「あれれ…?今日は元気ないね?」
「……なんだか伊武くんが冷たいの」

3つ目のプリンを買った日から、伊武くんはそっけなくなってしまった。元々そんなに愛想が良いわけじゃなかったし(またそこが良いんだけど!)、だけど今までは相手をしてくれてたのに、何が悪かったのかな?ここ数日は見掛けて、声をかけても挨拶くらいしかしてくれないし、メールも何回かに1回やっとこさ返ってくる感じ。

「恋する乙女は起伏が激しいね〜、大変大変。昨日泣けば今日は笑うもんよ」
「でも!プリンの約束だってもう終わったし……。てゆうかプリンだけが目当てだったという訳か」

私に優しくしてくれたのは、遊んでくれたのは、プリン買ってもらうから……くらいの気持ちで、それが終わった今は相手するのも面倒臭いしウザいってことなのかな。

「うー……伊武くんとまた放課後デートしたいークレープ半分ことかしたいー」
「はいはい、誘ってみなさいよ」
「多分断られる……から誘えないってゆうか、多分メールも無視されそう」

次の体育も、こんなんじゃ力も出なさそう。はぁ、伊武くんに会いたいよう。

「みょうじ、深司と喧嘩でもしたのか?」
「え?……なんだ、橘くんか」

突然後ろから声がしたかと思えば、橘くんが立っていた。この前まで全然友達でもなかったけど、あの1件以来は会えば挨拶くらいはするような仲になった。

「深司なら誘えばくるだろう?喧嘩中なのか?」
「誘うもなにも……なんだかそっけないし、避けられてるのかも」
「……そうか」

橘くんは不思議そうに頷いたけれど、こっちだって訳分からないんだからね!あーん!

「デートじゃなくても、一緒に帰るだけでも良いんだけどなぁ……」

せめて、喋る機会があるなら頑張って誘うのに、それさえも隙がないとゆうかなんとゆうか……。

「深司?どうした、珍しいな」
「え?!いい、伊武くん!?」

ななんで、こんな所に伊武くんが?!校内で出会えるなんて滅多にないのに!でも、やっぱり機嫌悪そう!

「……いや、通りかかっただけですけど。てゆうかこのタイミングで声かけるとか橘さんも大概空気読まないよなぁ」
「伊武くん…!あああの!」
「なに?」
「あの、また放課後空いてたら…!いや、部活終わってからで良いんだけどさ!」
「何の話な訳?」
「え……、あ、ううん。やっぱりなんでもない」
「ふぅん?じゃ俺行くから」
「うん、ばいばい」

突き刺さるような伊武くんの声と表情に、それ以上何も言えなかった。雰囲気が、拒否してるっていうのが分かっちゃったから。

「みょうじ、良いのか?」
「……だって、明らか嫌そうな態度してたじゃん?」

そこで予鈴が鳴ったから、急ぐふりをしてその場から離れた。これ以上居たら絶対泣く、って分かったから。ちょっとやばい。

「なまえ?遅いじゃん!早くしないと、……って。どうしたの?なにがあったの?」
「う……うわぁぁあぁん!もう、だめだぁ、わたし…」

心配そうな顔をされたら、私の涙腺はそこで崩壊した。びっくりするくらい汚い声が出てきて、自分でも驚いた。駄目だ、望みなさすぎて、もう今までみたいにも出来ないのかと思ったら、どうしようもなく悲しくなってきて、馬鹿みたいに涙が出て止まらなかった。

もう、だめだぁ…

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