目が覚めると知らない天井が視界に広がっていた。ここ、どこ…?
辺りを見渡すと、横には抜け殻のベッドが1つ。寝てた形跡があるから、誰かさっきまで寝てた?
いや、それよりも何で私こんなとこにいるんだっけ……、

「おや、目が覚めたので…」
「サトツさん!イルミどこ?!試験は!」

そうだ、私イルミに眠らされたんだ。意識がなくなる最後の一瞬、イルミの気配だった。くそぉ……酷い!絶対文句言ってやる!
そう思った瞬間にサトツさんが部屋に入ってきたもんだから、思わず掴みかかってしまった。

「ナマエさんはお受かりになりましたよ。今ちょうどあちらの部屋で皆さん説明を…」
「ありがとう!」
「……ちゃんと話を聞かない人ですね」

イルミへの怒りに身を任せて、皆のいる部屋まで走る。そういえば、わたし何もしてないのに受かったってことは……誰が落ちたんだろ?

部屋に辿り着いたものの飛び込むわけにもいかず、そっと部屋を覗くと思っていたより大分広い。

「…え、」
「ナマエ?」

気が付くと私はイルミとゴンくんの間に割り入っていた。ゴンくんが殺気立ってイルミの腕を掴んでいて、頭で何か思う前に身体が反応してしまった。

「……ゴンくん、これどういうこと?」
「ナマエちゃんも知ってたの?」
「なにを?」
「キルアのこと……キルアが落ちたんだ…」
「イルミ」

真後ろに立ってるイルミの方に振り向くといつもの無表情なイルミが立っている。

「何?」
「キルアはどうしたの?」
「帰ったよ」

詳しくは分からないけど……なんとなく分かった。キルアのトーナメントは2回戦でイルミと当たっていたはずだから、間違ってはいないと思う。
カルトのためにキルアを連れ戻すことには賛成だった。でも、キルアは外にたくさん大切なものを作った。

「ゴンくんごめんね」
「ナマエちゃん?」
「ゴンくんの気持ちは大体分かった。私もやり方には納得できない。でも、ごめん。イルミを傷付けるのは許せない」
「キルアと姉弟だということはギタラクルとも兄妹だということではないのか?それにしては……」

ゴンくんの後ろの方にいたクラピカさんを遮る。

「キルアは弟。イルミは婚約者なの」
「な…?!」
「だからキルアを連れ戻すつもりなのは知ってたよ。でも止めなかった……、ごめんね。……だからククルーマウンテンでキルアと待ってる」
「ナマエ何言ってるの」
「イルミは黙ってて!勝手に眠らせて私怒ってるんだから!」
「(その場にいたって怒ったでしょ)」
「ナマエちゃん…」
「ゴンくん。キルアを迎えにきてあげて。私も待ってるから」
「……うん。分かった」
「全く、勝手なことして……」
「クラピカさんにレオリオさんも、待ってるね」
「……ナマエ、」
「またね」

きっとすぐ会えると思う。だから大丈夫だよね。

「イルミ、」
「何?」

ばちん!
いつの間にかヒソカさんと話していたイルミの元まで行って振り向きざまに一発叩く。

「怒りの鉄拳!」
「……ごめん」
「分かればよろしい」
「ククッ◆本当にナマエは面白いねぇ…」
「ヒソカ、ナマエに手出したらゴン殺るから」
「…◆」
「ナマエ行くよ」
「あ、うん」
「またねナマエ★」
「あ、うん、また」


またって何、また会うつもり?
え?いやだって、またねって言われたから反射で…!

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