2023/10/08 ▽
ワンピキャラ×盲目男主 原作世界で両片思い(もしくは恋人)だった二人。ある日、男主がお相手キャラをかばって死亡。
死因は胸を撃たれたせい。そのとき、目許にももう一発の弾があたり、顔の損傷も激しかった。
その後、現代世界に二人は転生。男主は記憶なし、かつ先天盲であり両目を繋ぐように傷跡のように皮膚が白くなっている。
いつも一階の自分の部屋で窓を開けて本を読むのが楽しみ。そこを通りかかったキャラ(記憶あり)が自分のことを告げずに近所の人と偽って関わっていくシリアスを思いついたのですが、お相手のキャラをどうするかで悩んでます……
↓ なんとなく書いてみた冒頭シーン。
◆
目が覚めてぽつぽつと雨音が耳に届くと、嬉しくなる。
今日はあの人は来てくれるだろうか、とそう思った。
真っ暗な中で手探りに着替えや朝食をすませた。アパルは目が見えないが、この1Kの小さなアパートには必要最低限のものしか置いておらず、全ての物の配置は覚えているので、なんとか生活出来ている。
最後に本棚の隅から読みかけの本を手に取って、ズルズルと膝をするようにして窓際に移動した。
鍵を開けてカラカラと軽い音を立てて滑りの良い窓を開ける。途端に雨音が大きくなって直に耳を震わせてきた。
雨の日特有のこもったような重い空気が、鼻腔を通って体の中にずしりとのしかかる。
窓の外にはフラワーボックスが置かれており、そっと腕を伸ばすと、花びらのつるりと滑らか感触が触れた。
そのまま花を愛でるように撫で、最後に外の空気を目一杯吸い込んで深呼吸をしてから本を開いた。
手をかざし、ゴツゴツとした点字に触れて文字を読み始めてから一時間もしない頃だろうか。
微かな水音をまとう足音が、アパルに近づいてきた。
アパルの部屋は三階建てのアパートの一階にあり、ちょうど窓は通りに面していた。
といっても、住宅街の中のそう広くもない道だ。車がギリギリすれ違えるほどの道幅で、車通りは多くはない。
人の通りはほどほどだが、わざわざ開いている窓のすぐ真横を通ろうとする物好きもいない。
(あの人だ……!)
反射的にそう考え、顔を上げる。上げたところでアパルに感じるのは真っ暗な世界で、その人の姿を眼におさめることは出来ない。
本を閉じ、そのまま外に顔を向けてドキドキしながら待っていれば、
「―――――」
と、低い声が降り注いだ。瞬間、鼓動がトクリと大きくなって、さっきよりもうんと早くなり始めた。
脈の音に応じて、ぬるま湯のような温かな甘さが体に広がっていき、アパルはその嬉しさを前面に出すように笑って答えた。
名前も知らない、ただ家が近所だというその人。雨の日の散歩が好きで、ここはちょうど通り道だという。
フラワーボックスの花が綺麗だな、と声をかけられたのが始まりだった。
相手が決まらないとこれ以上書けない!!!!!
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