▼2016/03/21:うちの審神者
・名前は岩波いるる。漢字だと岩波容。・体力面では刀剣男士にひけをとらない、少し上背のある繊細な心の持ち主。体調を崩しやすいのが玉に瑕。穏やかで芯のあるたおやかな女性。
・岩波志信提督の従姉妹。その関係からか、祖父である八雲から三日月宗近と小狐丸を譲り受ける形で所有していた。
八雲本人も審神者で、獅子王を近侍としているとかなんとか。
・うちの鍛刀は「八雲が所有している刀を模倣する形で刀を打つ」設定。
・初めて作った刀剣は薬研藤四郎。今では近侍としている。割とメロメロ。
・五虎退のことを「とらちゃん」と呼んで猫可愛がりする癖に薬研のアプローチにドキドキしている模様。なおショタコンじゃないよとは本人談。
・薬研が特になったことで、成人形態にもなれるようになったため心臓が爆発しそう。薬研としては「より大将を守れるようになった」とご満悦のの様子。
・特になると刀剣は姿を自由に選べる。大体の刀が初期から成人形態で顕現するため、主にそれを使用するのは短刀と蛍丸くらい。
「まさかお前が、なあ」
目の前の祖父は、岩波八雲は、曖昧な笑みを浮かべていた。いつもこうして向かい合うとき、大概同じ笑みを浮かべているが、今日だけは何故か寂しそうだと、私は感じた。
20を過ぎて、少しした私に告げられたのは、「付喪神を信じるか」という、その一言。
それから私は、決して表には出ることのない世界の事情を知った。
何年か会っていない従姉妹が、船の魂と暮らしていること。
目の前の祖父は、それに加えて、刀の付喪神を預かっていること。
今こうして話されたことは、私の両親すら知らぬこと。
「どうして、おじいちゃんは私に?」
可愛らしくもなんともない、朴訥な声が出る。こんな孫であるにも関わらず、祖父は私をかわいがってくれた。それだからか、私はかなりのおじいちゃんっ子で、祖父の話したことなら恐ろしく特殊なことでなければ、大概は受け入れる自信すらあった。
「それがな、俺にもとんと謎でなぁ」
「え?」
「話しておくべきだと思っただけで、あとはなんとも」
不意に、祖父が席を立つ。付いておいで、と言われて、然程大きくもない背中を追う。
廊下に出て、数歩して祖父は歩みを止めた。どうしたのかと思っていたら、目の前に扉が現れた。
どういう理屈なんだ。
「……もしお前さんが俺とおんなじ力を持つのなら」
その後に続けられただろう言葉は、私には聞こえなかった。
「適当な刀を選んで、それを複製する、と念じなさい」
「複製……?」
「付喪神は確かにいる。だがね、彼らは入れ物になる器がない故に、未だ魂のまま彷徨っているのだ。それを補佐し、現世に顕現させるがために行うのが、これだよ」
「……その刀についての説明はいるかね?」
「いい、やってみる」
そうして、いつの間にか目の前には、黒髪の美少年が佇んでいた。
彼は涼し気な瞳を、私の隣の祖父に向ける。
「アンタが呼んでくれたのかい?」
「いんや。俺の孫がな」
「ふうん……」
「俺っち、薬研藤四郎だ」
「やげん、とーしろー……」
「ああ。粟田口吉光の作った刀の一振り。その短刀に宿った魂の1つさ」
「大将の名は?」
「おや、お前さんは名を聞くのかね」
「持ち主の名も知らずに働くなんざ、臆病者のすることだろ。それに、何でか長い付き合いになる気がしてな。聞いとくのも悪くないと思ったんだが」
「薬研くんは……優しい、んだね」
「そうかぁ?」