猫よけ


(四男)



つい先日のニュースで、名古屋のゴミ屋敷に住み続けるオジサン。なんてあったけど、おれの家の近所には、ゴミ屋敷じゃないけど、一際目を惹く家があった。

何故かって?その家を取り囲むように水の入ったペットボトル・通称「猫よけ」が積み重なっているからだよ。おれからしたら考えられないね。え?おれみたいなゴミの意見はいいって?はいはいすみませんね。
まぁ、その家は大量の猫よけの壁のおかげで、家の外装が全然見えないんだよ。こんだけの猫よけ置いておくなんて、家主はよっぽど猫がキライなんだろうね。おれとは絶対合わないね。仲良くする気なんてさらさらないけど。

というか、「猫よけ」って確か、大した効力ってないんだよね?おれの友達も言ってたよ。
その日偶然家主の人にお会いしたから話してみたけど、案の定野良猫がちょくちょくやってきてるらしい。

この前話しかけられた時、おれ聞いたんだよね。珍しく積極的って?おれの親友たちに関わることだから仕方ないよ。まぁ、家主が言うには「追い払いたいのは猫じゃなくて、犬だからね」と訳のわからんことを言っていた。

それだけなら、笑い話で済むんだろうけど、実際ペットボトルの水がこの炎天下で腐ったのかウジが湧いて家の周りに蝿がたかり始めたんだよね。
松代も言ってたけど、近所の人たちにとってはこの上なく迷惑極まりない。近々役所の人がその家に視察に来るらしい。
ひょっとしたら、テレビの取材とか来るのかもね。
冷やかしがてらに、今度またあの家に行ってみようかな。









【解説】

>ペットボトルの水がこの炎天下で腐ったのかウジが湧いて家の周りに蝿がたかり始めたんだよね。

水場に出現するのは、ウジではなくボウフラである。しかし、実際に発生しているのは、ウジから生まれた蝿。
つまり、この大量の猫よけのせいで蝿が発生したのではく、別の要因があるのだ。

当然ながら猫よけは猫よけとしての効力は持たない。にも関わらず、家を覆い隠すように積まれた猫よけのペットボトル。家主が本当に追い払いたのは、猫でなく犬だという。

これはどうゆうことだろうか?

皆様は「全反射」という現象をご存じだろうか。
詳しくはここでは語りませんが、要は光が透明な物体(ここではペットボトルの水)から空気中に出ていくときに、見る場所によっては空気と水の2つの境界面で光が反射し、向こう側が見えなくなるという現象だ。
家主は、猫よけとしてではなく、家の中を様子を外から観察されないように「シェルター」的な役割でペットボトルの山を積んだのだ。

そこまで大掛かりな仕掛けをして、一体何を見られたくなかったのだろう。

ここで今一度、振り返ってみる。
家の周囲で発生している、蝿の存在。
家の敷地内に、蝿が湧くようなものが転がっているということだ。
そして、家主が口にした「犬」という暗喩。
これは警察のことを差している。
警察にはバレたくない、蝿が湧くようなもの……。

ペットボトルの山を崩したとき、きっととんでもないものが取材陣を待ち受けていることでしょうね。

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