(ほどほどに性悪に育った方の宇園if)
(そういえば結婚詐欺まがいのことに手を出している(今や消えかけの)設定があったなって話)
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麗かな午後の日差しと冷めかけた紅茶。喫茶店のステンドグラスの影が机に落ちて、その陽だまりに差し出される白い封筒。「ちょっと待って!その電話、詐欺じゃない?」銀行のイメージキャラクターの険しい顔。この封筒を使うとは、とんでもないセンスだ。それでも目に見えて戸惑った様子を見せて、それから恐る恐る封筒を両手で受け取った。
「そう、じゃあこれで終わりなのね。いいの、至らなかったのは私の方」
目を伏せて。睫毛に涙をほんの少し乗せて。微かな溜息混じりの呼吸。それから、さん、はい。ここで無理したような笑顔。
「ありがとう」
「……本当にごめんな」
ちょろいわー。
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薄情さより、封筒の薄さの方が問題だった。彼女持ちなんて情報は(薄々分かったとは言え)後から知ったに過ぎないが、ネタにするには十分すぎた。赤毛の女なんてそうそういない。それがその長髪の一本でも見つかってみろという話で、そこからあとはトントン拍子。曰く、彼女さん激昂。それでも色々天秤に掛けたらしく「彼女を幸せにしたい」ときた。だとしても散々楽しませてあげたんだから、あと3万ほど上乗せしてくれたらよかったのに。
ちょっとカマかけたらほいほい乗っちゃって。黙ってりゃ分からないと思ったに違いない。そういうことに転びそうな人を選んだ。今回は大当たりだった。誤算は封筒の中身は些か気持ちしか入ってなかったこと。
気弱なくらい優しかったし、それなりの対応はしてくれたし。そこは少し惜しかった。羨ましくはないけど。
封筒を改めている間に、ソファに放った携帯電話にメッセージの着信がいくつかあった。何件かはフリマアプリから落札のお知らせ。一件は同僚女子から食事のお誘い。「行きまーす!」と威勢の良い返事だけして手放す。すでにクリスマスに予定のある人が炙り出されて、嬉々として同僚たちから質問責めに遭う様が流れている。
お金を財布に移した。使い道は思い浮かばなかった。ネットのセールはあまり心惹かれなかったし。福袋の予約も始まっていたけどイマイチだったし。コフレでも買おうかな。それともすぐ無くなるものがいいかな。でもケーキなんて今の時期、クリスマスケーキしかないだろうし。
妥当だと思う。当然の報酬。私は私の時間も身も、お金もちょっとばかり使ってちょっと良い気分にさせたんだから。向こうだってそれを求めてきたんだから。そう思っていつも懐を暖かくしている。
今回だって、お金を受け取ることにしたのは私だ。それで誰と揉めなくていい。だってちょっと良い人だなと思いこそすれ、今回も本命なんかじゃなかった。(そもそも彼女いたし。)
もっと私には誰かいるはずだから。だから受け取ったわけで。地獄の沙汰も金次第。あとは当人同士でどうぞ。
なんだか疲れてきちゃったな。
お財布を鞄に戻して、ソファに身を投げる。化粧を、化粧を落とさなくては。
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いつだって尻尾切りは早かった。話のわかる、事を荒立てそうにもない人を選んでいる節はあったとしても、不思議で仕方なかった。そんな簡単に手が切ってしまえるような価値の女になったつもりは無かったのだ。
私自身の価値を5万に下げたのは一体誰だ?
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もうこのまま寝たいような気持ちになっていた。いじけてるんじゃない、ちょっとがっかりしただけ。また今度。まだ大丈夫。今回も違かった。それだけ。
家に着いて、受け取った封筒からピン札の壱万円が5枚っきり出た時にがっかりしたのは、そこで価値が確定したからだったし、それを受け取って、万事解決と判断したのは他ならぬ私自身だったのだ。
でもそれだけってだけの話。
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(〜結婚詐欺まがいってなんやねん〜)