをダースで注文した坊っちゃんの机に、ホワイトアンドクッキーを積んでやる。
着々と積んでいると、それをじっと眺めていた悟が急に手を伸ばしてきた。
大きな手が首の後ろから後頭部にかけて包み込み、ぐっと引き寄せる。
突然の事にバランスを崩し、目を瞑った私をしっかりしたものが受け止めた。
『……………………え?』
手を付いたのは黒い壁。
首はまだ暖かなものが捕らえていて、何でか右耳の傍ですんすんと鼻息みたいな音がする。
え?????
嗅がれている…???え???????
『????、???…????????』
「良い匂いする。オマエの髪?」
「おい距離感やべぇぞアイツ」
「悟、まだ出会って一ヶ月の女の子の匂いをそんな大々的に嗅ぐんじゃない」
「えー…だって嫌がってねぇじゃん。つーか髪さらっさらだなオマエ。触り心地良い」
鼻先を埋めながら両手で髪を触り始めたんだが、私はどうすれば。
普通ならぶん殴るんだけど、なんというか、悪意を感じないのだ。
欲も悪意も感じない。純粋に興味で髪も触るし、匂いも嗅いでいる。それが伝わるが故に殴りづらい……
困惑している私の首もとですんすんと鼻を鳴らしたかと思えば、悟はあ、と声を出した
「これだ。この匂い。胸元からする」
『……………香水です…』
「良い匂い。これ好き。名前は?」
「その前に刹那を離してやれよ」
「悟、女の子をそんな風に抱き締めちゃいけないんだよ」
「?でも刹那嫌じゃないよ?言ってねぇもん」
とてもびっくりしてますけど????
言ってないけどな?距離感大丈夫?私女なんだけど???ぬいぐるみじゃないよ?????
すんすんしている悟は何を思ったか、両手で私を包み込んだ。
ぎゅっと長い腕に抱き込まれ、座る悟の膝に乗り上げる体制になる。
え?????なぜ?????なぜにハグ????
「んー…なんかフィット感あんなオマエ…ホッとするわ」
「悟……それはセクハラだ…」
「断んの苦手な女子抱き込んでんなよクズ」
「だって嫌って言ってねぇじゃん。なぁ刹那、俺にこうされるの、嫌?」
わざわざサングラスを外して聞くな。
じっと馬鹿みたいに綺麗な顔で凝視され、目を逸らす。
すると大きな手で頬を包み込まれた。
「俺、オマエにくっ付くの好き。これからもして良い?良いよな?嫌って言ってねぇもんな?」
待ってこれ拒否権ないな?頷けって圧が凄いな?
傑が頭を抱えている。硝子はドン引いた顔で此方を見ている。
じっと此方を覗き込む蒼に溜め息を吐く。
そして渋々、言った
『……程々にしてね』
結論、許すべきではなかった。
「ねーぇー?刹那ー?何してんのー?」
『報告書を書いております』
「なんだあの距離感」
「悟、距離感を弁えな…」
報告書を書く私の上から覆い被さってきた悟に、硝子と傑がこそこそと囁きあっている。
程々にって言ったんだけどな…あの一回だけだろうって思ったから程々にって言って許したんだけどな…?
後ろからぎゅうっと抱き付いてきた悟に押し潰されつつ報告書を書く。
「なぁなぁ刹那、今日スイパラ行こ?」
ペンを走らせる私に被さったまま、悟が言う。こいつの距離感どうなってるんだろ?これって恋人とかの距離感じゃない?
『私午後から一件任務あるからパス』
「えー。…じゃあ俺も行く!そしたら直ぐ終わって行けんだろ?よし、そうしよう」
「諦めるって事を知らないのかアイツ」
「あれは刹那が折れるのを待ってるな」
『えー……もうそれは先生に直談判して貰って…』
「お、頑張ったぞ刹那」
「じゃあ夜蛾に言ってくる!ちょっと待ってろ!」
バタバタと出ていった悟を見送って、三人で目を見合わせる。
「アイツ、何であんな刹那との距離感バグってんの?」
『程々にしてねって言ったら、毎日くっついてくる様になったね』
「悟の程々は毎日だった…?」
最初は食べてるお菓子をねだるぐらいだったのだ。それが気付いたら背中に張り付いてくる様になっていた。何故だろう。
「刹那が断れないのを良い事にどんどんエスカレートしてんな」
「刹那、嫌ならちゃんやめてって言いな」
『んー……まぁ実害はないしなぁ』
ハグを求めるって事はストレス溜まってんのかな?ぐらいにしか…
そう言うと、なんとも言えない顔を向けられた
「自己主張激しいマイペース系と断れないのんびり系の奇跡のタッグ…」
「やめなさい硝子、刹那が可哀想だろ」
『ん?私のんびり系?』
「割とのんびり考えてるね。ああいうのは一度許すとガンガンに攻め込んでくるぞ」
「寧ろ大分日常を侵食されてるけど、まさか気にしてない…?」
『んー…?妙にくっつくなぁ、とは思うけど』
ぶっちゃけ暴力を振るって来ないなら良いかな、程度には思っている。
ああ、あと悟が傍に居る事増えたなぁ、とか?
呟くと、硝子が溜め息を吐いた
「こりゃ刹那は一生恋人作れないわ」
『なにそれ不吉』
もう遅いよ☆
刹那→気の迷いだろうと思って許したらべっとべとにくっつかれた。
五条→「良い匂いがする。コイツの髪?違うな、あ、めっちゃ触り心地良い。抱っこしたらフィット感が良い。え、これからもしよう」これが問題児の思考回路。
許して貰えたので程々に(毎日)くっついている。
この時の刹那の香水はバニラ系。
夏油→コイツ、距離感バグってる?
硝子→コイツ、距離感バグってんな。
最初から全力でバグ
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