「ナマエ」
「うん?」
「ゴンがうちの敷地に入ったって」
「……本当に?」
「うん、試しの門自力で開けるまでは小屋でトレーニングしてるみたいだけど」
「あ、……そうなんだ」
「行ってきても良いけど」
「え?」
「行きたいんじゃないの?」
「行きたい、けど……いいや」
「行っても怒らないよ、夕飯までに帰ってくれば」

そう言って、イルミはベッドに腰かけている私の顔を覗きこみながら、優しく頭を撫でる。

「夕飯までにってさ、子供扱いしすぎじゃない?」
「そう?」
「ゴンくん達とは……もう少し待てば会えるし。自力でうちの敷地に入ってきた時でいい」
「ナマエのしたいようにしな」

元々興味があった訳ではないイルミは、はっきり言うとあっさりと引き下がってくれた。

「ナマエ」
「ん?」
「天空闘技場でも行こうか」
「なにそれ?」
「闘うとこ。ほら、キルアが放り込まれて2年帰ってこなかったの覚えてる?」

そう言われて思い出した。キルアが2年も丸々いなかった時期が確かにあった。200階に行くまで帰ってくるなと言ったって、シルバさんがある日の夕飯の時に言ったのは覚えてる。当時は200階まで行くという意味がよく分からなくて、中々帰ってこないキルアに何故早く登らないんだろう、なんて検討違いなことを思ってた。

「じゃあ俺も昔行ったの覚える?」
「……全然」
「まぁ、俺は3日で帰ってきたしナマエはまだ小さかったし無理ないか」
「でもあたしは行かされてないよね?」
「……あぁ、それは多分俺が行かされた時に俺が戻るまでずっと泣きわめいたからだよ」

だから、俺と引き離して連れてっても話にならないって、止めたみたいだね。なんて言われても、そんなの全くと言って良いほど覚えてない。

「俺が帰ってきたら、ナマエはおかえりも言わずに泣き腫らした目で倒れたから、びっくりした。まぁ、寝ただけだったけど」
「あー、もう……それ以上は恥ずかしいから言わないで!」

多分、きっとその時からイルミがいないと寝れなくなったのかもしれない。小さい頃は多分1人でも寝ていたはずなのに、気付く頃にはイルミが隣にいないと寝付けなくなってしまっていて。喧嘩したって何したってずっと寝室だけは一緒だった。
だから、きっとこれからも私がイルミから離れることはないと思う。一種の依存なのかもしれないけど、それでも良い。

「ナマエなら、200階までは行けると思うけど……そこからは危ないから禁止ね。ヒソカとかもいるし」
「へー…ヒソカさんが」
「ヒソカは快楽主義だから、あそこで狙われたら死ぬよ」

ひぃ……!考えただけでも容易に想像出来てしまう。

「まぁ俺の言うことちゃんと聞いてれば大丈夫だから」
「うん」
「可愛い子には旅をさせろっていうし、ちょっと旅行に出るのも良いね」

くしゃくしゃと頭を数回撫でられてから、ぽんぽんとされた。

婚前旅行、どこ行きたい?
ナマエとならどこに行ったて同じだけど


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