携帯電話のアラームがピピッと鳴る。あぁ、もう朝か、なんだか身体が少し痛い気がするなぁなんて思いながら薄目を開け、ふわふわとしていた頭が一気に冷める


「おはよう、なまえ」

「お、おは、よ...京治...いつから起きてたの?」

「10分前くらいかな」


その間ずっと寝顔を見られていたのだろうか、昨日の出来事も相重なって恥ずかしくてシーツ握って顔を隠した。そんな様子に可笑しかったのか京治がにやりと笑い、思い出したの?と意地悪な笑顔を見せるシーツを握る力をこれでもかというくらいに込めた


「お腹すいたなぁ」

「..........」

「自分の家じゃないから勝手に色々できないしなぁ」

「..........」


少しだけシーツをずらして京治を見るとやはりこちらをじっと見つめていて、目が合えばにやにやとするのだ。私の逃げ場を少しずつなくしていくのだから本当にタチが悪い


「き、着替えるからっ、目瞑ってて...」

「昨日全部見たのに」

「それとこれとは別なの!」


疲れてくたりと意識をなくすように寝てしまい、何も身につけることなく寝てしまったようだ。それは京治も同じようで、ぎゅっと抱きしめられて触れた素肌が温かくて気持ち良い。いつまでもこの温もりに身を委ねていたいけれど、生憎昼からは部活がある。まだまだ時間には余裕があるけれど、あまりのんびりしすぎるのも良くない


「ねえ京治」

「うん」

「ちょっと離れてくれると嬉しいなぁ、なんて...」

「ちょっとそれは無理かな」


京治が着替え終わる前にキッチンへと足を運び朝食の用意を始めた。朝から手の込んだものは作れず魚をグリルに押し込み時間を設定し、ケトルでお湯を沸かしてインスタントのお味噌汁を作る。あとはご飯と昨日多めに作っておいたサラダでも出せば良いかと考えていると、着替えを済ませた京治が後ろから抱きついてきたのだ。離してもらえず、ふざけた答えに文句を言う


「動き辛い...」

「なまえからキスしてくれたら大人しく座っててもいいよ」

「...っ、また、そういうこと言う」

「俺はこのままでもいいけど」


あーもう、なんて言いながら背伸びをしてキスをすれば京治は満足したようで離れて皿を出したり手伝ってくれた。朝から何なんだ、と思ったけれどそれも嫌ではない自分がいて笑ってしまった


「昨日も思ったけど、なまえ料理するの慣れてるね」

「うちのお母さんたまに仕事で夜遅い時があって、毎回コンビニだと高くつくからって作らされるんだよね」

「花嫁修行になっていいじゃん」

「まだそんな修行が必要な年じゃないよ」


それでもこうして京治にご飯を振舞えたのだから、今は母に感謝しなくてはいけない



片付けをし部活の用意もして家を出る。"行ってきます"を誰に対してではないけれど口にして、手を繋いで登校する。いつもよりも幸せな朝、ほんの少し恥ずかしいけれどまたこんな日がくるといいな、と思ったりした

今日もまた、忙しい部活が始まる。さあ頑張ろう



2016.03.30