特徴的で、大きな丸い目。綺麗に揃った歯。そして誰も寄せ付けないオーラ。
彼が誰かと仲良くしているのなんて見たことがない。彼の話題を出せば、友達は口を揃えて怖いとか変わってるとか、彼に良い印象を持ってる子はいない。
『御堂筋くん』
「……なんや」
『黒板の右下って何て書いてある?』
「X=2やで」
『そっか、ありがとう』
「みょうじさん、見えんのやったら眼鏡買うか席代わってもろた方がええよ」
『そうなんだけど……』
「今日これで3回目やで」
困ったように少しだけ笑う御堂筋くんから、あの歯は見えない。
最近思うのだけれど、彼が歯を見せずに笑う時はたいてい嘘をついていない気がする。だから逆に、にんまり歯を見せて笑う時の御堂筋くんは、あまり信じない方が良いとも思う。
『眼鏡もコンタクトも合わんのやよね』
「……」
『それに席代わったら御堂筋くんともう話せんようなるし』
「……何が言いたいん?」
『隣の席っていう接点なかったら、御堂筋くんは私となんか話してくれへんやろ』
「……まぁ、話すこと用事ないからな」
御堂筋くんは皆が思ってるより、優しい。こうやって聞けば答えてくれるし、たまにの雑談ならばしてくれる。でも、だからといって御堂筋くんの友達にはなれないし、彼にとって私は隣の席のみょうじさん。多分それだけだ。
席なんか離れてしまえば、話すことなんてなくなると思う。私と御堂筋くんの関係はそれくらいのもの。
『御堂筋くんとは、ただ隣の席ってだけやけど、それでも名残惜しいやん?』
「…………意味わからんのやけど」
『せやから、隣の席のみょうじさんから、クラスメイトのその他大勢になるは寂しいなって』
「……その他大勢になるって思うとるんや?」
『だって、せやろ?』
御堂筋くんは、ぱちくりと大きな目を2回ほど瞬かせて、ニィ、と口角を上げて笑った。そんな可笑しいやろか。だってそうでしょ。
「みょうじさんは賢い子やなぁ」
『なんで…?』
「ボク、賢い子は嫌いやないで。……せやけど、ちょっとキモいわぁ。勝手にボクんこと、解釈せぇへんといて」
『……そうやね、ごめん』
そこまで言うと、御堂筋くんは私の方を向いていた顔を黒板に戻した。
それから、その日は1度も話さなかったし、話しかけもしなかった。
でも御堂筋くんが、キモいと言った時だけ綺麗な歯を見せて笑ったのを、私は見逃さなかった。きっと、この違いを知っているのはクラス中で私だけだと思うと、笑いが止まらなくて。堪えるのが大変だった。
キミの癖、
気付いてます
御堂筋くん、私、君の友達になりたいわ。