昨日、あれから返事はすぐに返ってきた。
"明日は、食べる"と、一言だけ。その淡白なメールも伊武くんらしくて笑っちゃったけど、それ以降は返事を送っても返信はなかった。

「なまえ、ご機嫌だね?とうとう今日でプリンの約束最後なんじゃないの?」
「ふふふふー!今の私には!伊武くんのメアドという強ーい味方が出来たのだよ!ノンプロブレムー!」
「あ、そうなんだ。良かったじゃん!」
「でしょでしょ!これでプリンに縋らなくても良いのだよ!」

だから早く伊武くんに会いたいなぁ〜。結局昨日も会えなかった訳だし、土曜から見てないよ!昼休みまでの時間ってこんなに長かったっけなぁ。ようやく昼休みを告げるチャイムが鳴って、お財布を持って教室を出る。早く購買に行きたくって、早足になってしまう。私だけ慌てて行っても、伊武くんも急いで来てくれる訳じゃないんだけどさ。購買に着くと、やっぱりまだ伊武くんはいなくて、それどころかいつもなら購買にわんさかいる生徒達も、まだちらほらと少ない。今のうちにプリン買っとこうかな? 並んでる内に来るかもしれないし、間に合わなければ2種類買って、好きな方選んで貰えば良いよね? 今日は何にしようかな〜?焼きプリンとチョコにしようかな、っと。購買のおばさんにお金を渡して、2つのプリンを両手に持って列を出た。並び始めた時よりもざわざわと、人が多くなったなぁと思ってると視界の端に伊武くんが見えた。

「伊武くん!」
「……あぁ」
「遅かったから先買っちゃった!どっちが良い?」
「……じゃあ、焼きプリン」
「焼きプリンね、はい!」
「ありがと」
「昨日はごめんね、メアド勝手に聞いちゃって……」
「別にいい。じゃ、俺行くから」
「え?あ、うん」

あれ?なんかいつもと違う?いつもなら、もっと一言一言が長いはずなのに、もしかして本当は怒ってる?え?

「ちょっと、伊武くん待って!途中まで一緒に行こうよ」
「……勝手にすれば」
「伊武くん、本当に怒ってない?」
「メアドのこと?別に怒ってないって、さっきから言ってるじゃんかしつこいな」
「……そっか、ごめん」

なんだか、いつもと違ってトゲがある気がして、それ以上何も言えなくなった。伊武くんもそれ以降一言も喋らなかった。

本当に怒ってない?

ALICE+