「山本フシさん?」


振り向けば何度かキャンパス内で見かけたことのある彼が立っていた。


「えーと、」
「オビトの代打で来たんだけど」


急にバイト入ったらしくて来れなくなったみたいで。という彼はいかにも気だるそうな口調だ。


「そうなんですね。わざわざありがとうございます」


オビトが来れないんじゃ仕方がない。買い物は一人で行くかと挨拶をしてその場を後にしようとすると手を掴まれる。


「えっと、何かまだ?」
「よかったら付き合うよ」
「いや、大丈夫ですよ。元々一人でいくはずだったので」
「あー、えっと」
「気だるそうですしお家に帰って休んだ方がいいんじゃないですか?」
「こういう喋り方なんだよね」


気に障ったらごめんねと言い、私がそうですか、というと困った顔をしたその人は買い物何処いくの?と訪ねてきて俺も色々買い物したいんだと漏らした。


「お世話になっているゼミの先生の結婚のお祝いに」
「あー、ミナト先生?」
「あれ、知ってるんですか?」
「俺もその授業取ってるからね」
「そうだったんですね」


いたかなーと記憶を巡らせてもなかなか出てこずでまぁいいかと買い物へと繰り出した。
雑貨屋を一通りのみて回るがなんだかパッとしないなーなんて思っているとふと目に入った入浴剤と石鹸。これいいかも新婚なんだから一緒にお風呂入ったりするもんねとレジを通す。買い物についてきてくれた彼はアクセサリー類をみている。彼女にも買うんだろうか。どうもさっき程から視線を感じるんだよね。まぁ、あの容姿だ目を引かない訳がない。マスクをしててもイケメンだってわかるもん。あ、逆ナンされてるなんて包装されるのを待ちつつ店内を見て歩く。


「……かわいい」


手に取ったのはボールペンで自分のご褒美にいいかもと今度のバイト代でたら買おうと棚に戻した。


「姉さんお一人?」
「いや、違いますけど」
「でもさっきから一人で店内みてるよね」


なんだこいつ、こういうの嫌だったからオビトにいてほしかったんだよと心底心の中で思った。声をかけやすいような尻軽女に見えるのだろうか。


「フシいくよ」
「え、あっ、ちょっと」


突然名前を呼ばれたかと思えば買い物に付き合ったくれた彼で腕を引かれて店内をでた。


「ちょっと、手が痛い」
「あ、ぁ、ごめんね」
「いや、でも助かりました」


ペコリと頭を下げるとそんな大層なことしてないよと頭を掻いてこれと先程買ったお祝いの品を持っていた。


「あ、ごめんね」
「ううん」
「……」
「……」


なんだろう、この空気。嫌だな。何か話題振らなきゃと頭を回転させるが特に共通点も見つからずどうしたものかと悩んでいると彼が口を開く。


「まだ時間大丈夫?」
「はい」
「よかったら飯いいない?」
「あ、はい。お礼に私が奢ります!」
「いや、俺が勝手に付いていっただけだから」











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