「髪、どうしたの?なんで...」

私の短くなった髪を見て凛月は驚いている。髪を切ったから、肩まであった髪をバッサリ切ってショートになったのだ。凛月は髪に触れ「なんで切ったの」と不機嫌になりながら私を見つめている。似合わないかな?凛月とお揃いだよ?と言っても凛月の機嫌は治らない。こりゃ駄目だ、しばし放置しよう。昼休みから私は口を聞かないようにした。

「なに、お前ら喧嘩でもしたのかよ」

真緒君が、私と凛月の様子に溜息を吐いた。だって私悪くない。髪切っただけだよ、そう真緒君に言えば、「確かに、見た時は驚いた」とけど似合ってるってお世辞でも嬉しかった。凛月から視線を感じるも見ないように今日は絶対口聞かないんだからな!下校時刻、凛月の姿が無くさっさと帰ってやろうとリュックを背負い廊下を歩いていた。周りを見なかった私は、身体が急に開いた扉に引っ張り込まれ叫ぼうとしたら
「名前」と彼の声がした。床に倒れ込む凛月にその上に倒れ込む私。

「だ、だ大丈夫!?」

「だいじょうぶ。それより名前」

ごめん、凛月が謝ってきた。キョトンとする私はさっきまでの事なんて唐に忘れていたためすぐ理解した。私も謝れば凛月は綺麗な顔で微笑み、私の髪をぐしゃぐしゃとしてきた。肩に凛月の顔が乗せられ、「...似合ってる」と随分と小さな声で言っている。凛月の背中に手を回し、お礼を言えば、私から離れ、髪を手ぐしで戻しながらちゅっ、と一瞬のキスをされた。

「俺とお揃い。今度、髪暗くしない?」

「お揃いだね。ええ、黒にするの??」

黒にしたらホントにお揃いだよ、凛月。満更でも無さそうで寧ろしてほしいと言ってくる。朝なんであんなに怒っていたのか、真緒は知っていたらしくその理由を聞いてニヤけが止まらなかった。