140字SS

2018/06/21

降谷零・図体ばかりが大きくなる

「好きになってごめんね」
そう言って泣く彼女に呆然とする。そんな台詞を言わせたかったのではない。そんな言葉が聞きたかった訳では無い。そんな顔をさせたかった訳では無い。ただ笑っていて欲しかっただけなのに。結局僕はいつまで経っても独りよがりで愛しいこの子の笑顔さえ守ることが出来ない愚か者のままなのだ。
2018/06/21

降谷零・何も知らない女の科白

あの子の夢を見た。声を殺して泣くその後ろ姿を鮮明に覚えている。私は酷く臆病でその背中を見つめることしか出来なかった。最初は可愛い女の子。そのあとは快活な顔で笑う笑顔が眩しい少年。彼の周りに少しずつ人が増えていく。私はそれに安堵して目を覚ますのだ。今でもあの子の周りが優しいものであることを説に願う。
2018/06/02

風見裕也・愛の挨拶

風見さんの眼鏡を奪い自身にかける。彼は「返せ」と眉間のしわを一層深くしながらこちらを睨んでくる。「怖ーい」ケラケラ笑いながら彼の手から逃げる。そして眼鏡を外し後ろ手に隠すとそのまま彼に突撃する「何だ」むっとしながら見下ろしてくるから彼にちゅ、と口付ける。別に構って欲しかっただけだよ。
2018/05/31

バーボン・宵は覚めて夢は続く

つん、とお酒の匂いが鼻をつく。ぼんやり目を開くと目の前に綺麗な顔。「あぁ、起きましたか。」「だれ...」「おや、君が誘ってきたのに忘れてしまうなんて薄情ですね」全く思ってなさそうな顔で笑う彼に見覚えはない。「それでは、昨日の再現でもしてみます?」あぁ、頭が痛い
2018/05/29

安室透・ハニーミルクの罠

忙しなく動くその人の背中をじっと見つめる。パタパタ動くリボンがかわいい。後ろでは女子高生がきゃっきゃっと彼について話しているのが聞こえる。「相変わらず人気者ですねぇ」「おや、嫉妬ですか?」「感心してるんです」貴方の裏の顔も知らずに呑気に笑える彼女たちに。
2018/05/28

降谷零・青い鳥はどこに行った

今日、私は結婚する。白いドレスを纏い、歩くバージンロードの先に居るのは貴方ではないけれど。貴方だったらこんなに人は集められないだろう。もしかしたら式を挙げることさえ不可能だったかもしれない。なんて、ここに来てなお、貴方とのもしもを考えてまう私を貴方は愚かだと笑うのかしら。
2018/05/27

赤井秀一・大人と子供の境界線

ぼんやりと紫煙が燻るのを見つめる。「欲しいのか?」「全然。」煙草は嫌いだ。匂いがつくし、病気になるし、いい事ない。「何で皆煙草なんて吸うの?」「お嬢ちゃんも大人になれば分かるさ。」赤井さんは何時も真面目に取り合ってくれない。煙草も吸えない子供に手を出してるのはそっちなのに。
2018/05/25

降谷零・彼にはなんでもお見通し

がぶりと耳を噛まれる。容赦なく噛みつかれたそこからじんじんと痛みが伝わってくる。「よし、」と満足そうに笑う彼に眉根が寄るのが分かる。私がやろうとすると避けるくせに彼はよく私に何かしら跡をつけるのだ。文句を言ってやろうと口を開く。「俺のって分かるようにしとかないとすぐどっか行くからな」やば、こないだ合コン行ったのバレてる。
2018/05/24

風見裕也・彼女の秘密

裕也くんに怒った時はいつも夕食に彼の嫌いなものを出す。彼は育ちがいいから出されたものは残さず食べてくれる。少しだけ困ったように笑ってもぐもぐと食べる姿が好きだ。裕也くんは食べきったら食器を洗ってから私にコンビニに行かないかと声をかけてくる。往復10分もないデートの誘いが欲しくてわかり易い怒り方するの裕也くんは分かってないんだろうな。
2018/05/24

風見裕也・彼の秘密

彼女は怒ると毎回夕飯に俺の嫌いなものを作る。それは彼女なりの抗議なのだ。あまり我儘を言わない彼女はこういう些細な事で怒りを示してくる。仕事の融通が効かず毎回怒らせてしまうのをとても申し訳なく思う反面怒り方が可愛らしくて口元が緩みそうになる。彼女の料理のおかげで俺はとうに嫌いなものを克服していることは秘密だ。
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