『なんで勝手に髪切ってしまうん?』

インターハイが終わって、ようやく会えたなまえは、ボクを見て驚いた顔をして第一声、そう言った。

「ボクの勝手やろ?」
『なんで坊主になるん……』
「なまえ、そないな事よりボクに言わなあかん事、他にあるやろ?」

お疲れ様とか、おかえりとかあるやろ普通。この前まで練習で会えへーん寂しーいとか言うてたやんか。ボクがキモい言うても、寂しいもんは仕方ないとか言うて。なんやってんあれは。

『……おかえり翔くん』
「言えるやん」
『でも……!』
「なにが言いたいん」
『坊主だなんて!聞いてないの!』

しゃーないやろ。ボクは甘かったんやから。捨てれるもんまだあったから、切ってもうたわ。

『私は……?』
「何が?」
『私は捨てんといてね?』
「……そういうのキモォ」

そないなキモい顔でボクんこと見つめんといて欲しいわぁ。
思わず抱きしめてしまいそうや。なんや、ボクがキモいなぁ。
せやからあかんねん、なまえといると調子狂うわ。

『翔くん、お疲れさま。会いたかったんよ』
「急に素直になるんやな」
『だって……寂しかってんもん』

ぎゅ、となまえがボクの背中に腕を回して抱き着くもんやから、ボクも腕を回し返してやる。

『坊主が嫌なんはね、』
「なんで?」

君が嫌や言うならば

『前の髪型の翔くん可愛かってん…』

照れながらそう言ったなまえがあまりに可愛かったから、また伸ばしたろうかなと思ってしまった。ボクは意外と純粋で単純やなぁ。

(御堂筋くん視点難しすぎる…!)


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