少しだけ

「ナミさんになったのにまだトレーニングすんの?」

子どもたちが寝静まった夜、トレーニングする名前を見るのが当たり前になった裕貴は腹筋をする彼女の足を押さえながら尋ねた。
目だけで裕貴を見た名前はちょうど目標回数をやり終わると三角に折り曲げている自分の足を抱きしめるようにして裕貴と顔を突き合わせた。

「次いつ撮影あるかわかんないもん」

「シックスパックになりそう」

「そこまではやらないよナミさんじゃなくなっちゃう」

「名前は太りにくいから大丈夫」

「春奈が抱きしめにくるかも」

「許さんけど」

どこか拗ねたような裕貴に不思議そうな顔をした名前は足を崩して裕貴の首の後ろに腕を回して抱きついた。抱きしめ返されたかと思うとそのままトレーニングマットの上に倒される。
軽くお互いの唇を啄んでいると腹筋をくすぐるように撫でられてふふっと笑ってしまった名前は裕貴の大きな目を覗き込むように見上げた。

「なーに」

「これ以上綺麗になったら皆名前好きになっちゃう」

「私が好きなのは裕貴だけだもん」

「俺も名前だけ」

「私だけ、なーに?」

「好き」

満足気に笑った名前はマットの上で体勢を変えて裕貴の体の上に乗っかるように体をくっつける。
豊満な胸を裕貴の体に押しつけるようにして名前は微笑む。

「私の体を好きにできるのも裕貴だけだよ」

「……ねぇ、ずるいんですけど」

「んふふ、一緒にお風呂入る?」

「入る」

「さっき裕貴お風呂入ったっけ?」

「入ったけど入る」

可笑しそうに笑った名前は先に立ち上がった裕貴の手を取って立ち上がると眠っている子どもたちを起こさないようにと人差し指を口に寄せた。
眠ってしまえばよっぽどのことがない限り起きない子どもたちだが間違っても起こしてしまわないように2人は大きな音を立てないように移動した。


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