※グッピーが死にます。
※倫理も常識も死んでいます。
※呪術師100%です。
※穏やかに終わりたい方は引き返す事をお薦めします。










「ででんっ!ハンムラビ法典196・197条は何でしょーかっ!」


「目には目を、歯には歯を。かな?」


「せーかい!傑クン1ポイントー」


陽気な声と共にざく、と私の右目が一瞬で見えなくなり、燃える様な熱さと痛みが支配する。
悲鳴は黙殺された。
悟は掌で苦無を弄びながら、私の開かれた腹部に撒菱を仕込む夏油に話し掛ける。


「でもさぁ知ってた?目には目をが成立するのは対等な立場の奴だけらしいぜ?」


「おや、じゃあ私達はどうすれば良いんだい?」


まるで屠殺場の豚を解体するかの様に迷いのない手付きで、悟が私の喉に苦無を滑らせた。
かぱりと開いたそこに石を詰め込みながら、彼はかの有名な法典を諳じる。


「んーと、子がその父を打った時には、その手を切られるが195条で、奴隷が自由民の頬を殴れば耳を切り取られるが205条。
つまり耳を落とせば良いんじゃね?」


「耳だね、判った」


笑顔の夏油が手にした鋸を耳に宛がった。
嘘、嘘でしょ?やめてよ、やめ………


「───────────!!!!!」


「お、喉潰して正解だったわ。静かで助かる」


「猿の鳴き声は煩くて敵わないからね」


痛い、いたい、いやだ、もういや。
殺して、ころして、殺してくださいころして……はやく…………















刹那の目覚めを待って、笑い合って、その日の夜。
俺と傑はとある校舎に戻った。
すっかり生得領域も解けただの廃墟となった其所で、傑の呪霊に身動きを封じられたソイツ。
顔に大きな切り傷を負った猿を、傑が呪霊に命じて何処かから運んできた十字架に張り付けた。
地面に倒したそれにしっかり苦無で手足を固定して、先ずは腹を裂く。
悲鳴が鼓膜をブチ破りそうだったので、とっとと声帯を開いておいた。


「しょうこっちってマジ便利だな。“死なせねぇ拷問”に打ってつけじゃん?」


〈〈〈〈かーごめ かーごーめ〉〉〉〉


クソ低い硝子の声でかごめかごめを歌うウサギを眺めながら呟くと、せっせと腹に石を詰め込みながら傑が笑った。


「そう言うな。彼女らも今回はご立腹なんだよ」


「まっさか睨み効かせてた桜花でも禪院でも腐ったミカンでもなく、ぽっと出の雌猿に宝物傷付けられた俺の心境を五文字で述べよ」


「ブッ殺す」


「正解正解だいせいかーい!!さっすが親友、俺の事詳しすぎない?」


「悟が判りやすいんだよ」


開いた傷が反転術式により治癒されていく。しかし其所に仕込まれた撒菱が治り始めた肉を裂き、また血が滲んできた。
ぐぐっとピンクの肉を切っていくその光景に思わずオエッと声が漏れる


「うっわ痛そー。傑、エグい事考えんね」


「知ってる?治る端から傷付くというのは発狂しそうな程辛いらしいよ。痛くて痒いんだって」


「すげぇ笑顔じゃんウケる」


閉まりかけた内臓を裂いて石を詰める。
ぎゅうぎゅうに大小様々な石を押し込みながら、会話を続けた


「…これで俺が特級に決まるまでの一ヶ月がマジで危ねぇ護衛任務みてぇになった訳だけど、どうする?護衛増やす?」


「いや、今回は確実にイレギュラーだし、私達も組む相手が女の子だからと油断していた。
次からは二人に私達が付く。それで問題はないだろ?」


「当たり前。俺達最強だし」


「私達は四人で無敵だしね」


笑った傑に俺も笑顔を返す。
猿の内臓までぎっちぎちに石を詰めた所で、控えていたすぐるっちがそっと俺達にあるものを差し出した。


「針と糸を用意してくださーい!」


「はーい!」


針みてぇな形の呪具とロープを持ち、呪具の頭にロープを通して傑に渡す。
傑はにっこりと笑ったまま、雌猿の腹を縫い始めた


「ぎっちぎちに石を詰めた腹を、へたくそに縫い合わせてくださーい!」


「はーい!」


傑が縫う間に俺は少し離れた場所に集まる白い塊に目を向けた。
白い猫がせっせと木の枝やら布やら燃えやすそうなものを集めている。
オマエら詰めば楽そうだけどな。
呟いた瞬間脇腹目掛けて猫がカッ飛んできた。


「無限バーリア!はーダッセ、バカ猫じゃん?」


〈モヤスゾ!!〉


「ああ?奇遇だな、俺もオマエら焚べりゃあ楽じゃね?って思ってた」


「悟ー、終わったよー」


「へーい。……チッ、命拾いしたなクソ猫」


〈バーカ バーカ!!〉


「マジ燃やす」


「こら悟、サボるな」


「へーへー」


傑の呪霊が十字架を突き刺した。
そこは猫共が燃料を集めた中心地。
血塗れの猿がセットされると、しょうこっち達がとてとてと歩いていく。


「着火!」


俺の号令に合わせ、手にした煙草を布に押し付けた。
一斉に行われたそれは、ウサギが避難する頃には炎となって身を起こした。
暗闇でぼうっと浮かび上がる煙を眺め、傑が呟く


「夜中にキャンプファイヤーも乙だね」


「今度刹那と硝子連れて海でも行く?そこでキャンプファイヤーすれば良いんじゃね?」


「はは、硝子は暑いの嫌がりそうだね」


「女子組すーぐ自信ある系ブサ男ホイホイすんだよなー。どう足掻いたってブサイクだし。整形してから来いよ」


「可哀想だろ、彼等はあの顔で自信を持って生きているんだぞ?」


「オマエの方が抉るって気付けよ?」


あっという間に炎に巻かれた猿を眺めながら、傑と夏休みの予定を立てる。
足先からじわじわと焼けていく姿は、川辺で釣った魚を焼く光景に良く似ていた


「何となくで七匹の子やぎゴッコしてるけどさぁ」


「ああ」


「これって魔女裁判じゃね?」


「きっと狼は魔女だったんだよ」


「そっかぁ。じゃあポップコーンでも摘まみながら焼けるの見る?猿の丸焼き出来るけど」


「ああ、昔は魔女裁判って娯楽だったんだっけ?」


「そうそう、貴族の暇潰し」


頭の後ろで腕を組みながら考える。
なんかハラ減ってきた。


「このあと焼き肉どうよ?」


「ハンバーガーの気分だな」


「マジで?なんで?」


「しょうこっち見てたら食べたくなった」


「あー。じゃあマック行こ」


何でもない話題を転がして、はたと思い出した。


「傑、俺達重要な事言ってねぇぞ」


「ん?刹那達に早く寝なさいってメール?」


「それは行く前に言ってきたから平気。そうじゃなくて、今焼いてる猿見て思う事ない?」


問い掛けると、傑は目を瞬かせ、それからああ、と頷いた


「あったね。重要だよ、とっても大事だ」


「だろ!?良し、やるぞ!!」


ぱん、ぱん、と手を打ち合わせる。
それから俺達は同時に言い放った


「「地獄に堕ちます様に!!」」










嘘つきは焼いてしまおうね











五条→七匹の子やぎゴッコを思い付いた人。あ?呪力で殺さなきゃ呪霊になる?知ってるけど?
殺しても祓えるし、一石二鳥では?

夏油→魔女裁判ゴッコを思い付いた人。
え?呪力で殺さなきゃ呪霊になる?知ってるけど?
……呪霊にしてもう一度殺せるのって、良いよね!

さとるっち→おこ。

すぐるっち→おこ。

しょうこっち→おこ。

狼退治はこっそりと


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