談話室として使われ、ついさっきまでみんなの声が聞こえていた筈である憩いの空間は、緊張と静寂と興味の視線がキッチン前のダイニングテーブルに注がれている。私の向かいに左京さんとお姉ちゃん、両隣にカズくんと万里が座った状態で始まった面談は左京さんの機嫌の悪さでこれから何を言われるかが、嫌でもわかった。

「さ、左京さん!部活黙ってやってたの怒ってるんだよね?すみませんでした!どうしても部活やりたくて…でも、怒られると思って黙っていました!カズくんと万里は私が口止めしました。叱るなら私だけにしてください!」

椅子から立ち上がって頭を下げると、両サイドの2人の他に、そんなことであのオジサン怒ってるの?心狭くない?って言う幸ちゃんの声がして、左京さんは眉間の皺をさらに深くし、溜め息を吐いて、私に、それもそうだがまず座れ、と言った。大人しく座ると、今回のお説教が始まった。

「部活をする事を怒ってるじゃねぇ、部活してれば帰りが遅くなるだろうが、なのに1人で帰ってきてるな。それに怒っているんだ」
「だ、だって大会前とか必然的に遅くなるもん仕方な……」
「そうだな、仕方ない。だがな、それをなんで今まで隠してた」

どうやら左京さんは部活をしていた事を言わなかった事、夜遅く1人で帰って来る事に怒っているらしい。女の子が1人で帰るのは確かに危ないよな、何があるか分からないもんね、と臣さんと綴さんに言われぐうの音も出なくなった。お姉ちゃんが左京さんを宥めていると、監督さんも知ってたならなぜ言わない、と今度はお姉ちゃんが怒られている。

「お姉ちゃんには口止めでしたの。私が全部悪いの」
「……なんで黙ってたんだ」
「部活、男子バレー部のマネージャーだから怒られると思って……」
「「は?????」」

色んな声が重なったな、と思ったら莇くんは顔真っ赤にして口開けてるし、椋くんは青い顔でわなわなしてるし、臣さんはりんごにぎりつぶしてるし、綴さんはびっくりした顔してるし、幸ちゃんはため息ついて、そんな事だろうと思った、と言い、シトロンさんが、オー酒池肉林ネとか意味変わってない発言したせいで、何か言いたげな天馬は口パクパクさせていて、東さんは名前は大人だねと絶対悪ふざけだと思う発言をし、至さんは絶対何も分かっていない咲也くんと紬さんの横で大爆笑している。そして、なんでよりにもよって[男子]バレー部マネージャーなんだ、と万里に言われ、やっぱりそこに彼氏とかいるんすか?!なんて言う太一くんのせいで阿鼻叫喚になった。

「待って待って、バレー部マネージャーそんなにいけない?」
「いけないと思ったから隠してたんだろ?」
「万里黙りな!」
「フルーチェさん、そんなに名前怒らなくても。ちゃんと頑張ってたし、今日見に行った時ナイトも居たよん」
「ナイト?ああ、居たな。俺にガンくれてきた奴とか」

山本くんのことかもしれない、いやみんなのことかもしれない!とにかく今はその発言良くない!訂正しようとした瞬間、ニヤニヤしている至さんが目に入ったから、お前…なんか言ったらWiFi消してやるとアイコンタクトした。伝わったのかスマホゲーに戻った至さんの横で、左京さん、名前ちゃん駅であったんですけど、送って貰ってましたよ、と紬さんの口からとてつもない爆弾が投下された。え!誰々!?と食いつくカズくんと頭を抱えて笑う万里。終わった。

「やっぱり彼氏いるんじゃないッスかー!」
「黒尾先輩は彼氏じゃなーい!」
「クロオ?」
「部活の主将ッスよ」
「あーもー万里黙れ!」
「お前が言ったんだろ!」
「うるさーい!」
「なんだ騒がしいな」

ロードワークから帰還した筋トレコンビが目の端に入る。助けてと言わんばかりに丞さんに駆け寄って、ガイさんに抱きつくと、そんな事したらダメだよ名前、と東さんから意味の分からないお叱りを受け、誉さんからはお祝いにと詩を送られた。

「何があったか分からないが、レディがそう簡単に抱きついていいものでは無い」
「ガイさんだってーみんながいじめるんだもん…」
「ム、そうなのか?」
「いじめてるって言うか、そいつが部活の主将を手駒にしたらしいッスよ」
「待って!十座さんはなんか違う!」

手駒にするとか何?!怖いんだけど!ワーワー言っていると、すいっとでてきた千景さんが、彼女の部活、どんな人達いるか知りたい?と出てきたもんだからさあ大変。千景さんの周りにはあっという間に人集り。音駒高校の話をされる。というか、詳し過ぎてこちらが引く。

「由緒ある部活だったのか」
「そんなに気になるなら今度その目で見たらいいじゃないですか」
「何?」
「練習試合、あるんだよね?来週末」

ウインクされながら言われてなんで知ってんのとか怖すぎて聞けなかった。悲しい事に公演予定も無く、稽古も休みにしようと言っていた日である。誰が見に行くか、と今度は話し合いが始まった。みんな野次馬なんだから…。

「みんなで行けばい…」
「絶対やめて!体育館そんなに広くないし、みんなで来られたら迷惑!」
「そんなに怒らなくても…いくら彼氏のクロオを見られるの嫌だからって」
「彼氏じゃなーい!」
「じゃあ、誰来て欲しくないか名前が言って」
「来て欲しくない選抜メンバー?もうこの人だけは来て欲しくないって言うなら天馬と丞さん。特に天馬」

そう言うと周りは納得した様にあー、と言い、2人は無しな、と名前にバツを付けられていた。天馬はなんだか不服そうな表情で丞さんも、そんなに知名度あるか?みたいな顔してるけど、顔面偏差値高男ばかりなんだから自覚して欲しい。練習試合忙しくて構えないから最高で4人にしてくれとお願いし、用事のある人は抜けていく。

「他には?」
「万里もダメ。今日喧嘩売っててあの後大変だったんだから!」

明日も大変だろうけど、ところ構わず喧嘩売る万里は来てくれない方が助かる。そう思いながらダメな人をピックアップしていく。そして残ったのが、綴さん、臣さん、左京さん、紬さんの過保護達+本日の破壊神である。ま、妥当だなと左京さんはため息を漏らした。ため息つきたいのはこっちですと言わんばかりの顔をしてしまったのを見られたらしい。左京さんは睨みを利かせている。
話はまとまったので明日朝練あるし、寝ようという話になり、くったくたに疲れた私は直ぐに寝てしまったのであった。

次の日、朝練なので今日の真澄くん起こしは咲也くんに頼み、臣さん特製弁当をもって出掛ける。途中朝のロードワークしている丞さん、ガイさんにあって挨拶を交わしつつ、最寄りの駅まで行くと今日は早く出る!と言った九門くんにあった。途中まで一緒に行き、駅で降りると、見慣れた鶏冠頭とプリン頭が見えた。

「おはようございます、黒尾先輩、孤爪くん」
「おはよう、名前さん」
「おはようございます」

返してくれた2人だが、ここはまだ音駒高校最寄りの駅だけであってまだ遠い。なぜ2人がここにいるのか。考えていると、迎えに来た、と黒尾先輩からまるで心を読んだかのような回答が帰って来て少しだけびっくりしながらお礼を言う。そして、3人で歩きながら今週末の練習試合の話をし、家族(団員)が来る話も伝えた。少し驚いた顔をした黒尾先輩だったが、じゃあ、挨拶しねぇとな、と笑って頭を撫でてくれて少しだけ嬉しかった。





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