苗字名前の子宮は要塞である。
 兵器は未だ無い。

 大きな暇が出来てしまって、私の頭の中には今まで考えもしなかった如何でも好い事ばかりがぐんぐんと巡った。
 嘗ての可愛い可愛い私の部下の、苗字名前ちゃんの子宮の要塞も、最早私にとっては如何でも好い沢山の事案のひとつに成り果ててしまったのだけれど、この大きな暇の中でそういえばと、どうも善くない事を思い出してしまったのだよ。私は居ても立っても居られずに、お前に懺悔しに来たという理由わけだ。哀れな私を、どうか快く迎えておくれ。なァ、織田作。

 人間を兵器と云う成れば、例えば先の大戦で暗躍した異能力者であったり、呼吸する厄災であるポートマフィアのQ、それから未だ兵器は無いけれど、自らの腹にそれを仕舞う事が出来る彼女を指すのかなあと、私は思うのだ。
 の国の聖典によると、およそ三千年前に神々は超兵器に乗って空を飛び、水銀を原動力として地上を灼熱に焼いたそうだ。うふふ。笑うかい? 御伽噺だと、目を伏せるかい? まあそれも好い。けれどね、その灼熱に焼かれたと云われている場所からは今も尚、高濃度の放射線が検出されているのだよ。発掘される人骨は高温で焼いた跡が残っており、遺跡から程近い場所では一千四百度以上の高熱で一瞬に焼かれ出来た硝子の石が発見されるそうだ。“硝子に成った村”だなんて、浪漫じゃない?
 古代兵器が眠ると云われている寺院の扉は六つある。五つの扉は数年程前に開かれ、266貫にも及ぶ金貨の山や財宝が発見されたのだが、最後の扉が開けられることはなかった。扉の解放を訴えた尊師が突然死したからさ。ふふん。なぁに。いくら私だって、そこまで莫迦なことはね、考えついたとしても行動に起こしたりなんかしないさ。ただね、扉を開けようと行動に出れば、誰が如何やって私を殺しに来るのか……それくらいの妄想は許して欲しい。厭だなあ。彼女の子宮を寺院に見立てて扉をこじ開けようとするのも、勿論妄想の中だけだよ。

 おや、退屈かい? では、私の話に戻ろう。何処から話すべきだろう。そうそう、あれだ。私が初めてメスを持ち、執刀した日の事なのだけれど――。


20170116
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