どーだ!参ったか!
彼をくすぐる
【エース】
暇をもて余していたとある日の午後。甲板で大の字になって寝ているエースを見かけた。大口を開けて、なんとも気持ち良さそうに寝ている。無防備なその姿にふと疑問が浮かんだ。彼はいつも上半身に何も纏っていないけれど、くすぐりには強かったりするのだろうか?一度気になったら試さずにはいられない。いそいそと眠るエースに近づく。「エース、覚悟!」一声かけてこしょこしょと脇腹をくすぐる。気持ちよさそうに寝ていた彼の目がバチン!と勢いよく開いた。「っ、ははは、おい!おまえ、あはは!」寝転びながらバッタンバッタンと暴れまわる彼を追いかけ回してくすぐり続ける。「くそ、だーっ!おまっ」「どーだ!エース!参ったか!」「なっ…いい加減、やめろ!このっ!」参ったって言え!と言いながらくすぐり続ける私の手を掴んで、エースはグワッと起き上がる。やばい!と思った頃には彼の手は私に伸びていた。やり返しをしようと伸ばした彼の手は、私の脇腹に触れる寸前でピタリと止まる。「エース?」「……ンだよ」彼の頬が、ほんのりと赤い。ああ、これってもしかして。「ねぇ、照れてる?」「照れてねェ」「ほんとぉ?」なんだ、エースにも可愛いところあるじゃないか。からかうように脇腹を突っついたって全然反撃してこない。「ふふ、エース、降参かなぁ?」「…は?」エースの口元がピクリと動く。「お前、本当、覚悟しろ」「…え?」負けず嫌いなの、忘れてた。なによ!涙が出るくらいくすぐり返さなくたっていいのに!
【サボ】
「ほーら!こちょこちょ!参ったか!」「どうだろうなァ」「…ぜんっぜん効いてない!」「十分効いてるって」「嘘ばっかり!あーあ。求めてるのはこういうのじゃなかった!」「ご希望に添えなくて悪かったなァ」「思ってないくせに」いつも余裕そうな彼が笑い悶えているところが見てみたくて、椅子に腰かけて新聞を読んでいた彼をくすぐってみた。結果は見ての通り全然ダメ。いつもと何も変わらない。むしろ彼はこの状況を楽しんでいるし、これじゃあ私が遊ばれているだけだ。脇腹が強いだけなのかと思って、脇や背中、首も試してみたけど、どこをくすぐっても全然反応は変わらなかった。「サボ、皮膚が厚い?」「お前が下手くそなだけ」「へ、下手くそ…」…そう言えば、コアラちゃんをくすぐってみても苦笑いされただけだったなぁと昨日の出来事を思い出す。ああ、本当に私の技量不足みたいだ。「はぁ、つまんない」彼からパッと手を離す。もっと面白いことになると思ってたのに、と一言こぼしてその場から離れようとした私の手を彼は掴んだ。「もういいのか?」「え?」「もう、くすぐりはいいのか?」「…まぁ、私、下手くそみたいだし。もういい、かな」私の返答に、そうかそうか、と笑うサボ。休憩の邪魔をする私を追い払うのかと思いきや、掴んだ手を全然離そうとしない。なんだか、嫌な予感がする。「ところで、おれにこういうことするってことは、やり返されてもいいってことだよな?」ニンマリと笑う彼に、ちょっと待っては届かない。
【サンジ】
「えい!」「うわっ!っはは!ちょっ、待ってくれ、レディ…!」出来心で通りすがりのサンジくんの脇腹を突っつく。本当はそれだけで終わるつもりだった。…けど、ぶは!と息を漏らして大笑いするサンジくんがなんだか珍しくて、私を制止する彼の声を無視してくすぐり続ける。私を止めたいのに強く言えなくて、されるがままになっているのが余計に私を調子づかせた。「ふふ、サンジくん、参った?」「ま、参った!参ったよ!」目尻に若干涙を浮かべているサンジくん。まさか彼がくすぐりに弱かったなんて。思わぬ発見に、なんだか嬉しくなって笑みがこぼれる。私とは相反するように、サンジくんは少し不満げな表情をしていた。「どうかした?」「格好良くないところをみられた」「そう?可愛くていいじゃない」「素敵なレディの前では格好つけたいんだ」「じゃあ、私には特別に可愛いとこも見せて?」「…思わせぶりで、困っちまうな」顔をそらしてタバコに火をつけるサンジくん。そっち向いたって無駄だよ。耳が赤いの丸見えだもん。彼はポリポリと首裏を掻くと、こっちに向き直った。ふわりとタバコの匂いが鼻腔をくすぐる。なんとなく、ドキドキした。「…おれだって、君のもっと可愛いところ見てみたい。」「…へ?」「おれもくすぐってみていいですか、プリンセス?」「なっ!?」「はは、なんてね」もうすぐお昼だよ、と付け加えると、私の髪をさらりと撫でて、その場を離れるサンジくん。…思わせぶりって、それはあなたもじゃない。
ショートケーキ行進曲
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