冬だ!シロガネ山だ!雪でトレーニングしたり遊んだりしようぜ!
ということで集合場所のシロガネ山にある雪原にやってきたけど、私とヒビキくんが早く着いてしまったみたいだ。他のメンバー(レッド、グリーン、コトネちゃん、シルバーくん)はまだいない。
積もった雪にはしゃぎ回るポケモン達を横目に、暇だからかまくらでも作るか!となってヒビキくんと共に雪を積んでいた時に事件は起きた。
足を滑らせて後ろに倒れるヒビキくんを支えようとした結果私まで巻き込まれてしまって。ドサリとヒビキくんの上に覆い被さるように倒れた。積もった雪がクッションになって大事に至ることはなかったけど、ごめんヒビキくんと言いながら顔を上げると。
同じタイミングで顔を上げたヒビキくんと唇同士が掠ってしまった。
側から見ると私がヒビキくんを押し倒してキスしたみたいになってる!!ひいいいいい!!!
「うわあああああごめんヒビキくんごめんねごめんね!!!今めっちゃヒビキくんの唇除菌殺菌滅菌するからうわああああ!!!」
「お、落ち着いてください!!事故ですから!!僕全然気にしてませんから!!」
「いやいやいや可愛い後輩の唇を奪った罪は重いよ!!ちょっと待ってね今ウェットティッシュで!あ、毒消しある!!毒消し使おう!!!」
「僕毒状態じゃないです!!!」
「毒だよ私の口!!!」
「そんなに気にしないでくださいってば!!!ーーーあ、レッドさん!」
ヒビキくんが名前を呼んだから恐らくレッドが来たんだろうけど、私はそれどころじゃない。
ひたすらバッグの中を漁ってヒビキくんの唇を拭く物を探す。
「レッドさん!良かった、ナマエさんがーーー
ヒィッ?!!」
短い悲鳴が上がったので、何事かと思いヒビキくんの視線を辿ると、いつの間にか私のすぐ背後にレッドが立っていて。目を見開き殺気立った様子でこちらを見下ろしていた。なんだか珍しいレッドの様子だけど、今はそれに構っていられない。
「レッド来てたんだ!ちょっと待ってね、今ヒビキくんの毒状態を治、」
ガシ。
言い終わる前にバッグを漁る腕を掴まれ、無理矢理立たされる。ちょっと!!と抗議しようとレッドへ振り向くと、瞳が目の前に。そして。
「?!!」
そのまま唇にレッドの唇を押し付けられた。
「んんん?!」
驚いて離れたかったけど、レッドは腕を掴んでいる方とは逆の手で私の後頭部をしっかり抑え込み、更に唇を密着させてくる。
ぢうううううって効果音が付きそうだ。
「んーっ!んーーーっ!!」
苦しい・・・!突然でどうしてこうなったのかはわからないけど、このままじゃ私窒息する・・・!!
ギブ!ギブ!をレッドの胸を叩いて知らせるけど、聞いてもらえなくて。ようやく離してもらえた頃には酸欠で崩れ落ちるのを、レッドに抱き込まれてようやく立っていられる始末。
「・・・・・・・・・ヒビキ」
地を這うような低いレッドの声がヒビキくんに向けられる。蚊の鳴くようなか細い返事が辛うじて聞こえた。
「全部夢だよ」
・・・? 何が夢なんだろう?
その発言に疑問を覚えつつレッドの腕の中で息を整えながら目を向けた先、確認できたヒビキくんは、背後からピカチュウのアイアンテールを喰らいドサリと倒れるところだった。
「ヒビキくーん!」
「おーいヒビキ大丈夫かー?」
「・・・コイツ、どうしたんですか ?」
「・・・滑って頭打った」
「(う、嘘つき!!)」