日常
軽く引っかかれる感覚に目を瞑っていても誰かわかるそれを手探りで撫でつけると頭を寄せてくるのがわかって笑みをこぼして目を開けた。
カーテンから覗く光に目を細めながら引っ掻いてきた相手を見れば自分が起きたことがわかったらしく小さな体全部で顔に擦り寄ってきて自分もそれを真似するように顔を押し付けた。
「おはよう」
隣で眠る名前に聞こえないように小さく言えば賢い猫のキナコは小さく鳴いて返してくれる。
ゆっくりと体を起こした裕貴は膝の上に乗り上げてくるキナコの体を撫でて名前の腕の中で丸くなるチクワの頭も優しく撫でつける。
「ご飯?」
裕貴の言葉に耳を動かした2匹の猫は我先にとベッドから飛び降りていく。チクワが動いたことで眠りから覚めたのか名前が身動ぐ。
「んん?」
「ご飯あげてくるから、まだ寝てていいよ」
裕貴の言葉に小さく感謝の言葉を返した名前はチクワがいなくなった分を埋めるように丸くなる。彼女の髪を梳かすように撫でつけた裕貴は無防備な唇に軽く吸い付いた。
急かすような鳴き声にリップ音を立てて離れるとベッドから抜け出して自分を見上げる猫たちに従うように寝室を出た。
「待ってー、待ってねー」
リビングにある定位置に座りながらもご飯を皿に盛る音に早く早くと鳴く声に答えながら用意のできた皿を2匹の前に置くと勢いよく食べる姿に笑みをこぼした。
屈んだ状態のまま今の時間を見てまだ早いなと思いながらどうするか考える前にリビングに名前が入ってきた。
屈む自分の首に腕を回して寄りかかりながら欠伸を漏らす姿に苦笑する。
「起きた?」
「うん」
「コーヒー飲む?」
「うん」
首元に顔を押しつけて答えてくる姿が猫みたいで可愛いなぁと思いながら彼女の足を持っておんぶする要領で立ち上がる。
裕貴が背負い直すと名前も体を安定させるように深く抱きつき直した。リビングの中を歩いてソファに彼女を下ろすと裕貴はコーヒーを淹れるためキッチンに向かった。
「ん、熱いよ」
「ありがと」
淹れたコーヒーを彼女に渡すとご飯を食べ終えた猫2匹が名前に甘えるためにソファに乗ってきて彼女もそれに応えるように顔を寄せる。それを見た裕貴は自分のコーヒーをテーブルに置いてスマホを取り出してカメラを起動した。
「名前ちゃん」
「んー?」
小さく微笑む彼女と猫2匹の微笑ましい光景をカメラに収めた裕貴は名前の今の姿をカメラ越しに見てこれはSNSにはあげられないなぁと思いながらもう一度シャッターを押した。
「寝起きはよろしくない」
「寝起きも可愛い」
「許そう」
「ふは、今日どうする?」
「予定ないならゆっくりしよう」
ソファの自分の隣を叩く名前に従ってそこに座る。当たり前にキナコが膝の上に乗ってきて名前も寄りかかってくるのに微笑むと自分を見上げる名前にもう一度キスをした。