ペンディングトレイン
書きたいとこだけなお話
ペンディングトレイン見てない方はごめんなさい
・
あの日あの時間、貴方があの電車に乗らなかったら私たち2人にはどんな未来が待っていたんだろう。
今となってはもう知ることは叶わないけれど
・
・
「ねえ」
「ん?」
「ほんとにあの子についてきてもらわなくてよかったの?」
「…うん、大丈夫」
「送ってくよ?」
「いいよ、ありがと」
「…戻ってきたらあの子のともちゃんとしなさいよ」
すみれに苦笑気味に言われたことに曖昧に笑って返した直哉は駅へと向かい始めた。
・
直哉は電車に揺られながら検索すれば必ず出てくる弟の記事に心臓が押し潰されそうになっているとき曖昧な関係が続いている彼女からのメッセージに気づく。
『いってらっしゃい』
『気をつけて』
『大丈夫だよ』
何が大丈夫なのかわからないが帰れば彼女が待っているんだと思えば少しだけ心が軽くなった気がした。
返信の文字を打ち込んで送信マークをタップした瞬間、スマホの画面が緊急地震速報の画面に変わり電車が大きく揺れた。
・
美容院の後片付けをしながら朝連絡したきり反応を見せないメッセージアプリを開く
『帰ってきたら話したいことある』
そのメッセージを見ると苦笑しか出てこないがどんな話だろうとちゃんと聞こうと『待ってるね』と返信したが既読がついたまま進んでいない。
不安に思いながら新しいメッセージを送ると送信不可のマークがついて送れないことに不安が募る。
オーナーのすみれに連絡しようとしたとき事務所のテレビの音が聞こえてきた。
"今日未明、流山おおたかの森駅を8時23分に出発した秋葉原行きつくばエクスプレスの5号車、6号車の車両が突如として消える事件が発生しました。原因はまだ分かっておらず行方不明者は少なくとも……"
力の抜けた手からスマホが滑り落ち鈍い音を立てて床に叩きつけられた。
「………直哉?」
・
「姉ちゃんは兄ちゃんが心配じゃないの?」
「私のこと姉ちゃん言ってたら直哉に怒られるよー?」
「俺が大袈裟だって思ってる?」
「そんなことない。家族だもん。必死になって当然だよ」
「っ、姉ちゃんは所詮他人だから…だからそんな冷静でいられるんだろ!」
「………、心配しないことなんてない。いつ嫌な知らせが流れるかって思うと不安で仕方ない。でもジタバタしてもどうしようもないこともあるから…」
「……ごめん」
「うんん、達也くんが必死になってるから、私は冷静でいなくちゃって思えるのかもね」
「…兄ちゃんに会いたい」
「うん、私も会いたい」
達也の頬を流れる涙を優しく拭いながら穂花は静かに寄り添った。
・
いつも聴いていたベルの音がした気がした。
思い浮かべるのは自分を呼ぶ彼女の姿
走ったその先には想像とはかけ離れた光景が広がっていた。
「……何も、何もねえじゃねえか何も」
「どこ行っちまったんだよみんな…」
「消えたのは、…俺たちじゃなくて、、、」
「元の世界…」
・
3年後ではあるが現代に戻ってこれて弟に謝ることができた直哉は涙を拭いながら達也とすみれ以外にもいないのかと2人の後ろを見てしまう。
「…あ、穂花は来てないの。大勢で行っても直哉嫌がるだろうからって」
「…聞いてないけど」
「姉ちゃんは美容院にいるよ」
「だから聞いてないって。あと穂花はお前の姉ちゃんじゃねえ」
懐かしいやりとりにすみれも達也も安堵したように微笑んだ。
・
穂花が事務所で作業をしていると入り口のベルの音がしたのに気づきそちらに足を向けた。
達也から直哉がそっちに行くらしいと連絡を受けて相変わらず根っからの美容師だなぁと苦笑した。来ると分かっていても3年も会えなかった相手に会うのは心の準備がいる。
自分がいることは分かっているだろうが直哉はどんな反応をするのか、どんな反応をしていいのか分からず会いに行けなかった。
電気のついたフロアを覗いた先に懐かしむように見回すあまり変わらない直哉の姿に穂花はただ見つめていた。
穂花に気づいた直哉も笑顔を消して見つめ返した。
「……おかえりっ」
涙を堪えて出した穂花の言葉を聞いた直哉は遠くない距離を詰めて震える体を抱きしめた。
「っただいま……会いたかった」
抱きしめられたことにも言葉にも驚いた穂花の目から堪えていた涙が流れ頬を濡らした。
お互いに存在を確かめるように強く抱きしめ合い、少し離れた2人は見つめ合うとゆっくりと唇を重ねた。
・
「直哉は変わったね。いい意味で」
「なんですか?急に」
「心のシャッター開けてくれた人たち大事にしなきゃダメだよ?」
「ほんとに何?」
「私は臆病で、寄り添うことしかできなかったけど、一緒に戦ってくれる人たちができてよかった」
「穂花」
「ありがとう、未来を守ってくれて。大好きだったよ」
「、おれは」
「直哉が1番大切に思う人に本当の気持ち伝えてあげてね」
顔を上げない直哉の頬を包んで上げさせた穂花は泣きそうに微笑んだ後に額にキスをした。
「じゃあ行くね」
「……穂花」
「うん」
「俺も好きだった」
「……ありがとう」
ペンディングトレイン見てない方はごめんなさい
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あの日あの時間、貴方があの電車に乗らなかったら私たち2人にはどんな未来が待っていたんだろう。
今となってはもう知ることは叶わないけれど
・
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「ねえ」
「ん?」
「ほんとにあの子についてきてもらわなくてよかったの?」
「…うん、大丈夫」
「送ってくよ?」
「いいよ、ありがと」
「…戻ってきたらあの子のともちゃんとしなさいよ」
すみれに苦笑気味に言われたことに曖昧に笑って返した直哉は駅へと向かい始めた。
・
直哉は電車に揺られながら検索すれば必ず出てくる弟の記事に心臓が押し潰されそうになっているとき曖昧な関係が続いている彼女からのメッセージに気づく。
『いってらっしゃい』
『気をつけて』
『大丈夫だよ』
何が大丈夫なのかわからないが帰れば彼女が待っているんだと思えば少しだけ心が軽くなった気がした。
返信の文字を打ち込んで送信マークをタップした瞬間、スマホの画面が緊急地震速報の画面に変わり電車が大きく揺れた。
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美容院の後片付けをしながら朝連絡したきり反応を見せないメッセージアプリを開く
『帰ってきたら話したいことある』
そのメッセージを見ると苦笑しか出てこないがどんな話だろうとちゃんと聞こうと『待ってるね』と返信したが既読がついたまま進んでいない。
不安に思いながら新しいメッセージを送ると送信不可のマークがついて送れないことに不安が募る。
オーナーのすみれに連絡しようとしたとき事務所のテレビの音が聞こえてきた。
"今日未明、流山おおたかの森駅を8時23分に出発した秋葉原行きつくばエクスプレスの5号車、6号車の車両が突如として消える事件が発生しました。原因はまだ分かっておらず行方不明者は少なくとも……"
力の抜けた手からスマホが滑り落ち鈍い音を立てて床に叩きつけられた。
「………直哉?」
・
「姉ちゃんは兄ちゃんが心配じゃないの?」
「私のこと姉ちゃん言ってたら直哉に怒られるよー?」
「俺が大袈裟だって思ってる?」
「そんなことない。家族だもん。必死になって当然だよ」
「っ、姉ちゃんは所詮他人だから…だからそんな冷静でいられるんだろ!」
「………、心配しないことなんてない。いつ嫌な知らせが流れるかって思うと不安で仕方ない。でもジタバタしてもどうしようもないこともあるから…」
「……ごめん」
「うんん、達也くんが必死になってるから、私は冷静でいなくちゃって思えるのかもね」
「…兄ちゃんに会いたい」
「うん、私も会いたい」
達也の頬を流れる涙を優しく拭いながら穂花は静かに寄り添った。
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いつも聴いていたベルの音がした気がした。
思い浮かべるのは自分を呼ぶ彼女の姿
走ったその先には想像とはかけ離れた光景が広がっていた。
「……何も、何もねえじゃねえか何も」
「どこ行っちまったんだよみんな…」
「消えたのは、…俺たちじゃなくて、、、」
「元の世界…」
・
3年後ではあるが現代に戻ってこれて弟に謝ることができた直哉は涙を拭いながら達也とすみれ以外にもいないのかと2人の後ろを見てしまう。
「…あ、穂花は来てないの。大勢で行っても直哉嫌がるだろうからって」
「…聞いてないけど」
「姉ちゃんは美容院にいるよ」
「だから聞いてないって。あと穂花はお前の姉ちゃんじゃねえ」
懐かしいやりとりにすみれも達也も安堵したように微笑んだ。
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穂花が事務所で作業をしていると入り口のベルの音がしたのに気づきそちらに足を向けた。
達也から直哉がそっちに行くらしいと連絡を受けて相変わらず根っからの美容師だなぁと苦笑した。来ると分かっていても3年も会えなかった相手に会うのは心の準備がいる。
自分がいることは分かっているだろうが直哉はどんな反応をするのか、どんな反応をしていいのか分からず会いに行けなかった。
電気のついたフロアを覗いた先に懐かしむように見回すあまり変わらない直哉の姿に穂花はただ見つめていた。
穂花に気づいた直哉も笑顔を消して見つめ返した。
「……おかえりっ」
涙を堪えて出した穂花の言葉を聞いた直哉は遠くない距離を詰めて震える体を抱きしめた。
「っただいま……会いたかった」
抱きしめられたことにも言葉にも驚いた穂花の目から堪えていた涙が流れ頬を濡らした。
お互いに存在を確かめるように強く抱きしめ合い、少し離れた2人は見つめ合うとゆっくりと唇を重ねた。
・
「直哉は変わったね。いい意味で」
「なんですか?急に」
「心のシャッター開けてくれた人たち大事にしなきゃダメだよ?」
「ほんとに何?」
「私は臆病で、寄り添うことしかできなかったけど、一緒に戦ってくれる人たちができてよかった」
「穂花」
「ありがとう、未来を守ってくれて。大好きだったよ」
「、おれは」
「直哉が1番大切に思う人に本当の気持ち伝えてあげてね」
顔を上げない直哉の頬を包んで上げさせた穂花は泣きそうに微笑んだ後に額にキスをした。
「じゃあ行くね」
「……穂花」
「うん」
「俺も好きだった」
「……ありがとう」