「行こうか」
「う、うん…!」
「すみません、先輩まで付き合わせちゃって」
「え?」

誰この子? 私と伊武くんの恋の急展開とかそういうのじゃなかったの…?

「こいつ神尾。プレゼント選びに着いてこいって言うから」
「本当すみません、でも女の子の意見あったらめっちゃ助かります!」
「あ、いや…そんなことないよー、お役に立てると良い……な」

……そういうことね。伊武くんて見るからにそういうの嫌がりそうだもんなぁ。だからお前も着いてこいと、そういう感じね。いやでも理由はなんであれ、伊武くんとお買い物出来ることには違いない!お友達もいるけれど!

「本当ありがとうございます!なまえさん!」

そう言って神尾くんは私の手を取ってぶんぶんと揺らした。伊武くんは猫っぽいけど、神尾くんはなんだか犬系だなぁ。前髪が長くて片目しか見えないけれどキラキラした目で私を見つめてきて。絶対尻尾があったら振ってくれてるだろう、って感じ。

「で、誰になんのプレゼント?」
「えっと、……杏ちゃんに」
「それって……神尾くんの好きな子?」

好きな子というワードに神尾くんは照れて顔を紅くさせて慌てる。それが中々年相応で可愛らしい。

「橘さんの妹の橘杏にだってさ。この前差し入れにお菓子を貰ったお礼に何かあげたいらしいんだけど、差し入れなのにそれくらいでプレゼントだなんて重すぎじゃないかって思うんだけど、大体、杏ちゃんだって」
「大丈夫大丈夫!プレゼントは気持ちだよ」
「ですかね?!そう思います?」
「うん、大丈夫大丈夫!きっと喜んでくれるよ」

私の言葉に目に見えて嬉しがる神尾くんは、早速着いた雑貨屋さんに1番に駆け込んでいく。

「でも、付き合ってあげるなんて伊武くんて優しいんだね」
「なんでそうなる訳?」
「だって神尾くんに付き合ったり、わざわざ私誘ったり、友達想いじゃん」
「……男2人で可愛い雑貨屋なんて見苦しいだけだろ」

小さくため息をついて、目線を神尾くんに向ける伊武くんは本当にそう思ってるみたいで少し眉間に力が入っている。それでも私にしたら、傍からみれば私と伊武くんは付き合ってるように見えるかな……なんて離れて一生懸命プレゼントを選んでいる神尾くんを横目に思った。

「そういえばね、」
「何?」
「なんで私の名前知ってたの?」
「ああ……、なまえ先輩の友達が呼んでたから」
「あ、そうなんだ」
「何?」
「ううん、何でもない!何でかなって思っただけ」

わー……前から伊武くんが私を知っててとか、伊武くんも一目惚れしてくれて、とか、ちょっとだけ期待してたなんて恥ずかしい…!おこがましいよ私!

「あ。でも名字知らないや。名字が良いなら名字で呼ぶけど?」

いやもうそのままで良いです!

「……あっそ」
「うん!そう!」
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