『ねぇねぇ巻ちゃん、今月の月刊グラビア買った?』
「買った…けど、なんショ?」
『見せて…!』
「……は?」
『今月号にはね〜…!アリナちゃんが出てるのよ!』

アリナちゃんというのは、駆け出しのアイドルなんだけど、それはもう可愛くてリスペクトしてる子なのだ。
グラビアとかぶっちゃけ全然興味ないけど、アリナちゃんは特別。

『こんなに可愛いのにスタイル良くて胸もGカップとかすごいよねぇ…』

私もこんな風に生まれたかったわ〜、なんて思いながら食い入るように見てると、ちょっと呆れたような顔で巻ちゃんが私を見ていた。

『な…なに?』
「いや、なまえって変わってると思ってヨ」
『アリナちゃんは特別だからね!どっからどう見たって可愛いじゃんか?』
「……まァそりゃ、可愛いショ」
『でしょー!』
「アリナはたれ目と泣き黒子が良いショ」
『……あ、うん。そうでしょ!』

あれ?アリナちゃんまだ有名じゃないし、応援してるから褒められたら結構嬉しいのに、なんか今モヤっとした。
なんでだろう?

「なまえと違ってスタイルも良いショ」
『む……言われなくたって分かってるし!』
「なまえと違って性格も良さそうだしヨ」
『なにそれ!ひどい!』

なんて事を言うんだ!人が気にしてるのに!
てゆうか巻ちゃんなんかにアリナちゃんの良さとか語ってほしくないし!私のがファンなのに、巻ちゃんなんてただグラビア好きで見てる中の1人のくせに…

『アリナちゃんの事知ったかみたいに話さないでよ、巻ちゃんなんかにアリナちゃんの本当の良さはわかんないもん』
「なんだそれ」
『もーう!巻ちゃんがアリナちゃんの良さとか語るとイライラするっつってんの!アリナちゃんは私のアリナちゃんよ!』
「……クハッ。」

軽くパンッと机を叩いて強い口調で文句を言ったら、巻ちゃんは一瞬だけ目をぱちくりとして、笑った。
笑われた…?!とゆうか失笑に近くて、余計イライラする。

『なんなのよ…!巻ちゃんなんか、嫌い!』
「いや、それ反対ショ?」
『はい?』
「そういうヤキモチ、嫌いじゃないショ」
『……ッ!』

女の子を、
褒めないでください

たとえ、私がどんなに絶賛してたとしても。

事実に気付いて一瞬で真っ赤になった私の顔を見て、また巻ちゃんは楽しそうに笑って私の頭を撫でた。

「心配しなくても、なまえのが好きっショ」
『そんなんじゃないもん…』
「クハッ」

恥ずかしくて否定したけれど、優しいその手を振りほどく事は出来なかった。
あ〜もう、アリナちゃんにヤキモチ妬くほど好きなんだなぁ……なんて、言えないけれど……大好き。

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