汗 / ひいろ
彼女を見ると胸がムズムズする。藍良にはいつも色々と教えてもらっているけれど、彼女に対する感情の答えだけは、いくら聞いても何故か教えてもらえないでいる。
「一彩くん、ちゃんと汗拭かなきゃ」
「あ、あぁ、すまない!」
僕の汗を拭こうとした彼女が、僕との距離を詰める。こんなにも暑いのに、彼女からはさっぱりとした柔らかな匂いがして、ドキリと心臓が跳ねた。
「あついね、何か飲みに行こっか」
前を歩く彼女の輪郭を陽炎が揺らして溶かしていく。慌てて彼女の手を握ったのは、無意識だった。彼女は困ったように笑って、また僕の汗を拭いた。
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