……ああ、お人形さん。こんばんは。いい夜ね。いつもの時間に来られなくてごめんなさい。今日はちょっと嫌な一日で……いえ、お昼までは普通の日だったのだけれど、日が暮れてから、あたしの家に探偵さんが来たの。この街の失踪事件について調べているんですって。男女それぞれ2人ずつ、4人が立て続けに失踪しているらしいの。それで、うち一人は分からないのだけれど、残りの3人はあたしに関係のある人みたいなの。みんなあたしに何かしら、思うところがあったみたいで…。どれもこれも、良い感情とは言い難いものだったけれど、これだけあたしに何か思っているというのはおかしいって。ただの捜査ならあたしも喜んで協力したけれど、あたしを疑っているっていう空気がダダ漏れで、それだけならまだしも、あなたを「あんな人形」呼ばわりしたの。それがどうにも気分が悪くって……その後すぐに帰ってもらったけれど、明日にしてって言ってしまったから、きっと明日もまたあの人が来るわ。質問は少しの間だけだったのにとても疲れたわ。ううん、それでもあたし、元気よ。本当にちょっとだけ疲れているだけ。現にこうして外を歩く元気があるんだもの、大丈夫よ。……ああ、あの靴音。あの探偵さんのものだわ。どうか気をつけてね、あの人はなんだか、こう……ちょっとでも視界に入れたら気分が悪くなるというか……そう、生理的に無理なの。あたしとあなたの感覚が同じというわけでは決してないけれど、あまりいい人ではないことは確かよ。それじゃあもう行くわ、おやすみなさい。