「なまえなまえ、」
「はいはーい、何?」

次の授業が終われば、昼休み!伊武くんに会える!そう思ってうきうきしてるからテンションが高くなる。

「あのさ、今トイレ行った時に伊武くんに会ったんだけど、」
「えー!伊武くんに!? ずるい!」
「でさ、今日はプリンいらないって」
「……は!?」

な、なんだって……!プリンいらないってどういう事?!

「なんでなんで?!」
「し、知らないよ!そう伝えてくれって言って、さっさと戻っちゃったんだもん!」

友達の肩を掴んで揺らすと、慌ててそう言い放った。そんなそんな、楽しみにしてたのに。がっかり。あ……、でもプリンの約束が1日伸びたんだから、いっか!私ってなんてポジティブ!ついでに放課後、橘くんにこの事を理由にしてメアド教えて貰おう!うん、頭も冴えてる!よしよし、これは昼休みじゃなくて放課後を楽しみにしよう。でも伊武くんどうしたんだろう…?



「橘くん!」

SHが終わった瞬間にカバンを掴んで、橘くんの教室まで全力疾走したから、息が上がって呼吸が荒くなる。

「で、なんばしよっと?」
「あのね、」

さらりと自然に橘くんが発したのは九州弁で、そういえば橘くんは転校生だったなぁなんて思い出した。あんまり関わったことないし、忘れてた。息を整えながら、伊武くんの事を告げると橘くんは少し驚いたみたいな顔をしたけど、承諾してくれた。

「そういう事なら大丈夫だろう。今、携帯持ってるか?」
「うん」
「じゃあ赤外線で」
「え、? 伊武くんに聞いてからじゃなくて良いの?」
「俺から後で言っとく。大丈夫だ」
「……あ、ありがとううううう!橘くん大好き!」
「それは相手違いだろう」

はは、っとおかしそうに笑う橘くんはかなり男前であった。これは、女の子にモテそうだなぁ。硬派っぽくて好きな子多そう。ん〜、でもやっぱり私には伊武くんのがタイプだけどね。

「本当にありがとう…!あ、部活あるんだよね?引き止めてごめんね」
「ああ、悪いな。じゃあ」
「うん、またね」

やった!これで伊武くんのメアドゲットゲット!今日帰ったらメールするぞ!なんてメールしようかなぁ、明日はプリンいる?とかかな。いやいや、まず橘くんに勝手にメアド聞いちゃってごめん、て話よね。うん。あー!やばい!早くお家帰ろっと!

"なまえです。
橘くんにメアド勝手に聞いちゃった、ごめんなさい。今日会えなかったし、プリンいらないって聞いたから……。
何かあった?明日はプリンいるかな?
お返事待ってます!"


勝手にメアド聞いちゃった
ALICE+