つわものどもの花の跡
「傑、髪」
「ん?ああ、髪が乱れてしまったのか。おいで、直してあげよう」
ん、と言って夏油に小さな後頭部を向けちょこんと彼の前の椅子に腰を下ろした蘭。
蘭が午前中たまたま歌姫と遭遇した際にもらったいちごみるくのキャンディを舐めながら夏油に髪を結いてもらっていると、ガラッと教室の扉が開き高身長の銀髪グラサンが入ってきた。
「オイちんちくりん女 なんで俺じゃなく傑に頼んでんだよ やってやるからこっち来い」
「いい。悟より傑のがお上手。悟がやる、もっとぐちゃぐちゃなる」
………。
「フッ だそうだが悟、どうする?私は別に譲ってもいいが蘭がこう言うのでな」
「てめえ傑何笑ってんだ 大体オマエなんかコイツにとっちゃ髪結く係の1人に過ぎねぇんだよ自惚れんなバーカ」
「ほう?ならそう言うお前は一体何係なんだ、悟。見たところ何係にもなれていない様だが?」
「俺は係じゃねえよ コイツの"ご主人様"だ。その辺の雑用係と一緒にすんな」
「蘭、悟はこう言っているがそうなのか?違うならはっきり違うと言っていいんだよ」
「うん。傑、蘭、悟ご主人様違う。悟いつも意地悪する。だから悟、意地悪係」
「フフッ そうか、悟は意地悪係だったんだな。可哀想に。これから蘭に意地悪をする奴がいれば私がやっつけてあげよう」
そう言って夏油が蘭の頭を撫でれば彼女はそれが気持ち良いのか猫のように目を細めて表情を和らげた。
しかしそんな和やかな空気は、ブチッという何かが切れる音とともに一瞬にして消え去った。
「蘭、オマエは後でぜってー泣くまで犯す
その前にまずお前だ傑、表出ろ」
「表に出るのは構わないが悟、今の言葉は撤回しろ。
蘭の前でそんな汚い言葉を使うな」
「うるせえ。誰が何と言おうとオマエぶっ飛ばしたらコイツと孕ませるまで帰れまテンだ。あー、何発目で孕むか傑、オマエ当ててみろよ」
当てたら100円やるよ、と続けた五条に夏油の顔つきが変わった。
「そこまでして私を怒らせたいか。よくわかったよ、悟」
「へーへー。んじゃ早速準備運動といくか」
…………………。
その後、まず手始めに教室を木っ端微塵に(勿論蘭は硝子と共に避難済み)した彼らは次に校舎を半壊させたり校内で事前申請のない呪霊を勝手に出した罰として半年間、高専内全てのトイレ掃除を任命されるのであった。
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