ジェシカ・ブロウズさんにお間違いないですね。
「ええ、確かにそうですけれど…」
少しお話を伺いたくて。
「はあ……あたしが知っていることなら、なんでもお話するわ」
ありがとうございます。まず、この街の失踪事件をご存知ですか?
「いいえ、知らないわ」
そうですか。では、この写真の人達に見覚えは?
「うぅん……3番目の彼は知らないけれど、ほかはみんな知ってるわ。近くに住んでいる男の子、煙草屋のおばあさん、よくあたしを目の敵にする女の子」
目の敵にする、とは?
「ええ、あたしが何かしたわけではないと思うのだけれど、何かと文句を言うの。他のお客さんは美味しいと言って飲んだ紅茶をまずくて飲めたもんじゃないって捨てたり、他の人は褒めてくれた服をダサいって言って馬鹿にしたり。あんまり好きじゃなかったのだけれど、まさか彼女が?」
ええ。
「まあ…なんてこと…!」
良い感情を抱いていない割には、悲しむんですね?
「だって彼女、確か婚約者がいたはずよ。結婚するからもうすぐこの街を出ていくんだって、前自慢げに話しているのを聞いたもの」
婚約者、ですか。見たことは?
「ないわ。あたしが嫌いだから、独り占めしたくて見せてくれないのだと思っていたのだけれど」
そうですか。…ところであなた、あの男の人形にずいぶんご執心のようで。
「ええ、そうね」
あの人形について、どうお考えですか?
「美しいひとだと思うわ」
それだけですか?
「……他に何を言えば良かった?」
いえね、他の方は、不気味だとか気持ちが悪いとか、そういった、どちらかと言えばマイナスの感情を抱いているようですが。あなたは違うのですね?
「ええ」
私は信じてはいませんが、なんでも、あの人形はお話ができるとか。
「事実よ」
彼とは何を話しますか?
「言いたくないわ」
何故です?
「お人形さんとの会話内容が、本当に捜査に必要なの?」
聞いているのは私ですが。
「あなたの興味本位で聞いているなら答えたくないって言ってるのよ」
……あんな人形、何がいいんです。ただの無機物でしょう。あなた、気は確かですか?人形が話せるなんて、
「……あたし、あなたのおしゃべりに付き合ってる暇はないのだけれど」
ああ、すみません。では次の質問ですがね、
「もう結構。話すことはないわ」
捜査に協力しないと?
「いいから。もう帰ってちょうだい」
ブロウズさん、
「おやすみなさい」
…クソ女。
「なんとでも言えば結構よ、さようなら」