お菓子大好き、食べるの大好き。食べ放題は大好物。そんな私の悩みは、ぽっちゃりしてる……いや、ぽっちゃりし過ぎていること。お腹のお肉が最近ちょっとヤバい。
友達にも言われて、ちょっとダイエットしようと思ったんだけど、やっぱりやっぱり食べたい……。
そもそも、今コンビニにいる時点で負けそう!誘惑に!

「待たせたな、なまえ」
『尽八……』
「ん?どうしたそんな顔をして」
『カラッと揚げクン食べたい……』
「そんなに食べたいのなら食べれば良いだろう」
『……ん〜』
「持ち合わせがないのか?それくらいなら出すぞ?」

違う、そうじゃないんだよ。ダイエットしなきゃいけないから、食べちゃダメなんだよ。
ただでさえ、尽八と付き合ってる子ってだけでハードル上げられるのに、これ以上並んで恥ずかしくなるわけにはいかない…のだよ…。

「ほら、どの味が欲しいんだ?」
『……いい。今日はやっぱりいいから』
「遠慮なんかしなくても良いんだぞ?」
『………チーズ』
「チーズだな」

くぅ……そんな優しく聞かれたら、誘惑されたら堪えれるわけないじゃない。
しかも、奢ってほしくて悩んでいたわけじゃないのに買ってくれちゃってるし。尽八さん、優しすぎるのも私には毒ですよぉ。

『……おいしー…い!』

買ってくれたカラッと揚げクンを1つ頬張れば、チーズの香りとお肉のハーモニーが口の中で広がる。誘惑に負けたとはいえ、この美味しさはやっぱり格別。このご飯前のお腹が空いた胃に沁みる〜。カラッと揚げクン本当美味しい。自然と口角が上がるのが分かる。

「なんだ、いつも通りだな」
『え?なにが?』
「さっきまでずっとしかめっ面だったぞ?」
『うそ、本当に?』
「ああ、何かあったのかと思った」

それはねぇ…、理性と闘ってたからだよ。本当なら、ね? ここで頑張って我慢してちょっとでも痩せなきゃなのにさ。結局食べちゃったし。

「ん?またそんな顔をして、今日は変だな」
『うん……』
「言ってごらん」
『最近太ったからさ……ダイエットしようと思ったのに誘惑に勝てなかった自分が、不甲斐ない限りです』
「なんだ、そんなことか」
『そんなことじゃないもん!友達にも言われたし、本当に太ったんだよ?尽八だってデブと歩くの恥ずかしいでしょ? ただでさえ、不釣り合いなのにさ……』

自分で言ったのにぐさりと言葉が刺さる。私がもっと痩せてて、可愛かったら良かったのにな、

「俺はなまえの見た目と付き合っている訳ではないし、美味しそうに食べる所はなまえの好きな所の1つだぞ?」
『尽八……』
「食べたければ食べればいいじゃないか。我慢して体調が優れなくなったり、機嫌が悪くなるなら、食べれば良いと思うぞ」
『でも……』
「俺は、我慢してるなまえより笑ってるなまえの方が良い」
『……うん』
「そこまで気になるなら、俺も一緒に食べようか」
『え?』
「そのから揚げも半分こだ」

これからも、食べたい時は食べれば良い。だからその時は半分こ。そうだ、そうしよう、それがいいな。
一人で納得して満足そうに尽八は笑った。それを見たら、なんだか深刻に考えてたけれど、尽八にとって私の体型なんて気にする事でもなかったのかな、なんて思えて肩の力が抜けた気がした。

「ほら、半分は俺のだぞ。あーん」
『…あーん、』

パクり。尽八の口に1つから揚げを入れれば、私にも負けないような美味しいって顔をして目を細めた。
……ああ。尽八が言う意味がちょっとだけ分かったかも。私も尽八の美味しそうに笑う顔、好き。

「あと、どうしてもダイエットしたいなら食べないダイエットではなく、運動にすればいいじゃないか。それなら俺も付き合おう」
『……尽八』
「なんだ?」
『尽八ってイイ男だね』
「今さら気付いたのか?」
『うん、……大好き』

僕のために笑え
食べてる時が1番良い顔してるんだぞ? だから俺の前でその顔見せずに誰に見せるんだ。

(こっそりカナへ初東堂さん! 知らない間にサイト見てるとは思わなかったよ!笑)
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