▼眠れぬ骨の歌
彼は何を見ているのだろうか。目を合わせているはずなのに、何故かとても悲しくなった。
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最近のおそ松は少しおかしかった。いや、前から変だったのかもしれないけど、私が分るくらいあからさまにおかしくなったのは最近だった。
デートなのにパチンコとか競馬とか、カフェで私に奢らせたりとかしてたはずのおそ松が、私の家でデートすることが多くなっていた。簡潔に言うとアウトドア派な彼がインドア派みたいな事をするようになったのだ。しかもなんだか羽振りがいい。私の家に来るときは食べ物とかお酒とか、いっぱい買ってくるのだ。彼のお金で。「いきなりどうしたの?」と聞けば無駄に買い出しに行かなくていいようにするためだって答えた。「買い出しなんて私が行くのに。」と笑えばおそ松は少し困ったように笑った。
彼はお昼寝が好きみたいだ。私とデートした時はその大半をお昼寝に費やす。不満だらけだけど、その時は彼は私をすごく甘やかしてくれるから嫌ではなかった。
膝の上に私を寝かせて優しく髪の間に指を通して撫でてくれる。嬉しいのに、その指先はとても寂しく感じられた。
「ねー、おそ松は私のことすき?」
「なんだよ珍しいなそんなこと聞くなんて。」
「んー、ちょっとね。」
「好きに決まってんじゃん。大好き。」
「ふふ、私も好き。」
「じゃあ、将来はお前が養ってくれんの?」
「ばーか。就職しなさいよ。」
彼の頬にそっと手を添える。暖かい頬、優しい口元、その全てが愛おしいけど彼はとてもとても遠い。あなたの「好き」は悲しいくらい手に届かない。
彼が何を愛してるかなんて大体察することは出来ていた。でもそれが真実かなんて聞きたくなかったし聞けなかった。私の名前を優しく呼んでくれなくなるかもしれないと思うと、詮索することができなかった。
優しい彼のおやすみが、私を夢の世界に誘う。
本当は眠りたくなんてないけど、彼は私が眠ることをきっと望んでいるから何も知らないふりして静かに眠る。
夢の中の世界は暖かい。これはきっと彼が私を優しくなでてくれてるからだ。嬉しくてぴょんぴょんと跳ね回る。嫌なことなんて忘れて無邪気に走り回る。
夢はいつだって都合がいい。小さい頃からそう思ってきたはずなのに。
「あぁ、好きだよ。愛してる。」
都合なんて、良くなくて。涙が出た。
物語の王子様は眠り姫が目覚めることを本当に望んだのだろうか。眠っているから美しいのではないのだろうか。もし、姫が目覚めることを望まれていたのならそれだけで姫は幸せ者だ。
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ねぇ?パソコンの履歴くらい、消してほしかったな。
*眠れぬ骨の歌*
眠った私を、今日もあなたは愛するのでしょう?