可愛くねぇやつ、と言われたので、私がグリーンに可愛くしたことなんてあった?と軽口を叩いたら、肩を押され床に倒された。見上げるとニッと笑うグリーンの顔。
「今から可愛くしてやろうか?」
なんて余裕ぶっこいて見下ろしてくるのがなんとも腹立つ。私は少しの脳内会議の後、恥ずかしそうに(そう見えるように)顔を逸らし「優しくして・・・?」と熱っぽく呟いた。
「は・・・?!」
私の反応が予想外だったらしく、途端に顔を赤く染めるグリーン。ふふふ計算通り。そのまま思わせぶりな動きでグリーンの腕を伝い、肩まで手を伸ばしてーーー
逆に押し倒した。
「なーんて、私が言う訳ないでしょ?かわいいかわいいグリーンちゃん♪」
唖然としているグリーンの頬を指先で擽りながら見下ろす。私の下で顔を真っ赤にして悔しそうに睨んでくるグリーンがもうほんとに可愛くて仕方がない。あぁ、笑いが止まらない。そそるなぁ、その顔。あんまり可愛いので頬にちゅーすると「やめろ!」と言われた。そんな顔で言われても。
そろそろこのくらいにしといてやるかと退こうとしたら、胸倉を掴まれ下に引っ張られた。ガクッと下がる顔。ぶつかる!と思って咄嗟に目を瞑った。想像した痛みはなかったけど、唇に何か当たった。
目を開けると、視界に収まりきらないグリーンの顔。
上体を起こしかけたグリーンとキスしていることがわかって混乱し、肩を掴まれたことへの注意が遅れた。そしてまた私の背中に床の感触。
「・・・やってくれたじゃねぇか」
再び見下ろすグリーンは先程よりずっと手強そうだ。ここは素直に謝ってこの悪ふざけをやめてもらおう。
「ごめんごめん、悪ノリしちゃった。もうやめようこれ」
「降参か?」
「うんうん。だから早く退いて」
私の言葉に最初より愉快そうに笑うと、
「1時間後にな」
と言いながら私に馬乗りになり、自分の着ている黒いジャケットを脱ぎ捨てた。
あ、まずい。地雷踏んだ。
ちょっと脳内会議第2段、緊急招集。この危機をどう切り抜けようか考えを巡らせようとするも、グリーンが私の服の裾から手を滑り込ませてきたので集中できない。
「さっきみたいに優しくしてって言えたら考えてやるぜ?」
ちゅ、と額にキスされる。く、屈辱・・・!キッとグリーンを睨むと「いいなその顔。すげぇそそる」とニヤリとされた。さっきとまるで形成逆転だ!
完全にスイッチが入ってしまったやられっ放しを良しとしないグリーンを止める手段は、今の所見当たらない。
「前言撤回。超可愛いぜ、ナマエ」
「〜〜〜可愛くないやつ!!」