「駄目」
「お願いー!」
「危ないから駄目」
「私もハンター資格欲しいんだもん」
「なんで?」
「……だって、イルミの足手まといは嫌だし」
「……」
「ね、お願い!イルミがいるから大丈夫でしょ?」
「……俺から離れない事が条件」
「ほ、ほんとに…?」
「知らない男と喋ったら刺すから」
「うんうん!……やったぁ!」
ずっと受けてみたかったハンター試験。
決して弱い……とまではいかないとは思うものの、このゾルディック家を基準に考えれば、弱いだろう自分。
だから、ハンター試験くらいは受かってみたいの!
「あ、因みに俺変装してくからね。名前もギタラクルに変えて登録するし」
「え?なんで!?」
「キルがハンター試験受けるみたいなんだよね」
「え、そうなの?!」
……あれ?でもだからってイルミが正体隠す必要はある?
「家出したのはキルアの方だよね……?」
「キルを連れ戻すのは試験後だからバレると面倒なんだよね。俺は本当に資格欲しいし」
独り言の様に呟いた事が聞こえたみたいで、律儀に答えてくれた。
「そっか。じゃあ、私も変装した方が良いのかな?」
「ナマエはドジだからすぐバレるだろうしそんな小細工いらない」
「今グサッときた」
「そう?」
ケロっと言うイルミに少し苛立つ。私そんなにドジじゃないのに!
ムスっと明らかに顔に現したつもりだけど、イルミはあまり気にするでもなく、あしらわれる。
「あと、出発は1週間後。それまでに準備しとくこと」
「わかった…!」
「……あれ?ちょっと機嫌悪い?」
「べっつに〜!」
無関心なんだか天然なんだか……。
私とイルミの関係はいわゆる婚約者。
物心ついた時にはもうゾルディック家に住んでいて、キキョウさん達には娘のように可愛がられて育ってきた。
親の顔は赤ちゃんの時にシルバさんの手で暗殺されたから知らない。
本当は私も殺されるはずだったんだけど、有名な暗殺一家だったから(もちろんゾルディック家には劣るけど)良い嫁候補になると言うことで、連れてこられた…、らしい。
私としては生かされて良かったわけだから、何の抵抗もない過去の話。
本当の親は知らないけど、私にはゾルディックの皆がいるから平気。
それから数日経って、準備と言っても特にする事もなくて、適当に廊下をブラブラしていると、カルトがあっち側からやってきた。
「あ、カルトー!元気だった?」
この家にいると、仕事や教育(拷問等)の関係で誰かにしばらく会わないというのは珍しくなくて、実際カルトと会うのも10日振りくらいだ。
「ナマエちゃん!うん、元気だったよ」
「頑張ったね〜、今回結構長かったし」
「うん。1週間くらい独房に入ったままだった」
飲まず食わずで1週間。本当この家の恐ろしい所だと思う。でも、それが当たり前な事になっているから(皆も私もやってきたし)カルトは何も疑問を抱かないし、終わった後は嬉しそうに笑う。
……でもキルアは、それが嫌で抜け出したのかなぁ。
「ねぇナマエちゃん?」
「なに?」
「キルア兄様見なかった?訓練が終わったら遊んで貰う約束したんだけど」
「えと、……」
あー……キルアそんな約束しといて、家飛び出しちゃったのか。
カルトは独房入ってたから知らないんだよね、キルアが家出たのは5日前だし。
「ナマエちゃん?」
「あー…あのね、カルト。キルア、今この家にはいないの」
「え…?キルア兄様に拷問訓練は入ってなかったはずだよ」
「そうじゃなくて、5日前にね、家出しちゃったの」
「……え」
見て分かる位に落ち込むカルトに、私が悪い事したみたいに感じてしまう。
「ごめんね、カルト」
「なんでナマエちゃんが謝るの?」
「キルアのこと引き止められなかったし」
「それはナマエちゃんのせいじゃないよ。……キルア兄様には帰ってきたらいっぱい遊んで貰うから大丈夫」
「……うん」
ん〜、これはキルアを家に連れ戻さなきゃカルトが可哀相だなぁ。イルミは連れ戻す気満々だけど、外の方が良いなら私はキルアをそのままにしてあげたかったんだけど、カルトのことを考えるとそうもいかないかもしれない。
だって、約束守らないキルアが悪いよね!
「……じゃあ、イルミと私がキルアを連れ戻してあげるから、カルトは訓練してお利口にし待っててね!」
「本当に!?……うん!僕待ってる!」
ああ、もう、本当可愛いなぁ。
これだから甘やかしたくなっちゃうんだよね(それでイルミによく怒られるけど)。
*
「で。忘れ物はないね?」
「大丈夫!」
「……本当に行くの?」
「うん、もちろん!頑張ってキルア連れ戻しちゃうぞー!」
「何そのやる気……」
「だって、カルトが淋しがってるからね!俄然やる気だよ!」
「ふぅー…ん(なんかムカつく)」
「さ、飛行船に乗って行こーう!」
「イルミ兄様、ナマエちゃん、いってらっしゃい!」
「カルトー!いってきまーす!」
あぁもう、可愛いったらありゃしない!
「ナマエ、」
「うん?」
「おしおきだね」
「…は?え、なんで?!」
「ムカつくから」
「やだやだやだ!何もしてないのに!」
「逃げたって無駄だよ。現地着くまでには3日掛かるんだから」
「ちょ、むりむり!」
そしてそのまま、おしおきと言う名の訓練が3日間続いて、試験前から疲れちゃった、あはは……笑えない!
俺に嫉妬させるなんて良い度胸、
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